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第百二十七話【学院祭・最終日…その⑤飛んで火に入る乙女心と秋の空?】

護身格闘術部の紅白試合はいよいよ大将戦に。

ここで再び例の念動力は使われるのか?

そして念動力を使ったあの選手に誘導される美鈴メイリン…!


護身格闘術部の紅白試合は白組が次鋒戦と中堅戦で白星を連続奪取、副将戦は紅組が勝利し五分の戦績になった。

よって、大将戦で決着となったのだ。


ここまでのところ、先鋒戦以外で念動力らしき技を使った選手は現れていない。

【念動力使ったヤツは今のところ紅組の先鋒だけだな。】

(これから行なわれる大将戦、どちらかが使って来るんでしょうか?)

俺と愛麗アイリーは次はいつ念動力を使うヤツが現れるのか固唾を飲んで見守っていた。

そんな中…。


(…ナゾですわね。)


(は?)

【何だよナゾって。】

俺達の考えを他所に美鈴メイリンは別の事を考えてたらしい。


(そもそも、たかが学院祭の紅白試合ごときに何でそんな技…いえ、能力かしら?を使ってきたのか、その理由がわかりませんわ…。)


【デモンストレーションとか?】


(誰に対してですの?)

(それに私達は念動力かと疑いましたけど、他の観客達には何が起きたのかわからなかったと思いますわよ?)


【それも…そうか。】


(あの…そもそも同じ部員同士、そんな技使って何か得でもあるんですかね?)

(念動力とやらを使われた選手の方は何が起きたのかわからなかったみたいですし、あれはかけた方だけが念動力を使えたって事じゃありませんか?)


(おおっ、その通りですわ!冴えてますわね愛麗アイリー?)


(え?エヘヘー、そうですかぁ(笑)?)


(あれから何か変なモノ拾い食いしたかも知れませんわね、後でファン先生から下剤の追加貰いなさい。)


(な、何でそーなるんですかー?!)


(冗談ですわよW)


(…!)

美鈴メイリンの視線が一瞬厳しくなった。

【どうした?】

(いえ…少し視線を感じましたもので…)

(やはり私は有名人ですものね、どこにいても注目を浴びてしまうのですわ…オホホホ♪)


【あ………、そう。】

(…お嬢様、もう少し謙虚ならカッコいいんけど…。)

俺と愛麗アイリーは残念なモノを見る目で美鈴メイリンを眺めた。


確かに美鈴メイリンは何時誰から視線を浴びても不思議じゃない。

学園選抜対抗戦での活躍も然ることながら、その容姿端麗な姿。

中身を知らなきゃ見惚れるヤツも多いだろう。

口を開かなければガッカリするヤツもいないし。


(…二言三言多いですわよ!)


【地獄耳め。】


ワーワー。

大将戦が始まるようだ。

紅白のユニフォームを着た大柄な選手が試合場の線の中へと入る。


…ん?


紅組の大将のセコンドに先鋒で念動力を使った例の選手がついている。

元々のセコンドはソイツに弾かれた。

紅組の大将は…チラッと見たけど気にしてないようだ。

試合前の余計なイザコザ気を取られたくないだけかも知れないが。


「あの先鋒で出た選手、何か企んでるんでしょうか?」


「先入観で見てはいけませんわよ愛麗アイリー?」

「まあ見た感じ大将の選手とは繋がりありそうですけど。」


【つまり紅組の先鋒と大将は仲間か。】

「だとするとこの試合でも念動力を使ってくる可能性は高いですわね。」


「でもだからといってどうするんですか?」

「まさか紅組大将が念動力使うから試合中止を求める、なんて聞き入れられるとは思えませんけど?」


「まあ、魔法ならともかく耳慣れ無い念動力とか言われても誰もピンと来ないはずですわ。」


ビシッ、バシッ…!


…つうか試合もう始まってるし。


「おっと既に拳と蹴りの攻防が行われてますのね?」


「また先鋒戦の時みたいに終盤距離が離れた時に使って来るんでしょうか?」


「ですわね…念を込めるというのは無詠唱魔法のようにはいかないと思いますわ…。」

(あれ?でも練度が上がれば魔法が無詠唱で放てるように、もしや念動力の方も念を込める時間が練度次第でどんどん短縮していくのでは…?)


【おいおい今更…。】

と、


ヒュッ。

ヒュッ、ヒュッ。


風が空気を突き立てる音がした。


良く見ると紅組大将は手を動かしていない。


なのにドスドスッ!と白星大将のガードへと何かがぶち当たっているようだ。

少し白星大将はよろけて後退した。

それも、

「な、何が起きている?」

とでも考えてるかのような表情だ。


その様子に紅組大将も

「?」

と訝しげに白星大将を見ている。


【この様子を察するに…。】

(ええ…。)


俺達は紅組大将戦のセコンドに無理矢理?ついた先鋒戦の選手の方を見た。


「あの先鋒戦の選手、何か念じてますよ?」

愛麗アイリーがそう言った通りだった。


他の白星選手だけでなく紅組選手らもザワつき始めた。


それは勿論観客達も同じだった。


「この状況からして、問題なのはあの紅組先鋒一人ですわね。」


「お嬢様、どうしましょう?」

愛麗アイリーはこのまま大将戦を見届けて下さいな。」

「お嬢様は?」

「私?…私は…。」

「ちょいと特等席へ参りますわ。」

「…特等席…?」

ツカツカと美鈴メイリンは一階試合場へと向かう階段へと向かった。

…………。


「ちょいと、そこの紅組先鋒の選手さん?」

「いえ、今は大将戦の紅組セコンドについてるお方と言った方がわかりやすいですかしら?」

涼しい声が一階試合会場に響いた。

その途端紅組セコンドにいた選手が念じる動作を解いた。

すると白星大将への見えない攻撃?は途端に止んだ。

「…少し、お話しをしたいのですけどよろしいかしら?」


それを聞いてニヤリと笑った紅組セコンドは美鈴メイリンを誘うように体育館を出た。

美鈴メイリンもそれについて行くのだった。


二人は体育館裏の庭に辿りついた。

まだ紅白試合は続いているのだろう、未だ体育館からは歓声が鳴り止まない。


丁度その庭に生えてる大木には生徒が二人居た。

一人は大木を背に持たれかかり、もう一人が壁ドンのような姿勢になっていた。

…どうやら学院祭そっちのけで愛を語り合っていたらしい。


コホン、と美鈴メイリンが咳払いをするとその二人はビクッとした。

「お二方、せっかくの所お邪魔するのは心苦しいのですけど…学院行事の最中にそのような真似をされているのは見過ごせませんわね?」

美鈴メイリンが生徒会の腕章と見回り項目の書かれたバインダーをチラチラ見せる。

と、それに怖気づいた二人は

「しし、失礼しましたー?!」

と、一目散に走り去ってしまった。


「やれやれ、とんだ先客でしたわね。」

「それで、早速ですが貴方についてお聞かせ願えませんかしら?」


「フフ…。」

その護身格闘術部の紅組ユニフォームを着た生徒はさっきの二人が居た大木に歩み寄り、そして大木を背にした。


「クックック、あーハッハッハ(笑)!!」


「私、何か笑える事でも言いましたかしら?」


「可笑しくてたまんないよ!」

「あの術を見せてやれば引っかかると思ったら案の定、まんまと大物が釣れたんだからさ!」


「何ですって…?」

美鈴メイリンがそう言い終わる頃には大木に身を隠していた赤服集団がゾロッと現れた。

総勢十名程度か。

そしてソイツらは直ぐに美鈴メイリンを取り囲んだ。


「そうですの…最初から標的はこの私、という事でしたのね?」


「やっとわかったかい?」

「これまでオマエはあくまで月夜ユーイーの次に警戒する対象に過ぎなかった。」

「だが以前とは状況が変わった。」

「オマエは学院代表対抗戦で優勝してしまった。」

「つまり名実ともにオマエが学院最強と言う事になったんだからな、黎美鈴リー・メイリン!!」


「あらお褒めにいただき光栄ですわ、赤組先鋒さん?」


「その呼び方はやめろ…今の私は黎美鈴リー・メイリン暗殺部隊隊長…そして」


「我が名は小朱雀シァォ・ジュチュエだ!」


「…朱雀ジュチュエさん?」

美鈴メイリンは首を捻った。


「貴女それ本名ですの?身バレして大丈夫?」


「勿論別名だ!」


「あ、あらそうですの…。」

美鈴メイリンはヤケに威勢良く答えた小朱雀シァォ・ジュチュエに少しだけタジ…となった。


「この名はさる方から頂いた私の新しい名だ。」


「其の辺の事情に興味有りませんですわ。」

「それよりこの程度の人数でこの私を相手に勝てるとでも?」


「ハハハ…黎美鈴リー・メイリンは聡明とも聞くがその噂はとんだ勘違いだったようだな。」

「我々が単に力押しだけで君を襲うとでも思うかね?」


「…では?」


「さあ君もあの部活動の選手達と同じようにとくくと味わうがいい!」


むん!と集団達は念を込め始めた。


次の瞬間、美鈴メイリンの身体全体を何とも言いようの無い圧力が襲った!

やはりコレは美鈴メイリンを誘い出す為のワナでした!

敵は美鈴メイリンをも暗殺の標的としたようです。

そしてあの念動力を集団で使って来ました。

美鈴メイリンはこのピンチをどうするのか?

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