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第百二十二話【学位祭の夜…】

鳳華音フォン・ファイン美鈴メイリンが初めて戦った試合の日、乱入して来た赤服集団に戦いを挑んだ白百合のプリンセスの身に起きた事件の全貌が今ココに…。


美鈴メイリンは闇の中で目覚めた。


「…あ、ここは…。」


【何時もとの感覚の違いで気付いたか?】


名尾ナビ君?!」


俺の姿を見つけた途端キョロキョロ周囲を見回す美鈴メイリン


「ではここは既に例の精神世界の中なのですわね?」


【如何にも。】


俺がパチンと指を鳴らすと辺りは明るくなった。

天井の照明を灯したのだ。

闘姫ドウ・ヂェンはとっくに隣の部屋で白百合のプリンセス姿でお前を待ってるぞ。】

俺は部屋のドアを指差した。


「では行って参りますわ。」

美鈴メイリンは立ち上がって俺の指差した方向の壁へと向かった。


ヴウウ〜ン。

美鈴メイリンが壁に触れようと手を伸ばすと、唐突にその壁が開いた。


「あ、あらっ?」


【前世で有った自動ドアだ、忘れちまったのか?】


「そんなモノもありましたわね…て、え?」


ムニュ☆


美鈴メイリンの手が何か掴んだようだな。


「あ…あ、あの〜…(照)…。」

闘姫ドウ・ヂェンの…いや、白百合のプリンセスの声がその向こう側からした。


「あら白百合のプリンセスさんこんばんは、お待たせしてすみませんでしたわ。」


「い、いえ、…そ、それより…。」


プニプニ…。


美鈴メイリンが手に触れたモノの感触を確かめるためニギニギしてるらしい。


「や☆やんっ?!」


「へ…?」


美鈴メイリンが視線を下に傾ける…。


「い、何時まで触ってるんですかあ〜っ?!」

パチイン!

白百合のプリンセスの平手打ちが美鈴メイリンのほっぺたにヒットした。


やっと美鈴メイリンの手が離れたらしい。

白百合のプリンセスは涙目になって両腕で胸をガードしている。


「…あの、もしかして私…?」

ほっぺたにほんのり赤いの手形を付けた美鈴メイリンがボーッとしながら白百合のプリンセスに尋ねた。


「じ、事故ですよね?事故なんですよね美鈴メイリンさん?!」


「あっ?!」

「で、ではこのさっきの感触は、やっぱり…?」

美鈴メイリンの頬をタラ〜ッと冷や汗が伝った…。


…な、なんて羨ましいヤツ、


なんてラッキースケベなヤツなんだ美鈴メイリンッ〜?!


…………。



コホン。


少ししてから取り乱していた二人はようやく落ち着いて部屋に籠もった。


どうやら修羅場は切り抜けたらしい、部屋から怒声屋罵声が聴こえる事もなく静かなものだ。


………。


……………でもやっぱり気になるな、何話してんだろ?


んなわけで時間を少し遡って彼女らの会話と部屋の様子を覗いて見ることにするのだった。


え?

女性同士のプライベートな会話に首を突っ込むなって?


こ、これは仮面の聖霊として仮面の剣豪である白百合のプリンセスと主人公の美鈴メイリンの様子を知っておかねばならんからだ!!


…まあ、ちょっとだけ単純に美鈴メイリンが白百合のプリンセスにどんな話しがあるのか気になるってのもあるが…。


………………。


二人は白い部屋の中でテーブルの席について向かい会っていた。


「あの、美鈴メイリンさん、私に話しとはどのような?」


「ええ…。」

「これは皆が気にしていたけど貴女の気持ちの問題もあるので控えていた話題ですの。」


白百合のプリンセスはビクッとした。


彼女が聞かれる事をためらう…これはまさか?


「率直に尋ねますわ、白百合のプリンセスさん。」


「貴女は鳳華音フォン・ファインさんと私との最初の試合に乱入した赤服集団に、一体何をされましたの?」


…ヤッパリこの話題かあ〜っ!!


俺も実は凄い気になっていた。

でも知るのが怖かったのもあったし、何より彼女が傷付いてやしないかと心配で聞くに聞けなかった。


「あ、あの時、は…。」

白百合のプリンセスは顔を赤くしながらそれきり黙ってしまった。

かなり言いにくいらしい、モジモジしている。


「では私からお話ししますわ、貴女からではお話しし辛いでしょうから。」


一瞬ハッとする白百合のプリンセス。

「で、ではもう知ってらっしゃるんですか?私に何が起きたのかを…。」


コクンと頷く美鈴メイリン

「私は先日赤服のリーダーと思われる人物から直接話しを聞いて参りましたの、彼女が語る言葉がそのまま信じられるかどうかはわかりかねますが…。」


「ですが、このまま互いに胸に抱えていたままでは精神衛生上よろしくございませんわ。」


「…そう、ですね…。」

今度は白百合のプリンセスの方がコクンと頷いた。


「これから私が語るのはその赤服女の言った事でございます、否定されるのは構いませんが途中で遮らず最後まで聞いていただきます、よろしいですか?」


「わかり…ました…。」

白百合のプリンセスは胸に当てていた手をギュッと握った。

そして観念したような表情で俯いた。


おおっ?!


な、何かドキドキしてきた!


い、一体あの時彼女の身に何が起きていたんだ…?!


…………。


「では…う〜ん。」


美鈴メイリンが何か喋りにくそうにしている…?


「そう…ですわね、言葉にするよりは…」

「こちらをお見せいたしますわ。」

美鈴メイリンが手を宙に翳す。

するとそこに四角くて黒い画面らしきモノが現れた。


「これが赤服の頭から盗んだイメージですわ。」


美鈴メイリンが画面にピッ!と触れた。

すると黒い画面に光が灯った。


すると。


…な、何だこれは?!


「キャッ!」


何とその画面には意識を取り戻した白百合のプリンセスが衣類を赤服達に剥ぎ取られる姿が映し出されていた!


そして下着も剥ぎ取られた白百合のプリンセスが手足で肝心な部分をガードしていると。


『まずは…これを着けてもらおうか?』


赤服の一人が何か布面積の少なそうな水着を差し出した。


「な、何ですかそれは!」


「こら抵抗するな!」

ジタバタ嫌がる白百合のプリンセスに赤服達が総出でその水着を着させた。


「「…おおお〜♡」」

赤服達は感服した。


「は…恥ずかしい…。」

白百合のプリンセスは手足を掴まれ隠す事さえ出来ずに水着姿を披露させられていた。


「ヤッパリ清楚で高貴な娘にはこういった破廉恥な水着が似合うよな!」


「ああ、グッと来る!」


「た、たまんねえ〜♪」


「う、後ろ向かせろ!」


グルッと反転させられる白百合のプリンセス。

しかし今や彼女の白百合のプリンセスとしてのアイコンは顔に付けてる仮面くらいのものだったが。


「う〜ん、うなじの線、背中の白さが…。」


「程よくヒップがはみ出てる感じ、そそるわあ〜♡」


「は、肌が見える系はもういいだろ?そろそろ本命に…!」


「よ、よっしゃいよいよコッチらへんの出番だな!」


「な、何…を…?」

不安そうな白のプリンセスを無視して赤服達は次の衣装を水着の上から着せ始めた。


しかし何だコリャ?


お硬そうなキャビンアテンダント、ナース服、チアガール、バニーガール、ファミレス店員、セーラー服、ブルマ姿…


………どれも前世でフェチが存在していた衣装じゃねえか?!


何だって異世界にこんなの…。


…あ、ココはゲーム世界だったか。

ならこの世界に本来存在しないはずの前世の衣装があっても不思議じゃないか?


これらの衣装は前世で言うオーパーツ的な立ち位置的なモノかも知んない。


…………知らんけど。


と、そうだった!


白百合のプリンセスは後はボーッとしたまま浸す赤服達の良いように着せ替えさせられていた。


赤服達は様々な衣装…というかコスプレ?の白百合のプリンセスの姿にニンマリしたりハアハア言いながら楽しんでいた。


………えと、つまりコレって?


画面では白百合のプリンセスが再び衣装を脱がされ水着姿にされ、新たな衣装を用意されていた。


『何をなさってるんでしょうか、貴女達は?』

ここで仮面の剣豪・不可視擬フカシギに変身していた美鈴メイリンが赤服達に飛び掛かって画面の映像は終了した。


「…と、この通りですが何か違った事は?」


「…あ、ありません…(照)。」


「え〜、この事から判断致しますと、白百合のプリンセスさんは赤服達から無理矢理衣装変えさせられてその姿を鑑賞されていた、という事になりますわね?」


「…わ、私恥ずかしかったんです!」

「無理矢理色んな姿にさせられ見られる事もですが、服を脱がされまた着せられる行為がとても恥ずかしかったんです…!」


「…ま、まあお気持ちは幾らかお察し致しますわ…。」

「ウチにも少しばかり変態がおりますから…。」

美鈴メイリンがポリポリと頬を搔いた。


「それで、この事は私の友人達にも明かしてよろしいものでしょうか?」


「え?」


「口にこそ出しませんけど、皆が白百合のプリンセスさんの事を案じておりますの。」


「皆さんか…。」


「あの場面に遭遇してしまい、貴女がどのような目に遭われたのか心配しておられまして…。」


「ご、ごめんなさい…私があの時のショックから中々立ち直れなかったばかりに…。」


「いえいえ!無理矢理他人の着ているモノを何度も剥ぎ取り勝手な衣装に着替えさせる行為事態がとんでもない事ですもの!」


「そんな変態達が悪いのであって白百合のプリンセスさんは何も悪くなんかございませんわ!」


「ありがとう…ございます…。」


「…何だかスッキリしました、皆さんには私からお話しします。」


「…よろしいのですか?」


「はい。」


………こうして俺や美鈴メイリン達から胸のつかえがようやく取れたのであった。


あの時何があったのか心配していたが、わかってしまえば意外に何の事は無い。


それから白百合のプリンセスが話してくれた事によるとあの日から何やら嫌な夢ばかり見て良く眠れない日々が続いていたらしいが、この日から全く見なくなったそうだ。


あの日の事件はホントの意味でやっと解決した。


後は赤服達が新血脈同盟の事実を話してくれさえすれば…。

(あ、それはちょ〜っと難しいかも知れませんわ。)


【え?どうして?】


(もう二、三日は正気に戻らないかも知れませんから…。)


【オマエ、あの時何をした?】


(いえ、ちょ〜っとばかりあの方に暗示をかけたら、これが思った以上に効きまして…)


……………。


ドタバタッ。

「ウキ~ッ!」

「ウキウキ、ウキキイ〜ッ?」


「静かにしろーっ!」

看守は途方に暮れていた。


美鈴メイリンが囚われている赤服を尋ねた日以来、赤服はスッカリ自分の事をサルだと思い込んでしまっていたのだ。


牢屋の中にはバナナの皮が散らばり、赤服はチンパンジーのような動作と鳴き声、時折奇声を発していた。


「勘弁して下さいよ〜、美鈴メイリンお嬢様〜。」

「何時になったらコイツ正気に戻るんですかあ〜?!」


………因みにこのサル化した赤服が人語を話せるようになるまで、ここから更に一週間を要するのだった…(汗)。



………え〜、あまり延ばしてもどうかと思いココでネタバラシする事にしました。


かなりセクシーな展開を予想された方も多かったと思いますけど、実際はこんなものでした(苦笑)。

何せ全年齢向け作品ですので(笑)。

そして学院祭は最終日、二日目に突入。

何が起きるのか、或いは何も起きず平和に終わるのか?

乞うご期待?!

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