表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
119/160

第百十九話【相対関係から相愛関係に発展…なんて事は有りえませんよね、美鈴(メイリン)さん(涙)?!】

明花ミンファです。

遂に…学院代表対抗戦の決勝戦も決着となります…!!

果たして勝敗の行方は?

そして…まさかの事態に?!

美鈴メイリンさん、私は信じてますからね?!


ズドオオオン!!!


火炎壁ファイアーウォール竜巻斬トルネード・スラッシュを受け止めた!


その衝撃は圧力となって火炎壁ファイアーウォールの後ろにいる鳳華音フォン・ファインの身体を押した。

彼女の足が後ろへ三十センチメートルほど滑った跡がクッキリと残っている。


火炎壁ファイアーウォール竜巻斬トルネード・スラッシュの風圧を防いでいるものの、ビリビリ震える空気の振動を鳳華音フォン・ファインの身体へと伝えている。


「な、何という風圧なの…?」


彼女は火炎壁ファイアーウォールを支えるように両腕を伸ばして魔力を送り続けていた。


「これに耐えますか…流石は北の代表選手ですわね。」


現在、竜巻斬トルネード・スラッシュの三重の竜巻のうち一番外側の竜巻が火炎壁ファイアーウォールにぶつかっている。


その竜巻の勢いが弱まり始めた。


「おや…思ったより火炎の抵抗がお強いようですわね?」


「こ、このまま、持ちこたえてみせる…!」


が。


ヒュウウン…。


外側の竜巻と火炎の壁の拮抗が保たれたまま、両者は消え失せた。


「嘘…私の火炎が…。」


「外側の竜巻が消失するなんて…やりますわね、鳳華音フォン・ファインさん…!」


鳳華音フォン・ファインは自分の火魔法である火炎壁の火炎が消された事にショックを受けていた。

が、まだ障壁自体は残されている。

「まだまだ!火炎の第二波を追加すれば…!」

華音ファインは皿なる火魔法を障壁にかけようとした。


その時。


ピッ、


ピキキキッ…、ビキッー!


「行けっ、私の竜巻斬!」


竜巻の中側にいた第二の竜巻が障壁を打ち破ろうとしていた。


「させるものですか!」


鳳華音フォン・ファインは残された障壁を援護するため新たな火炎の魔力を障壁へと送った。


「突破なさいな!」

美鈴メイリンが竜巻斬に障壁突破の為の発破をかけた。


グオン!

竜巻斬の中側竜巻の勢いが一瞬増した。

それは遂に華音ファインの障壁を貫くのだった。

そこへ竜巻斬の一番中心にあった竜巻が、細いドリルのような形状となって障壁に穿たれた穴から飛び出した!

「行けえっ!」


「させませーん!」


攻める美鈴メイリンの竜巻斬、それを防がんと鳳華音フォン・ファインから放たれる火炎魔法!


勢いのある火炎がドリルの突風に挑んだ場合どうなるのか?


如何なる高熱火炎であろうとそれが大気中に発生した炎である限り、大気の塊である竜巻斬に適う筈も無い。


ズバッ!


難なく竜巻斬は鳳華音フォン・ファインの火魔法による火炎を貫いた。


「嗚呼っ?!」

鳳華音フォン・ファインは無意識に剣でその竜巻斬を防ごうとした。


ガキッ!!


彼女は剣を楯にして歯を食い縛る。


「ん!ングウウッ…グッ!」

貴族のお嬢様にあるまじき形相で必死に竜巻斬を耐える鳳華音フォン・ファイン


美鈴メイリンは構えのまま、それを、ジッと見据えていた。

敢えてか追撃をしようとはしなかった。

華音ファインがこれをどう耐え切るのか見届けたかったのかも知れない。


けど限界は意外に早く訪れた。


バキイン!


「あ…。」

剣が。

鳳華音フォン・ファインの剣が、折れたのだ。

その時、竜巻斬の突風もまた消えた。


「剣が折れれば勝負有り、ですわね?」


そう誰もが思った。


「なら、まだ終わりじゃないわね?」


スラリ…と折れた長剣から短い剣が引き抜かれた。


そうだった。


鳳華音フォン・ファインの剣は双剣だったんだ。


一本の長剣の中にもう一本の剣か隠されている作りとなってる双剣。


「主たる長剣部分は折れたけど、まだ私にはこのもう一つの短剣部分が…あるっ!」


残された短剣を左手で逆さに構える鳳華音フォン・ファイン


更には。


「い出よ、炎の小太刀よ!」


ゴオオッ!


右手には炎で作った片手剣を出現させた。


…てか、アレって熱くないのか?


「か、カッコいい…!」


「そうよ、まだ諦め無いでフォンさーん!」


美鈴メイリンに目にモノ見せてやれーっ!」


ワーワーと観客席の鳳華音フォン・ファインファン達が騒ぎ始めた。


その応援を受けてか、さっきまでの攻防で疲弊していた鳳華音フォン・ファインの顔に生気が戻り始める。


「まだ…勝負はこれからよ、美鈴メイリン!」

ニヤリと不敵に笑う鳳華音フォン・ファイン


「言いましたわね、華音ファイン!」

それを受けた美鈴メイリンもまた、ニコッと笑って返した。


…て、いつの間にか呼び捨てで呼び合ってる?!


そうか、つまりもうお互いに一切の遠慮は無用って事か?


「やあ嗚呼ーっ!!」

キイン、ガキッ!


「はあ嗚呼ーっ!」

ガキガキン!


「まだまだ、火炎飛翔の術っ!」

全身全霊注ぎ込むかのような鳳華音フォン・ファインが剣を翼にして飛び、闘技場を舞う。

そのかかとからはジェット噴射のような火炎が放射されていた。

そして空から美鈴メイリンへの斬撃を繰り出す。


その剣の舞を受け止める美鈴メイリンもまた右手に霊斬剣、そして左手には疾風を刃にして纏い、鳳華音フォン・ファインの短剣と火炎の小太刀と打ち合った。

「空を飛ぶならこちらも!」


「これこそ飛翔魔術の元祖、有翼飛翔魔術ウイングフライト!」


ズバッと美鈴メイリンの背中から魔法の翼が生えた。


「行きますわよ!」


闘技場を二人の天使が舞う。


片や翼を生やし手から突風の弾丸を放つ。


片や両手剣を翼とし踵の火炎噴射で飛翔、火炎の弾丸を放つ。


二人からの流れ弾が観客席を防護する魔法障壁に時たまぶち当たる。


その度に肝を冷やす観客もいれば、そのスリルを味わい試合に興奮する観客もいた。


「どちらも引けをとらない戦い…息が詰まりそうです。」

明花ミンファの従者である芽友ヤーヨウは溜息とともにそう洩らした。


芽友ヤーヨウ、私のお嬢様が負けるわけがありません!」

愛麗アイリーは常に主人の勝利を信じて疑わない。


「これは…思ったより鳳華音フォン・ファインさんもやりますね。」

「貴女はどちらが勝つと思われますか、明花ミンファさん?」

闘姫ドウ・ヂェンは少し意地悪するように明花ミンファに質問してみた。


「ええっ?…そ、それは勿論、美鈴メイリンさんだと思いたいですけど…。」


「私もそう思います、ただそのための条件となると…何が勝敗を分けるか、です。」

(流石に彼女にはわからないでしょう。)

(やはり戦いに於いて美鈴メイリンさんの横に並んでいられるのはこの私…)


「あ、単純にこれがスタミナや魔力量の問題なら間違い無く美鈴メイリンさんの勝ちですね?」


「エエ~ッ?!」

(な、何でわかっちゃうんですかあ〜っ?!)


闘姫ドウ・ヂェンはこの明花ミンファからの答えに動揺した。


美鈴メイリンさんの真の実力は正直掴み所が有りませんし、鳳華音フォン・ファインさんがどのような手の内を隠しておられるのか私にはわかりませんけど…。」


「ただ、普通に考えたならあの規格外な美鈴メイリンさんが人間同士での剣の勝負に負けるなんて想像もつかないんですよねー♪」


「た、確かに…。」

闘姫ドウ・ヂェンは軽く目眩がして頭を抱えた。


(そ…そうですよね、普通に考えたらそうなりますもの…。)


(なのに私ったら何を彼女より優位に立とうと浅知恵出したのかしら?)

闘姫ドウ・ヂェンは変な自分の焦りを自嘲した。


実は観客席でもこのような二人だけの恋の戦いらしきものがチラッとだけあった。


そして本来の試合。


その均衡も遂に破れる時がやって来た。


シュウウウ…!


それまで順調に飛行していた鳳華音フォン・ファインだが。


シュウウ………ぷすっ…。


「あ、あれ?」


スカッ、


「えっ?」


………説明しよう。


鳳華音フォン・ファインが魔力切れを起こし、彼女の踵からの火炎噴射が停止した。

ソレにより彼女の身体は墜落を始め、美鈴メイリン華音ファインの剣目掛けて放った斬撃が空を切ったのだ。


剣の動きに関係なく、狙ったハズの剣が持ち主ごと落下を始めたので美鈴メイリンの剣が届く頃にはそこに華音ファインの剣が存在しなかったのだから当然そうなる。


「あ、あれえ、…キャーッ……!」


グングンと速度を上げて落下してゆく鳳華音フォン・ファイン

そんな高く飛んでいなかったので地表は直ぐ傍まで迫っていた。


華音ファイン!!」

美鈴メイリンは猛スピードで追跡した。


「〜、美鈴メイリンっ…!」

「ま、間に合いませんわっ…!」


ガシッ!と美鈴メイリン華音ファインの身体を強引かつ力任せに抱き寄せた!

でももう地面は直ぐそこだった!


ズドオオオンッ!!!


モウモウと土煙が巻き起こった。


ザワザワ………。


「い、一体どうなってるんだ?」


「二人は、二人は無事なのっ?!」


「早く、早く救出をっ!」


観客席の防護壁が解除されるや、魔法師達により風魔法で土煙が吹き飛ばされ始めた。


「早く救助兵を!」

闘技場には防衛専門の衛兵のみならず負傷者救出専門の救出兵や魔法医師も常駐していた。


当然。

 

「私達も行きましょう、明花ミンファさん!」

「ハイッ!」

闘姫ドウ・ヂェンが手を伸ばし、それに明花ミンファも応じた。

 

二人の身体光に包まれて跳躍し、ゆっくり闘技場のグランドへ着地した。


芽友ヤーヨウ、私達も!」

「うん、捕まって!」

芽友ヤーヨウ愛麗アイリーが抱き着くと、二人は瞬間移動でグランドに現れた。


美鈴メイリンさんー!」

美鈴メイリンさん、鳳華音フォン・ファインさん?!」


「お嬢様ーっ!」

美鈴メイリンお嬢様、そして相手の方も大丈夫ですか?」


四者四様に言葉を口にしながら駆け寄るチーム美鈴メイリンの四人。


そこで四人が見たモノとは。


美鈴メイリン〜、強く抱き過ぎ…♡」


「ご、ゴメンなさい、つい必死であの、…痛かったですか?」


「ちょっとだけ…もう、今度からもっと優しく、ね?」


「は、はい………え?…今度、から、とは…?」


グランドに空いた穴の中でヒッシと抱き合う二人だった。


しかもなんかイチャついてるように見えるような…?


【な、何やってるんですかっ、

二人ともーっ?!】

明花ミンファが絶叫した。


さっきまでの心配そうな顔が嘘のように明花ミンファは怒りに燃えていた。

…まあ、どっちにしても必死なのは間違い無さそうだけどさ。

「お、落ち着いて明花ミンファさん…!」

そう言って今にも飛び出しそうな明花ミンファを抑える闘姫ドウ・ヂェンもまた

ギロッ!と美鈴メイリン鳳華音フォン・ファインを睨みつけていた。

(オマエらドサクサに紛れて何しとんじゃ、ワレェ〜〜ッ?!)

…と、俺だったら叫んでておかしくない光景だわな、コレは。


「お、お嬢様〜っ…?!」

「貴女も少し静かにしてなさい?」

愛麗アイリーの方は芽友ヤーヨウにスリーパーホールドをかけられ、ジタバタと藻掻もがいていた。


「嗚呼っ、お嬢様…せめて時と場所をお考え下さいませ…。」

鳳華音フォン・ファインの従者の小雀シァオ・チュエは観客席から途方に暮れつつ主人達の破廉恥な有様を眺めていた。


その喧騒にやっと我に返った美鈴メイリン


「あ。あのー、ところで勝負がまだついてないので離れて下さいな?」


「勝負なんて、もう着いちゃってるじゃない?」


「ふえ?」

間の抜けた声の美鈴メイリン


鳳華音フォン・ファインは少し身体を離すと、ゴソゴソと自分の胸元をまさぐっていた。


「ほら…私のアミュレット、こうなっちゃったもん。」


ヂャラン。


その手には、砕けた防御アミュレットが。


美鈴メイリンのは大丈夫なんでしょ?」


「え?えーと…。」

美鈴メイリンも自分のアミュレットを探ってみる。


チャラ…。


「あ、…私のは砕けてませんでしたわ…。」


「貴女は自分の身体を楯にして私を庇ってくれた。」

「その時身体を強化してたんでしょ?」

「その強化がそのアミュレットにもたまたま及んでいた…偶然だと思うけど。」


「あ、つい必死で考えが及ばなかったというか…。」


「いいのよ、アレはしょうがなかったんだし。」


「だから私の負け。」


美鈴メイリンから自ら離れて立ち上がる鳳華音フォン・ファイン


美鈴メイリンも遅れて立ち上がる。


「それ、貸してくださいな。」

 

美鈴メイリンから無事なアミュレットを受け取り、自分のと両方を掲げる。


「ご覧の通り、私のアミュレットは砕けてしまいました。」


「しかし美鈴メイリン選手のは無事。」


「よってこの試合、美鈴メイリン選手の勝利です!」


オオオオオーッ!!!

観客席が一斉にどよめいた。

二人の無事も合わさり、大騒ぎとなった。


かくして、鳳華音フォン・ファイン自らの勝敗宣言により、騒乱のうちに今年の貴族学院代表対抗戦は幕を閉じた。


そして試合の翌日、表彰式が執り行なわれた。



優勝は…やはり美鈴メイリンさんでした!


鳳華音フォン・ファインさんも善戦しましたけど、一歩及ばずでした。

…ん?一歩、だけなのかな?


それより、まさか鳳華音フォン・ファインさんの方は…美鈴メイリンさんを…?

わ、私の考え過ぎ、ですよね?


そ、それはともかく、次話にてこの章も終了です!


本当に信じてますからね、美鈴メイリンさーん?!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ