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慈悲深い仮面の剣豪は、実は血を見るのが苦手な中華風TS美少女です!  作者: 長紀歩生武
第一章【高等部入学編】
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第十一話【安月夜(アン・ユーイー)先輩の秘密】

楽しいお昼休み。

それも仲の良い友達同士なら尚更。

しかし、そんな憩いの場所もとんでもないトラブルの場所へと変わるのでした。


お昼休み、保健室で寝ている愛麗アイリーを起こしてから四人で食堂へと向かった美鈴メイリン達。


「お昼休みを寝過ごさずに済んで助かりましたー。」

ぐっすり眠った愛麗アイリーは元気いっぱいだ。


「でも貴女を起こしに行ったから出遅れてしまいましたわ。四人座れるだけの空いてる席、もう無いかしら?」


「そ、そそっ…それはお嬢様が私に魔法をかけたから………!」


「シャーァラップゥッ!」

「貴女の変態を止める為に手段を選んでおられますか!危うくリー家の恥を学園中に広めてしまう所でしたわ、このたわけ者っ!」


スリッパで愛麗アイリーのお尻をスパーンと叩く美鈴メイリン


因みに頭を叩くとただでさえおかしな頭が更におかしくなるという理由からお尻を叩く事にしたそうだ。


「いったあ~い♪」

嬉しそうにお尻をさする愛麗アイリー


「何故そこで『♪』が付くんですか、愛麗アイリーさん…?しかも嬉しそうに…。」

聞くだけムダな質問をする芽友ヤーヨウ


「こういう主従関係もあるのですね。」

フムフムと関心を抱く明花ミンファ


明花ミンファさん?これは愛麗アイリー限定のかなり特殊な例ですので参考にはならないと思いますわ。」

美鈴メイリンが疲れたような笑顔で本当に参考にしかねない様子の明花ミンファを押し留めた。


(こんな事で可愛い明花ミンファちゃんと真面目な芽友ヤーヨウさんが変な性癖にでも目覚めてしまわれたらたまりませんわ!)


明花ミンファちゃんには、素直で純心な乙女であって欲しいのですわ!」


「メ、美鈴メイリンさん…?」

ポッと頬がピンクに染まる明花ミンファ


「おおー。これはこれは。美鈴メイリン様、とても良い傾向でございますわね?」

眼鏡の弦をクイッと上げてニヤリと笑う芽友ヤーヨウ


「お、お嬢様ぁ。そんなに明花ミンファ様がお好きなのですかぁ?」

瞳をうるうるさせながら嫉妬する愛麗アイリー


(はっ?!)


(しまった、途中から心の声が口から出てしまってましたわ~っ(汗))


「さ、さささ皆様?早くお食事に参りせんとね?オホホホ~~~☆」

とにかく強引に食事に押しきって誤魔化そうとする美鈴メイリンだった。


「それもそうですね、早くしないとお昼休みが終わってしまいますもの。」


「ホラ愛麗アイリーさん?イジケてないで参りましょう?」

芽友ヤーヨウ愛麗アイリーの手を取る。


「あ、ありがとう、ございます…。」

芽友ヤーヨウに手を掴まれた愛麗アイリーがポーッとする。


「おや?…これはもしかして?」


「まさか、愛麗アイリーさん…。」


ヒソヒソと話す美鈴メイリン明花ミンファ


側仕えの二人は手を繋いだままお嬢様達の前を歩く。


前を見て歩く芽友ヤーヨウを何度もチラ見する愛麗アイリー

そんな彼女を時折見てはニコッと笑う芽友ヤーヨウ


美鈴メイリンさん、これはひょっとするとあの二人…。」


「ええ、明花ミンファさん。かなりいい雰囲気ですわね?」


微笑ましいお互いの側仕えを眺めながらお嬢様同士もまた自然と手を繋いでいた。


無自覚にいい雰囲気な主のお嬢様達を振り返り、満足しながらも芽友ヤーヨウは思った。

(ああ、このままだと私、変態な友人が一人出来てしまいますねえ…もう遅いですが。)


そして愛麗アイリーは。

(…この側仕えさんも柔らかいお手手ですねえ。

グフッ、やはり美少女は良いです!)

思いっきりゲスな感想だった。


だが、互いに

(こんな美少女とお近づきになれて、ラッキー♪)

と、満更でもなかった。


そんなこんなで食堂に到着した四人は、たまたま入れ違いに席を立った四人のいた空席に座る事が出来た。


主従コンビが隣に座る格好で席に着く四人。

美鈴メイリン明花ミンファと、そして愛麗アイリー芽友ヤーヨウと向かい合う。


四人とも目の前の相手を少し意識して、顔が上気する。


「さ、手早くメニューから選びましょう。あまり時間も無い事ですし。」


「はい。では軽めの物がいいですね。」


「そのメニューの内容なら予め頭の中に入れてあります。」

芽友ヤーヨウがメニューを開くと素早く4つの品を指し示す。


「私達四人の好みの料理で軽めで早く来そうな料理がこれ、これ、これ、そしてこれです。」


「や、芽友ヤーヨウさんて有能。」

愛麗アイリーから尊敬の眼差しで見つめられ、芽友ヤーヨウの気分が上がった。


それから10分後。


注文した料理に軽く舌鼓を打ちながら和やかに食事する四人だったが。


ガシャアア~~ン!


突然遠くの席から食器がぶちまけられるような音がした。


何事かと目線をそちらに向ける四人。


周囲もざわめき、音のした方を見ていた。


その視線の先にあったものは。


一人の女子生徒が散らばった食器と一緒に床に倒れていた。


「あ、あの方は確か今朝…。」

明花ミンファがその倒れた生徒が誰なのか気が付いた。


「まさか、安月夜アン・ユーイー先輩?」

美鈴メイリンは声を出すと同時に安月夜アン・ユーイーの側に駆け寄った。


明花ミンファさん、こちらに!先輩の容態を調べてください!」


「はい!」


芽友ヤーヨウさん、保健室の先生を呼んでください!」


「わかりました!」


愛麗アイリーもこちらへ!場合によっては貴女に先輩を運んでもらいますわ!」


「か、かしこまりました!」


明花ミンファさん、どうですか?今のところの先輩の状態は。」


「はい。やはりこれは例の修行による悪影響かと思われます。」


「では?」


「…………ここでは治療は無理ですね。膨大な魔力を注ぎ込める人でないと。そして宿っている霊獣を鎮められる人が必要です。」


「霊獣を鎮められる人と言えば…。」


「それなら私が可能だ。」


范燕巫ファン・イェンウーがそこに立っていた。


ファン先生?」

いきなり背後に立たれていたので明花ミンファが驚いている。


「私の持つ魔法は三つ。その中でも自信があるのが魂鎮めだ。」


「確か先生が自己紹介で語られた実家の家系が巫女でしたね。」


「そうだ。私の家系は神道と密教、それぞれの流れに魔法がミックスされて派生しているのだ。」


「なかなか珍しいですね?」


「この国、いやこの世界は様々な国の様々な魔法や霊術、宗教が混ざりあい今の魔法を形成している。それを考えればさほど珍しい事ではないさ。」


「お二人共、今はそれより先輩が!」


「そうでしたわね、先輩、私達の声がわかりますか?」


「…あ、……め、………美鈴メイリンさん……?」


「良かった、意識はあるんですね?」


「その、声は…明花ミンファ、…さん?」


「よし、応急処置だ。今から私が魂鎮めを行う。黎美鈴リー・メイリンは彼女に魔力、霊力、気、何でも良いからパワーを送り続けてくれ!」


「わかりましたわ!」


美鈴メイリンさん、大丈夫ですか?相手の霊獣がどれ程の存在かわかりません、要求されるパワーの量が果たしてどのくらい必要なのかさえも…!」


心配する明花ミンファの手を握り、落ち着かせる美鈴メイリン


「大丈夫ですわ。私を信じてくださいまし。」


「め、美鈴メイリンさん…。」


「…コホン。」


咳払いするファン先生。


それに気が付きパッと離れる美鈴メイリン明花ミンファ


「イチャイチャは事が終わった後で頼む。」


「し、失礼いたしましたわ。」


「で、ではまた後で…。」

明花ミンファが上気した顔で上機嫌になっていた。


(い、いけません!このところ明花ミンファさんとばかり仲良くし過ぎのような気がしますわ!)


【そうだな、もう少し先生や先輩ともイチャイチャしないとな?】


(べ、別に私、女同士でイチャイチャなんて…!)


【してないと?】


(…………し、してる、のか、な………?)


(ヤバいですわ。これはもしかすると、明花ミンファさんの百合パワーにとりこまれそうになっているのやも知れませんね!)


「…しかし、私のパワーを全開にすれば、どんな脅威であれ敵ではありませんわ!」


【お、おい?そのパワーはそこで倒れてる先輩に優しく注ぐんだぞ、今はな?】


(あ、そうでしたわ。)


美鈴メイリンは両手を先輩に向け、柔らかな光を注いだ。


「…よ、良かった。あの勢いだとその子を床ごと吹き飛ばすかと思ったぞ。」

ファン先生が本気で安堵していた。


「ご心配要りませんわ。ちゃんと先輩の生命を維持出来るよう注意しております。」


「よし、なら始めるぞ。」

范先生が真剣な表情になると周りで見ていた生徒達も静かになる。


食堂中に詠唱が奏でられる。


范先生の爪弾く言霊が空気中で光を帯び、次々と実体化してゆくと安月夜アン・ユーイー先輩の体内へと入って行く。


「これは…………。」


「先生、どうしたんですか?」


「いや。何でもない。」


「取り敢えず、霊獣を出すぞ。」


「え?大丈夫なんですか、そんな事して!」

明花ミンファが心配する。


「取り敢えずコイツは大丈夫だろう。」


ファン生徒が両手を天に掲げると、空気中から溢れた光から一体の霊獣が現れた。


「これは………ユニコーン?」


小さな子供のユニコーンだった。


時折怯えたように身体を震わせる。


「この子は天に返すとしよう。」


ファン先生が再び詠唱を始めるとユニコーンの子供の姿は消えていった。


「先生、先程のユニコーンの子供が安月夜アン・ユーイー先輩に宿っていた霊獣なのですか?」

美鈴メイリンが納得いかなそうにファン先生に聞いた。


「やはり、君もそう思うか。」


「ええ、先輩のあの苦しみ方、とてもあんな子供の霊獣が暴れたくらいとは思えませんもの。」


「残念ながらその通りだ。」

「その子を救うにはもう少し安全な場所が必要となるだろう。」


「と、言うことは…!」


「ああ。恐らく彼女の奥底には…ドラゴンが植え付けられている!」


「ど、ドラゴン?!」

明花ミンファ愛麗アイリーは、思わず美鈴メイリンにしがみつくのだった。


そして美鈴メイリンは。


(フッ…。相手にとって、不足無し!ですわ!)



【流石は前世男のTS令嬢だな。】


(せからしかーっ(お黙りなさい)!)


安月夜アン・ユーイーを襲ったアクシデント。

彼女の行う危険な修行は彼女の命を奪ってしまうのか?

ファン先生と美鈴メイリンは、月夜ユーイーを救えるのだろうか?

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