29 海中植物の脅威
植物への対処はめんどくさい!
温泉が湧き出る海にレヴィアマリンと共に潜航開始だ
現在水深1000メートル、水温30
この辺りには海藻が生えているようだ
見た目はコンソメケルプに似ているな
この海藻は襲ってくる事はなさそうだ、先ほどの海トレントと言う感じのやつは襲って来そうなので警戒が必要そうだな
現在水深2000メートル、水温20
どうやらここらから気を引き締めないと危なそうだ
海トレントは居ないが代わりに海藻が魚のように泳いでる
しかもこいつら大きさが異常だ、ロ海の魚があの大きさだったからある程度は大きいのだろうと思ったんだがな、こいつらは全長2000メートルもあるヘビのような海藻だ、全長100メートルほどの小魚?を捕食して吸収してるようだ、捕まった魚は食われると言うより体が徐々に溶かされ養分にされると言った感じだ
流石にこの深度でこの大きさは予想外だった、捕まったら面倒ださっさと深く潜る事にする
巨大植物に見つかる事も無く無事に通過できた、もしかしてレヴィアマリンが小さくて見えなかったと言うオチかもしれないがな、なんにせよ助かった
現在水深4000メートル、水温0
大量の植物に絡まれ中
「ああくそっ!、レヴィアマリンの装備にレーザーカッターも付けておくんだった!、効率は悪いがマイクロトロンで破壊した後アームで除去をしろ」
「了解しました」
多少苦労したがマイクロトロンで植物組織を破壊してアームで千切ってを繰り返して何とか脱出できた
まさか植物が種のまま漂ってきてくっ付いた瞬間発芽して襲われるとは思いもしなかった
やっぱりこの惑星の生態系は恐ろしい進化を遂げているようだ
レヴィアマリンの耐圧機構なら巻き付かれても壊される心配は無い
だが雁字搦めにされたんじゃ身動きが取れなくなるからな~
ちなみにこの植物には未知の成分も無く食用にも適して無い為に放置である
現在水深5000メートル、水温-5
「レブナント、停止だ!」
「!、了解しました」
周囲には何もない、ように見えてかなり危険な状態だと推察する
「スキャンには何も反応がありません」
「スキャンでも識別できないほどの微量な植物、カビの一種と考えて良いだろう、船体に付いてわずかだが増殖してるようだ、-5度の水温でも凍る事も無く活発に活動してるようだ、いや、これは船体に付いたから活発になったんだ、リアクターの熱を糧にしたんだ、リアクター停止!」
「了解しました」
「このまま自然潜航で深度を稼ぐぞ」
「バッテリーの容量は数日間持ちますし問題ありません、ですがカビの除去は出来るでしょうか?」
「分からん、が、ここより深く潜ればカビの増殖は防げると思うし、活動も不可能になってくると思ってる、どのみちこれしか手はなさそうだ」
「分かりました、このまま潜航します」
現在水深7000メートル、水温-15
「リアクター起動」
「リアクター起動します」
「カビは増殖してないな、それどころか船体から剥がれて行ってるようだ、やはりこの水温化では活動が出来ないんだろう」
「どうやらそのようですね、ですがこれ帰りはどうするのですか?」
「バラストタンクにヘリウムを生成して浮力を稼ごう」
「その手がありましたか、あまり量は作れませんが浮力を得る位は可能でしょう」
「帰りの心配事は無くなったしどんどん潜っていくとしよう」
「この辺りには今のところ危険な植物は居ないようです」
「スキャンにも反応が無いし、ソナーにも反応が無いと、何事も無いならそれが一番だな」
「そうですね」
現在水深9000メートル、水温-25
これはクラゲ?一見緑の葉野菜が動いてるようにも見える、しかも緑色に発光してるし
「レブナント、アレなんだと思う?」
「おそらくはクラゲ型植物では無いかと、スキャンが終わりました、プラントジェリーフィッシュ、植物クラゲでしたね、特に危害を加えてくるようでも無いですね、体内に猛毒を蓄えているので注意が必要ですね」
「そうなんだ、食べられるのかなと思ったら食えないやつだったか」
「キャプテン、何でも食べようとしないでください」
「野菜っぽかったからついな」
現在水深10000メートル、水温-30
「おお、これは見事な森だな」
「そうですね、森と表現するしかないほど確かに森ですね」
この辺りは無数の光の玉がフヨフヨと漂っている、その光に照らされて広大な森が海の中に広がっている
これ全部海藻なのか?ほんとに樹木のように見える、海トレントとは違うようだが
「キャプテン、スキャンが終わりました、どうやら所々に浮かんでいる岩場に自生をしている海中樹木のようです、樹木自体は普通?の木ですね、ただ樹木のいたるところに別の植物が根付いているようですね、そっちは残念ながら危険な植物のようです、近くを通る生き物を捕獲し吸収、根付いている樹木にも栄養を供給して生活している、所謂共生関係にあるようですね、樹木の方も光の玉の光で光合成をしてエネルギーを生み寄生植物に栄養を供給しているようです」
「なんとまぁ、このハ海は植物が多様化してるがこういう進化もしてるんだな~、なるべく近くは通らずに潜るぞ」
「了解しました」
現在水深12000メートル、水温-40
「いくら何でもこの水温で凍らないのは異常だな、そしてこの水温にもかかわらず植物が成長出来てるのも謎だ」
「まったくですね、この海では我々の常識が通用しませんね~」
「ロ海でも少しは凍ってたんだぞ、ハ海の海水は特別なのかもしれない、植物が生育するのには確かに凍ってたら育たないからな、何らかの成分が海水に混ざってる可能性が高いな」
「スキャンや各種計器には何も検出されてませんね」
「何の反応も無いんじゃ分からんな、さっきよりも樹木が密集して生えてきてるから慎重に潜るぞ」
現在水深15000メートル、水温-50
「情報ではここらのはずなんだが、それらしいものは見つかったか?」
「いえ、残念ながらまだ見つかってません」
「かなりの樹木が生えていてなかなか進めないな、相手はもっと巨大なんだし広い場所があるはずなんだが場所の特定が難しいな」
「そうですね、もう少し深度が低い場所がありますねそっちでしょうか?」
「ほう、そうかもしれないな、行ってみよう」
現在水深16000メートル、水温-60
「うわこれはすごい、ここだけ別世界だな、辺りに樹木は無く氷の回廊とでもいう場所だな」
「そうですね、所々光っているのは上で見た光の玉でしょうか?、真っ暗じゃないので我々としては進みやすいですね」
「なんか神殿とかそんな感じもするな、この先に居るんじゃないか?」
「あっ、反応がありました、海神ハ=サリの特徴と一致します、精神感応通信です!」
『ようやく来たか、待ちわびたぞ、人族の子よ』
「お待たせして申し訳ない、ですがこの海はかなり危険で進むのが難しかったのでご容赦願いたいです」
『はっはっは、無理もないな、この海の植物は異常進化と突然変異を繰り返してな、もはや手が付けられない状態になってしまった』
「笑い事では無いでしょうに、大丈夫なのですか?」
『大丈夫だ、この海以外では生きていけないほどにここの植物は特殊な進化をしてしまったからな』
「そうですか、海神ハ=サリが大丈夫だと言うなら問題は無いのでしょう、では持ってきた植物はどうすれば良いでしょうか?」
『外に出してくれればこちらで受け取るので大丈夫だ』
「では出します」
俺は持ってきた白甘の実とアロエを放出した
『ほうほうほう、これはすごい力のある植物では無いか、これは良い物を貰った、こちらからの報酬を受け取ると良い、他の誰にも用意できない特別な植物をやろうではないか』
倉庫を調べると巨大な重さにして1つ100キロほどの植物の種が5個あった
『その植物は発芽の条件が限定されててな植える場所が適切じゃないと発芽せんのだよ、この星では発芽不可能な種だからな、おぬしに託すとしよう、発芽条件などはその乗り物に詳しい情報を伝えておいた』
「ありがとう、まだよくわかって無いが良い物なのだろう、ありがたく貰っておくよ」
俺は行きよりも慎重に帰り道をたどって海上へ出た
次話は戦力増強をしてみようかな




