28 イ=ニーとの邂逅
新しい鉱物だ~
名前考えるの正直きつい
現在深度10000、海水温度-10
新しい鉱物をいくつか見つけはした、だが成分的に何かに使える物ではなさそうだった
硬度が低い物、毒性を含む物、放射線を発生させる物、未知の成分を含んではいるが微量すぎて使えない物などだった、確かにこの海域では並の生物では生存できないな、極僅かにこの環境に適応できた生物だけが生き残ったと言う事だろう
現在深度12000、海水温度-20
ソナーで確認すると所々樹木のように何かが生えているようだ
植物かと思って少し採取して調べてみると、鉱物だった、鉱物が集まり枝葉のように蓄積して樹木のように生えているみたいだ、しかもこの鉱物は未知の成分を多く含んでいる、レブナントがウディウムと名付けていた、未知の成分は熱を吸収する性質がありホエイルイト合金と親和性があるそうだ
これを混ぜると更なる合金が作れそうだと何時になくはしゃいでいるような気がする
レブナントは何時からマッドサイエンティスト気質になったんだろうか?
頼むから変な物を作らないでくれよ
結構な量の鉱石を採掘していく
現在深度15000、海水温度-30
ここらに居るはずなんだが、ソナーで探しつつ進む
海神イ=ニーは巨大な亀だって言ってたな
しばらく進むとソナーに巨大な山の反応があった
もしかしてこれか?
スキャンが使えないから確証は無いが、この辺は平らな地形で他に山は存在していない
もう少し近づいてみよう
『よくきたのぉ、まっておったぞぃ』
「キャプテン、山からの精神感応通信です、海神イ=ニーだと思われます」
「海神イ=ニーで間違いないだろうか?」
『そうだぞぉ、我は海神イ=ニーとよばれておるぅ、他の惑星の鉱物をもっているそうだなぁ、我にくれぬかのぉ?』
「色々とありますが数はそれほど多くはありません」
『かまわぬよぉ、人の拳ほどの大きさがあれば足りるからのぉ』
「では魔鉄とミスリルで如何でしょう?」
『それでよいぞぉ、我の上に落としてくれれば回収するでのぉ」
俺は言われたと通りに海神の上へ落とした
『ほう?ほうほうほう?、これは面白いのぉ、おぬしのおかげでこの海にも新たな資源が生まれるだろう、まことに感謝するぅ、我からのお礼を受け取ると良いぞぃ』
「キャプテン、倉庫に大量の未知の物質が保管されました」
「スキャンしてみろ」
「もうしています少々お待ちください、これは重力を一部遮断できる物質で構成されてます」
「なんだと!、なんてすごい物を貰っちまったんだ、海神イ=ニーに感謝する」
『かまわぬよぉ、我も新しい素材が手に入ったのでなぁ、この海に根付くのに数百年はかかるだろうがなぁ、我らは定命の物では無いのでなぁ、先が楽しみだのぉ、ふぉっふぉっふぉ』
「キャプテンこの鉱物をグラビライトと名付けましょう、重力の一部、正確には30%ですが遮断し惑星からの影響を軽減できます、またこの惑星で見つけた他の鉱石との親和性も高く、新たなる合金を生み出せると思います」
「それは何よりだ、ここの用事は済んだし戻るとしよう」
「了解しました」
俺達は海上まで戻ってきた
貰ったグラビライトは2トン分あった、途中でウディウムも2トン分積んだので結構積載量がぎりぎりになった
「次は海神ハ=サリだな、ある意味ここが一番厄介かもしれんな、植物が襲ってくるとなると対処が難しいからな~」
「そうですね、ですがまずは手に入れた鉱物を使って各種性能の向上を図った方がよろしいかと思います、一度上まで戻って合金の精製などをしてからの方がより安全でしょう」
「そうだな、レヴィアマリンの外装強化が出来れば行くのも楽になるだろう」
俺達はいったんマッドアングラーまで戻ってきた
「合金の配合はレブナントに任せるぞ」
「お任せください、いくつか試作品を作ってみます」
今日の予定はもう休みで良いだろう
合金の試作品も1日くらいかかるだろうしな、皆とのんびり過ごす事にした
夕食はカルシクラブを美味しく食べる方法を模索するため色々な調理をしてもらった
だけどやはりすごくうまいと言う事にはならなかった
一番ましだったのが身を一度茹でて米と一緒に炊きこんだカニ炊き込みご飯だった
次にカニ入り焼き飯
その次はカニ雑炊の順だった
全部米との料理じゃないか!
カニ単体だとどうしても味が薄かったなのに米と一緒に調理するとましになると言う不思議食材だった
夕食後は皆と一緒に過ごした
翌日
「キャプテン、おはようございます、合金の試作品がいくつかできました、そしてかなり実用性の高い合金を作る事が出来ました」
「おお、それはすごいな、どんな性質を持った合金なんだ?」
「まずはホエイルイト合金とウディウムを混ぜてホエイウディルイト合金を作りました、それを更にグラビライトと混ぜる事で実用性の高い合金が出来ました、そしてチタニスリル合金との融合が出来ました」
「おいおい、全部混ぜちゃったのかよ、いったいどんな化学変化があったんだよ」
「もう完全に別物の合金になったので名称を『アルテマ合金』としました、究極の合金と言っても過言では無いでしょうし」
「ほえ~、そんなにすごくなったのか、性能の方はどうなったんだ?」
「あらゆる衝撃、熱、腐食、放射線、更には重力を一部遮断する事で合金を使用した際の重量が38%ほど軽くなります、唯一の弱点としてはそんなに多く作れない事ですね、合金精製の際に化学変化で多少素材が減ってしまう事が分かりました、凡そ10%ほど質量が減っていました」
「そうか、まぁそれは仕方ない事なんだろ?、だったらしょうがないさ、出来た分を何に使うか検討しよう」
話し合いの結果マッドアングラーとアネモネを優先する事にした、まぁ当然と言えば当然だな
今回の材料では他に回す分が足りなくてどうにもできないな
イ海へ行って見つけてくると言う手もあるかもしれないが、どこにあるか分からずスキャンが効かないためにどれだけの時間がかかるか予想がつかない、探しに行くのは後回しだな、まずは海神ハ=サリに合いに行く事にしよう
アルテマ合金は用意できなかったがホエイウディルイト合金なら用意できた
この合金でレヴィアマリンを強化しておく
獰猛な海中植物が居ても問題ないだろう
マッドアングラーのドックでレヴィアマリンの外装の換装を急ピッチで行い2日で完成した
さぁこれで海神ハ=サリに合う準備は出来た、いよいよ出発だ~
ハ海上空
うわ~お、これはすごいな、海が森になってる、何を言ってるか分からないかもしれないがそう表現するしかこの現状を例えられない
しかもこの森はワッサワッサと動いてるな、トレントとかそんな魔物と見間違えそうだな
流石にあの森の真ん中へ降りる気にはなれないな
どこか安全に海に潜れる場所を探した方が良さそうだ
しばらく空をさまよい良さそうな所を見つける事が出来た
何故かこの辺りには植物が居ない、念の為水質や周辺の気温と水温などを調べてみた
その結果この場所は温泉が湧いてるようで植物たちにとっては住めない環境のようだった
ここの温泉ちょいと改良すればみんなで入れる露天風呂が出来るんじゃね?
皆にはこの近くに拠点を作ってもらって露天風呂を作ってもらおうかな
そんな訳で皆にはここで拠点&露天風呂建設をお願いした、戻ってきたら皆で温泉を楽しもうと思う
アデリアがやけに張り切ってるようだ、何やら温泉でご主人様とムフフ~とか呟いている
まったくアデリアには困ったもんだ、他の子に悪影響が無い事を祈りたい
とりあえず準備を済ませて海神ハ=サリに会いに行くとするか
次はハ=サリだ~




