第九十六話 宅配4
シュー……
扉は粉々に跡形もなく壊される。ところどころ、マグマのように垂れ落ちているのがわかった。互いに見つめ合っているフローラとベルルの姿がある。
そして……
「逃げるが勝ちじゃ!!」
「待ちなさい!!」
ベルルはその場から一目散にどこかにかけていく。フローラは追いかけていく。ぷかぷか浮いている従者ロートが目を覚まし、ゆっくりとあがってきてはいう。
「これが魔女の戦いですか……恐ろしい」
「ある意味恐ろしいな……」
ロートと俺も部屋の中に入っていく。入口に入ったところからすでに特徴的な廊下をしており、一人で住むには大きすぎると思ってしまった。
足音を頼りに色々な部屋を進んでいく。互いに追いかけっこしているのかと思うと、むしろ楽しそうに思えてくる。メイド服のフローラに追いかけられるのいいなーと思いつつも二人を探す。
どうやら従者自身も入ることは初めてであり、内装が全くわからない。
迷路のように入り組んでいる部屋に把握するのが一苦労だ。ようやくフローラに追いついた。目の前には鍵の付いた部屋。
「フローラ」
「あゆむさん」
ようやく追いついたと思えば、籠ってしまった。壊すことも考えたそうだが、思いとどまったみたいだ。
ゆっくりと扉の前で俺は話す。
「俺は夢乃あゆむだ。この世界に突然やってきた旅人だ。事象解決手伝ってくれないか?」
「……」
反応はない。フローラがそれを聞くなり、表に出ようと行動していたが従者ロートが遮る。
俺は後ろを見ては、フローラと従者ロートに告げる。
「ちょっと考えたことがある。聞いてくれないか?」
そう言い、ベルルに一言告げ後にした。
「あとでまた来る」
俺の行動に疑問を持たず、その場を後にした。
椅子に座る二人を見ては俺は話した。
「まず、第一条件にベルルの過去を聞きたい」
「どうしてそんな急に?」
フローラは疑問に思っていた。俺はその質問が来ることを読み回答する。
「俺も似たような状況だったからだ。ベルルの行動を見るとすぐさま思ったんだ。そもそもニートしている奴は何かしら問題があって籠っている。やみくもに連れ出しては意味がない。今回の作戦は一度顔を拝みたかった。それだけだ」
「そうですか……」
ここまで回避することに対しては何か問題があるに違いない。俺はそう確信した。従者ロート、フローラの二名は知っていることを話始めた。
「きっかけはそう遠くありません」
従者ロートから話す。唐突に引きこもりになったわけではない。それは俺も十分知っている情報だ。強欲、嫉妬、暴食、この三人の力により、ねじ伏せられ、引きこもりになったと俺は聞いた。
城から出ることができない呪いにかけられた。だが、今はそれが解け外に出れるようにはなっている。
従者ロートからも同じようにそう話してきた。ただ呪いが解けてもなおでない理由はロートもわからずじまいだった。そこからフローラが語り始める。