第九十三話 宅配
俺はニートが扉を開ける一つの方法のため作戦を練るべくその場を後にした。今回は非常にシンプルであるが、演技が求められる。
宿泊中のホテルの中で従者ロートとフローラの二人の前にホワイトボードを使い説明をし始める。
「ニートをあの場所から出すのは酷だ。だが、簡単にだす方法が一つある」
椅子に座りながら聞いている二人は、興味津々だ。
俺はそれを見つつドア顔で放つ。
「宅配作戦だ!」
「「宅配作戦?」」
テレビであるような反応をいただけたことに対して面白いと苦笑しつつも説明した。
実にシンプルで簡単な作戦だ。ニートはほぼ何があっても扉を開くことがない。だが、一つだけ開く方法がある。それが、宅急便が来たときだ。
何よりこの国は俺が元いた世界に類似している。だからこそできることだ。従者ロートに宅急便に関する情報を聞いたが、そこまで発展はしていないが、あることにはあるみたいだ。
いつも従者ロートが荷物を請け負い、扉の前に置き、いなくなったと同時に取りに来るというスタンスみたいだ。最後は確実に本人が現れる。そこを狙う。
ただ、ニートは警戒心が非常に強い。だからこそミスは許されない。そして、俺は魔法防御に関しても一つ気がかりになった。これまた従者に聞けば、主に攻撃魔法が防御されるというのだった。
魔法がどれくらい使えるようになろうとしても、結局のところ力はせいぜい従者レベルを防御すると考えた。かといって魔女が爆発的な大きな魔法を使用したら意味がない。
攻撃魔法は合えてせず、擬態のようなものを使う方針を考えた。
そして荷物だ。大体扉のチェーンをしているに違いない。そのまま何かの棒でとることを予測する。ならば、確実にチェーンを外し、自ら取らないといけないものでなければいけなかった。
そこで出てきたのが……携帯だ。
携帯自体は小さいものだが、俺はこの国の水準と照らし、ニートが受け取りそうなものを選んだ。気になりそうなものは箱から音がなり、それがサブカルのものだ。アニメやゲームが好きに違いない! っと俺はそこは適当に考えた。だからこそ、当たってほしいという願望があった。
たまたま携帯の中にゲームの曲があった。しかも、それは大人気のRPGゲームのBGMだ。これが好きでないものがいないだろう! そう思えるほどの確信的ゲームだ。
だが一つ問題点があった。
「従者が1年ぶりに来て、果たして気前よく荷物を受け取るかだ……」
「申し訳ございません。力不足で……」
「いやそうではないさ。ただ、受け取る方法……」
警戒心が強い以上、近日にはいかない、同時に下手にばれないような荷物の渡しをしなければいけない。
俺はそれを考えていくうちに一つの可能性が浮かんできた。
「通いだ……」
「夢乃様、通いとは?」
この国の水準が高く、同時に街の至る所には和風な作りのものが作られていた。俺とフローラの素性は怠惰の魔女ベルルは知らない。だからこそ、外部からの人間が他の国や村に客を寄せ、手紙をわんさか送り届ける。これを大体3か月ほど費やしていけば、ばれずに済むというものだった。
「気の遠くなる作業ですね……」
「ニートはそれほど強固なんやで……」
「そうなんですか……」
そして作戦を練りに練った結果実行することになった。