第九十話 到達3
魔女の部屋まではエレベーターなりを使い、最上階まで行く必要があった。そのエレベーターまで進むまでも長い道のりであり、この大きなお屋敷に一人で住んでいるとなると恐ろしいとさえ感じるところがちらほら見受けられた。
エレベーターを使い最上階へ。開かれると、そこは薄暗い一本道がある。周りには蝋燭しか灯っていないほどの明るさだ。道なりに進めば、大きな扉があった。
従者ロートは、それを見るなり軽くノックをする。
「魔女さま、お客様です」
3分経ったが反応がない。中に本当に人がいるのかと思えるほどの静けさがあたり一体に立ち込める。扉の上には大きな丸時計があり、針がここから去れ! っと言わんばかりに、音を刻みながら動いているように思えた。
従者ロートはしびれを切らし、自らカギを開け一人その向こう側へと進んでいった。
自然と放置されるフローラと俺。中で何が行われているのかは開幕見当もつかない。あまりよくないとは少なからず思った。
そこから数分と時が刻まれる。両側に長椅子があり、腰掛つつ従者の帰りを待つ。隣にフローラが座っており、足をぷらんぷらんと動かして暇つぶしをしている。なんともかわいらしい。
さらに時間が進む。体感では数十分といったところ。ただ待つだけの何もない状態が続き、フローラと俺は互いに顔を見合わせて疑問に思う。
「このまま戻ってこなかったらどうするか?」
「どうしましょう? 私はあゆむさんと一緒なので苦ではありませんよ」
なんともまあ、お気楽な考えだこと……
フローラは現状に不満を持たずだ。まあ、だからこそ、イライラもせずのんきに過ごせるというわけだ。見習いたい点だと考えた。
「ところでさ、この国の発展に関しては、何か心当たりない?」
俺はフローラに対してこの国の発展について問いかける。フローラと怠惰の魔女ベルルは、過去を聞けば知り合いだったということだからこそ、何か知っているのかという。まあ暇つぶし程度の会話だ。
「そうですね。昔から美しく凝り言ったものを作ることが多かったですね。これもそのうちの一つだと思います。彼女にとっては作品と考えていると思います」
「作品か……」
国を作品と表現する当たりベルル自身の意図はわからないにしても、ここまで完成されたものである以上。わからないこともない。花弁が落ちていないにも関わらず、落ちるような演出のようなものも時よりあり、細部までのこだわりは非常に強いと感じた。
結構めんどくさそうな性格かもしれないと微量ながら思ってしまった。