第八十一話 水準4
「朝だな……」
外の日の日差しとともに起きる。時間なんて言うのはとっくの昔に消え失せたわけだが、こうして、自然に起きることに慣れてくると、人間はよくできていると思わされた。ただ、一点だけを除いて……
「朝ですね! おはようございます! 夢乃あゆむさん!」
「おはようございます……」
「どうかなさいました?」
「いえ……なんでも……」
なぜか、一人部屋なのにフローラが朝からいる。部屋の中に。昨晩のことに関しては、記憶が薄れており、はっきりとしたものが残されていない。だからこそ言える。何があったのかわからない。
フローラに関しては、笑顔でこちらを見つめ何事もなかったかのように過ごしている。驚くどころか馴染んでいるようにも見えた。
それから何やかんやあって、街を歩くことになった。くまのぬいぐるみ姿のルーシィさんは、どこにいったのかわからず、部屋にもいなかった。予想では昨日戻ってこなく、そのまま外出していたのだと考えた。
フローラからしてみれば、何もかもが初めて見る光景のようで、目をキラキラと光らせていた。俺はというと、やはり妙に馴染みがあるようで、目新しいといった感情が何一つ浮かんでこなかった。
だからなのか、フローラも不思議そうに慣れている行動をする俺を見ていた。
「あの子が、ここまで発展させるというのが驚きです」
「怠惰の魔女と知り合いなんだ」
「そうですね。ラスティと仲良かったの覚えてますね」
「喫茶店でも入って、話してくれないか?」
「わかりました!」
それから、近くの喫茶店に入る。出てくる食べ物もきらびやかになっており声が出せなず、表情で表現していたフローラが目の前にいた。なんともかわいらしい、そう感じながらも、話を進めていく。
この国の水準は、下手すればトップと言われるレベルに高く。争いをしていたころとは違った印象を受けたと話す。そもそも、怠惰の魔女は、どちらかといったような性格をしており、やるときはやる。やらないときはやらない! っといったようなわかりやすく、めんどくさそうな性格を持っている。
ただ、フローラ曰く、それが長期的なものには該当しなく、大体中途半端で終わることがしばしばあるとされている。ラスティと仲が良く喧嘩していることが多かった。大体ラスティの方が泣かされていたなんて言う話を聞くと、何か別の趣味にでも走ってしまいそうな気持を抱いてしまう。
ルーシィが前にも話していたことがフローラからも出てきており、どうやら、この世界でも通じないような言葉を使うとのことだ。俺はここに来てから、結構な日が経つが、それでも最初から言葉が通じていた。それでもわからない言葉がある! というと、何か別のものを感じてしまう。
もしかしたら、言語の違う国が、この世界でも確認されるのではないのだろうか? そう思いつつ、楽しそうにスイーツを食べているフローラを見て和んでしまう自分自身だった。