第七十一話 決意4
ドガン!!
ものすごい轟音と共に繰り出される攻撃になすすべなく、身を隠すことの出来る場所に移動する。やりすぎたのかのかもしれないという心の中の葛藤がひたすらある。
しかし、考えても仕方ない。それにあれ以外の方法が何一つ思いつかなかったのも理由としてある。
十分やったのかな? そう自分自身の問いかけるようにして考え事を済ます。
現状は目の前のフローラを何とかしなければいけない。狂うことなく降ってくる攻撃。魔法陣から繰り出される魔法弾は、対象とは関係なく発射される。
至る所にその弾丸はちりばみ、進むことは愚か距離を取ることさえままならない。局所的なその魔法弾。当たれば、そこで試合終了。
魔法という能力があっても、これほどまでの魔法弾を回避しつつ攻撃するのは至難の業に近い。それほど彼女自身の攻撃は驚異的なものだった。
「これが魔女の力で、上から数えた方が早いとかいうクラス……過去に何度も見たが、これほどとは……」
光景を見るなり、関心とともに湧き出てくる期待に近い何かに俺はある意味驚きを隠せないでいた。こんなにも死が近いのに、こんなにも荒れ狂う猛威が目の前に広がっているのにもかかわらず、自分自身の中では何か別の面白さを開拓していたように思えた。
ここまで来るといよいよ言葉での意思疎通は不可能と感じる。だが、ここから何か行動を起こさなければ、永遠とこのままだ。
そうなると、こちらもいつかは見つかり滅多滅多にされかねない。強欲の魔女マリリンと同じように魔法の使いすぎによる持久戦はフローラに対しては、ほぼ不可能な作戦。
底なしと言われるほどの魔力を持ち合わせているのがフローラの能力だ。なので、その前に広範囲を主軸としたスタイルに変化したら、打つ手なしの即終焉。
だとするのならば、早期解決ぐらいしか方法が見当たらない。
現状俺が持ち合わせているのは、よくわからない神の遺産の加護と……
「これか……」
手に持ち眺めていたのは、ラスティからもらい受けたアクセサリー一つくらい。これは防御系のものであり、魔法を一定の回数分だけ無力化できるもの。すでに選択はこれくらい。
神の遺産の加護なんて言う常識から疎外された代物は、俺の脳内には解読不可能だったため選択肢から外れた。ただかざせばよいアクセサリーのみになった。
自身を守りつつ、俺は最後の作戦に打つことを決心した。どこからか得た知識であり、それを実行するのは大体能力バトルで使われるものだ。しかも、下手したら寒い。
それでもやるしかない。そうでなければ、終わりが見えなかった。
覚悟を決め行動を開始する。