第六十四話 戦闘2
ドガン! ドガン! ドガン!
強欲の魔女マリリンは動かず、その場から魔法をぶっ放す。魔法陣を目の前に展開させて、撃ち放つ。くまのぬいぐるみ、スーは難なく回避する。
俺はと言うと、必死になってなんか色々と隠れている。当たれば死は当然の結果なのだから……
くまのぬいぐるみやスーは、それを知りつつ攻撃もし挑発する。先ほどの疲れは嘘だったかのようにスーは機敏に動いている。空中を舞い、回避し、攻撃する。
洗礼されたその動きを見ると、どうして勝ったのかわからない俺がいた。
大体攻撃はくまのぬいぐるみがしていく、同じような小さい球を発射する感じだ。部屋の中はたちまち弾幕のようにあふれかえっていく。爆発、土煙、そこから現れる二人の姿、魔女マリリンは動かず攻撃、それが両者一歩も引かずに行われていた。
「くらえ!!」
ドガアアン!!
「っち!」
くまのぬいぐるみが一瞬の隙を付き、魔女マリリンを動かす。回避するために階段から離れる。その隙を見てかスーが間髪入れずに入れる。
「まってました!!」
ガギイイイイン!!
「従者どもが! この程度の攻撃で!!」
スーの得意な透明な攻撃を魔女マリリンは、魔法陣を盾にして防ぐ。互いに相打ちになり、火花が大きく散る。
正直完全にこちらが有利であることが見て取れた。ただ、三人とも全く疲れを見せていない。見せれば一瞬にして畳みかけられるからなのか、一切見せなかった。
魔女マリリンは、姑息な手段しか用いらないスーを狙い始めた。くまのぬいぐるみが攻撃した途端に間髪入れずに食い込んでくることもあり、非常にいらだったのだろう。
「この従者ほんと、嫌いだわ!!」
ドガッ!
「くっそ……」
間合いが見られ威力を抑えられず、壁に激突するスー、魔女マリリンはすかさず、魔法陣を展開し放出しようとする。
ドガアン!!
「っく!!」
くまのぬいぐるみは、それを助けるかのように魔法をぶっ放す。難なくスーを助ける。俺は一体何をしているんだろうか……そう思えて仕方ない。ただ、無駄に行動してはかえって迷惑な気がする。
そう思い、まだ隠れ続ける。
魔女マリリンは、めんどくさくなったのか、いよいよ魔法陣を両手に出し、追尾性の弾丸を発射する。くまのぬいぐるみ、スーは追いかけられながらも回避に専念。
数をより多く出し続け、スーは自身の攻撃もろとも破壊し、相打ちにさせる。
くまのぬいぐるみも同じように相打ちにさせる。だが、見誤ったのか煙を貫通し、マリリンの攻撃がやってきては追撃される。地面に引きずられながらも、再度追ってきた弾丸を返り討ちにする。
どちらも引けを取らない戦況が続く、互いにけん制し合いながらも、本気の一撃を与えてないようにも見えた。