第六十一話 異形4
確定だ。何らかの理由で強欲の魔女マリリンは、離れることができない。俺はようやく突き止めたのだ。
「なぜ……? なぜわかる……」
「ここまで力を持ち合わせているものがどうして、こうも遠回りなことしかできないのか? 俺は考えた。結果はすべて自らの存在に対しての籠城であったことが答えだ。お前はその身を酷使しすぎたのか、それとも何らかの理由で姿を現すことができない。だからこそ、その正体を幻惑という魔法によって作り変え、この国を保っていた。外部から寄せ付けないようにとな」
強欲の魔女マリリンは、自らの正体を悟られまいと、幻惑の魔法を用いて行動をしたと推測する。嫉妬の魔女レヴィア、暴食の魔女と手を組み、自分の理想郷を実現するべく行動をしていた。他の魔女と戦うためには手を組む必要性もあったことは頷けるが、ここまでの力を持ちわせていながらも、手を組む必要性があったのだろうか? とさえも思えてくる。
嫉妬の魔女レヴィアは、正直頭が非常に悪い。ガキが王やっているような感じだ。それほどまで悪い。結果としては強欲の魔女の陣営に組み込むことができた。そもそも、レヴィアの能力自体魔法が非常に束縛するのに適している。だからこそ、組み込むことにより、頭の回るマリリンが巧みに操作をすれば、その能力は無限に広がると考えたはずだ。
暴食の魔女は何もわからない。ただ、マリリンだけでも相当なやりてであるのは、火を見るよりも明らかは話だ。俺もそれは頷ける。
そして、何と言っても籠城だ。ここまで択一した能力を持ち合わせているからこそ、ここまでの完璧なまでの防御を作ることはできた。しかし、魔法は無限ではない。それは現在のスーを見ればわかること、彼は非常に疲れ切っている。魔法を使えば疲れる。体力と同じだ。
強欲の魔女マリリンは、国全体に魔法をかけている。それが無制限ではないはずだ。今もなお減り続ける魔法の力に彼女自身、攻撃魔法が得意ではないところを見ると、完璧な籠城作戦をする以外に、自身を守ることができないはずだ。
俺ら一行を入れた理由は今もわからない。ただ、嫉妬の魔女レヴィアが倒されたこと、憤怒ラスティとの面会、フローラといったものたちがこちら側についたことを知れば、やむなく入れることもあるだろう。でなければ、例え完璧な防御壁を持っていたとしても三人に一気に攻め込まれれば一瞬で崩壊する。
俺は今考えうることを言葉にして、マリリンに突きつける。
「ふふふ……そこまで理解し、乗り込んできた……まさかすぎること……驚いた」
「これが俺の答えだ。だから、このまま突き進めば、俺らの勝ちだ。終わりにしよう。強欲の魔女マリリン!!」
物語は、そう簡単に進むものではなく、俺はこの時自身の脳内に一つの疑問についてもっと細かく考えておけばよかったと後悔した。そう……俺の仮説は会っていた。だが、共に間違ってもいたのだ。
俺は階段下から暗闇の玉座の方を見入る。するとそこには……
「あなたの考える。その答え素晴らしいものだわ。ただ、私はこうして動けるのよ? それは計算に入ってた?」
「うそだろ……」
そこには、俺を遊んでいた強欲の魔女マリリンの姿があった。