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七人の魔女と一人の転生者。  作者: しじみかん。
色欲の魔女
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第五十八話 異形

「対象は夢乃あゆむ! それにスーだ!! かかれ!! 絶対の敗北を見せつけろ!!」


 召喚された兵士たちはゆっくりとこちらに向かって進みだす。あまりの量に、心折れかている俺がいる。しかし、隣にいたスーの表情は違った。


「まさか、お前……」


「最高じゃねーか!! 皆殺しだ!! 血祭りにしてやるわ!!」



ズガガガガア!!



 スーは間髪入れずに突き進み、一掃する。後ろから見ていてわかるが、スーの戦いっぷりは虐殺レベルだ。そもそも、人殺しを楽しんでやっていたものだからこそ、こういう時は強いのかもしれない。

 それでも、やりようは他になかったのか? そう思えるほどに倒し方が恐ろしかった。


 一人で半分以上を倒した途端にマークは薄ら笑いをする。



「さすが、嫉妬の魔女の従者様。これでは数の暴力でも一筋縄ではいきませんね。困ったものだ」


「お前ほど、窮屈な性格していると人生面白くなさそうだな」


「そうですか? 私は魔女様のために命ありだと考えております。ですので、こうして山賊を討伐するのは光栄に思っております」


「山賊ね~……その山賊にここまで足を踏み込まれた感想を聞きたいんだが?」


「私もここまで驚異的なものがいるとは思いませんでした。まさか従者が山賊に肩入れするとは……」


「そうか? 強い方に参加するのは自然なことだろう? それにすでに決着はついてるはずだ」


「何をいっている?」


「お前の魔女さんの秘密、後ろにいるあゆむが多少なりとも理解したみたいだ。その状態で勝ち筋はあるか?って話だよ」


「どんな状況下になろうが勝つ方法を模索するべきだ。スーよ。お前は間違っている」


「そうか……まあ、すぐわかることだ」


ドガガガアア!!


 スーの一方的な戦闘が良く見える。マークの召喚した兵士はみななすすべなく倒れていく。かなりこちらに分があるように見えた。しかし、それもつかの間。



「さすがに、スーに真っ向勝負は分が悪いか……」


「お前にしては、偉い気前がいいな」


「仕方がない。これならどのように来るかな? ―――強欲の幻魔獣バビドン・ヘル・ヴェルケーター――――」



ズドドドドド!!!


 階段を隠すかのように目の前に大きな禍々しい扉が現れる。たちまち、それは地面へと平行になる。

 扉が開かれ、そこから目に見えるほど大きな粒や霧が歓迎するかのように放出していく。大きな片腕がカーペットをつかみ直立になる。そこを支えにし、みるみると巨体な怪物が現れる。



グガアアアア!!!



「何だよあれ……」



 禍々しい扉から現れたのは、俺が今まで見たことのないような異形の存在だった。鬼のような見た目をしており、扉から上半身しか出ていないが、それだけでもこの女王の部屋を覆い隠すかのような大きさを持ち合わせていた。赤黒い大きな目玉が二つ付いており、牙が下顎から二本、口から出るほど長く、二本の大きな角がついていた。



「これが、私の召喚しうる最高スペックの召喚体だ。いくら夢乃あゆむでも、人ではない存在のものに太刀打ちできるかな? そうだな。特別だ。今まで死んでいったものたちを一気に復活させよう。これもつけて、キサマたちは、大いに盛り上がるがいいさ。ははははは!!」


「スー……これはさすがに……」


「何弱音はいてんだ? てめぇ? 先ほどのはったりはどこいったよ。言うても本体は人だ。ちと、めんどうだが、お前が本体を狙えば済む話だろ?」


「忘れてた。ああ、やるさ。必ず一発ぶん殴ってやる。あと、神の加護は本当だ。内容は知らないから、半分はったりだが、魔女が言うのは神の遺産によるものとかなんとか言ってたぞ。間違ってないと思うがな」


「は……? 神の遺産……最初から言えよ……」


「???」



 スーは俺の発言に対して、非常に驚いた様子だった。よほど神の遺産なるものが影響与えたのだろうか? 俺にはよくわからないその存在に対して、何やら知っている様子だった。この戦いが終わり次第確認とる必要があるかもしれないと思い、目の前に挑むのであった。

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