第五十一話4
「お久しぶりね。夢乃あゆむ」
「ああ……」
「決心はついたのかしら?」
「ああ……」
カーペットの中央に折れた点在する。その目の前には、長い階段がそびえ立っており、一番上には魔女がいる。魔女がいる場所は、暗く蝋燭の火でしか確認できない。うっすらと姿が確認できる程度であり、全貌はわからない。
しかし、俺は過去に全貌を見たことがある。だからなのか、そこまでの緊張しなかった。同時に、マリリンは美しい、そこに対して美を唱えるものもいるのかもしれない。俺からすれば、ある意味包み込んでくれる存在である以上、逆らうことはしないほうがいいのかもしれないし、そもそも逆らうこと自体間違っている。
強欲の魔女マリリンは俺を見るなり、ほほ笑む。
「ふふふ……ようやくって感じね」
「最初からここに来ることが想定済みって感じのニュアンスだな」
「そうよ? 私は最初からあなたがここに来ることはわかっていました」
すべてが操作は、俺も通じていた。少しの恐怖心を抱く。
「あなたに聞きたいことがあるの。まず一点にくまちゃんはどうしたの?」
「消えたよ。本当にどこかに消えていった。俺がこうしていくことに対して気に食わなかったように感じる」
魔女マリリンはやはり、くまのぬいぐるみを敵視していた。やはり相当な能力者であることがうかがえた。それもそうだろう。あんなにフローラとバチバチやりあったんだから、それで警戒しないのならば、ただのあほと同じだ。もしかしたら、自分の未来を脅かす存在かもしれないのだから、なおさら。
だが、今ここにはいない。いるのは俺のみ。どうして分かれたのかは、もうさっぱりだ。忘れてしまった。あれからどれくらい月日流れたことやら……
結構な時間が費やされたこともあり、もう作戦のことさえ頭になかった。時間と言う概念があまり存在しないこの世界で、時間を把握していてもほぼ意味がないだろう。
俺は、気が付けば太陽のようなものに左右され行動するようになっていた。元居た世界からすれば、衝撃的すぎる行動を今している。環境になれてしまえば、人間どうとでもなることが証明されたみたいだ。
魔女はくまのぬいぐるみがいないことが、うれしかったのか笑い声が絶えない。
「今のあなたは、どうしたいの? これが今一番聞きたいわ」
「俺は……」
すかさず質問をしてくる。やはり一番知りたい内容なのだろう。俺は今の真実を吐露しようと思う。魔女がそれを聞き、どのような対応をしてくるのかはさっぱりだが、別にさして問題はないだろう。
求められていることは、過去を見ればおのずとわかる。
俺は魔女に向かって告げた。
「あなたの傘下に入れて欲しい」