第四十九話2
魔女の城の目の前に立ち止まる。何度ここに訪れたのだろうか? 考えても仕方ない。考えるだけ無駄かもしれない。だが、俺はよくそこを知っていた。
意思が強ければ、本当ならばもうすでに倒しているのかもしれない。しかし、俺は意思が紙のように弱く脆い、だからこそ、ここまで伸ばし、挙句の果てには相手の思い通りにされている。
足は気が付けば、中央にある円形の噴水のところまで来ていた。何も考えず、ただ魔女のいいようにされたいと思ってからなのか、自然とここに来ていた。
今の俺からすれば、たぶん魔女との戦いは不可能だろう。だからこそ、悩みなくした結果ある道を進みたい。この国の人々のような自然となってみたい。そう考えていた。
すると、城の門の目の前に俺を阻むかのように一人の男性が現れた。
「おはよう、夢乃あゆむ」
「お前は……」
従者マークだった。俺との戦いに敗れ、挙句の果てに神の遺産という名のなんかよくわからない素晴らしいとされているものを与えてしまった。
結果としてマリリンを怒らしてしまった従者マーク。こちらを見るなり、挨拶をかわしてくる。表情は笑顔ではなく、今でも俺を殺しにきそうなものとなっていた。
「何か……ようかね?」
「魔女に会いに来た」
「単身、魔法がなくかといって他の能力がない君が魔女様と会う? バカげた話だな。散るぞ。立ち去れ」
「俺の安否を心配してくれるのはありがたい。ただ、俺は争うために来たわけではないんだ」
「ほぉ~……とても浮かない顔だな。まさか魔女様に反対していたものが魔女様の傘下に入ると思ってはいないだろうな?」
「……」
俺は質問に対して、無言で返す。結果それが仇となったのか、マークはため息をし、呆れた表情で言う。
「君は、一体全体どうしたというのか? 僕にはわかりかねない。ただ、無謀な挑戦としか思えない。そこまで意思のない人間だとは思わなかった。僕をここまで落ちぶれさせたものが、そうやすやすと落ちては困る」
「困っても仕方ない。俺には関係ないしな……」
「そうか……関係がないか……」
マークを後目に俺は城の内部へと進んでいく、向こうもこちらを一切見ることなく触れることなくただ立っているだけの人形のように何もせず城の内部へと通した。
今更ながら、間違いだとかは一切わからない。反対していたのは事実だが、今になって思う。悩みがすべて消えていくのならば、もう俺は俺としての価値を見出せない状態であるのならば、その価値を知り、欲しいと求めていくものに委ねるのが俺の最後の役目なのかもしれない。
そう考え進んでいく……