第四十七話5
一人になってしまった。これは慣れている。だが、一番心に来るのは他者がなくなったという事実。これが何より心を蝕む。
気が付けば、レジスタンスの基地に戻っていた。入口だけで察しては、去っていった。この中は一体どうなっているのだろうか? 生存者はいるのか?といったことを含めて、中に入っていった。
得ていくものは当然ないことは理解している。だが、一緒に戦った仲であり、生活した仲でもある。短い期間ではあったが、思い出は少なからずある。
夜更けまで飲み明かしたこともあった。今までとはだいぶ違った環境に俺も少しの気休めができたのかもしれない。それが、ここまでの惨状になり果てる。崩壊は一瞬。これがどれほどまでに残酷なことであることかは、今この現状をもってして再認識することとなった。
何もしてやれなかった。何も残せなかった。守れなかった。
俺はただこれが何よりえぐる内容だ。少なからず、誰かが生き残り、そうすれば俺自身が救われると勘違いしていた。これはレアのときもそうだ。生きていたことに対して安心しては、彼女の心を読もうとしなかった。他にもたくさんある。今までのこと踏まえて、何一つ相手を理解しようとしてこなかった。
だからこんな惨状を招いたのかもしれない。だが、今の俺としては、それをどうこうするほどの能力は持ち合わせていないし、例え持っていたとしても、それをうまく行使できるとは到底考えれなかった。
強欲の魔女マリリンは一体何がしたいのか? 理想的な世界を作ろうとするのならば、ここまでの惨状を晒すことは果たして意味があるのだろうか? 前に俺に対して、魔法に関して説教くさいことを話していた。結局今もわからず仕舞いだ。
コールには、先輩面のようにし人生語っても、結局のところ何一つできず、本来言われるのは俺の方なのではないのか? 不安は更なる不安を増し、俺と言う自我を崩壊させてきていた。
どうすることもできない現実を直視し、ただ膝を付き目の前に転がる死体を見つめるだけ。
暗がりの基地の中、ただ歯を食いしばって眺めているだけに過ぎなかった。何度この後悔や懺悔を繰り返したのだろうか? 数自体覚えてさえいない。全くといっていいほど成長の見えない自分自身に嫌気すら感じる。
そう思い俺は、次第に強欲の魔女マリリンの持つ能力に対して憧れを抱き始めた。人を操る能力。操られた人達は、操られているとは思っていない。だから、幸せなのかもしれない。
知れば、レジスタンスのような活動家がやってくる。しかし、それは人である以上仕方ないのかもしれない。
俺は必要なものだけを持ち単身で強欲の魔女マリリンの城へと進んでいった。