第四十六話4
「私はわざと、エブリンに花畑を招待した。そして、ここでコールに誓うと話した。なのに、叶わなかった……エブリンにはコールが単身で城に攻め入ったと話された。危ないと思っていったけど、そんな無頓着な人ではないこと知ってたし、罠だって理解した」
レアは頭が回る方ではない。だからこそ、離れて欲しいように話した。それを使われ挙句には心中。俺はその事実を聞き、仲間同士の争いに対しての理解しえない、やるせない気持ちがあった。
「時間が経ってから、花畑にいったら、なぜか二人は互いに手を繋ぎ、中心部分の一番綺麗な場所で落ちてたなんて……」
崖はそれを待っていたかのように、ぐらつき始めた。重さには耐えられないかのように軋む音が響いてくる。俺は必死の思いでレアの方へと走っていく。
「早まるな!! 待て!! まだ……まだ!!終わってない!!君はここで死んでいい子なんかじゃない!!やり直せる。君も話したろ? レジスタンスだからって! 逃げずに立ち向かおう!! 俺がいる! いるから!!」
俺の話を聞き入れたのか、満面の笑みを返してくれた。それは悲しみや安堵といった様々な心のうちを読めるほど多彩すぎた。涙が頬を伝い流れていき、それが地面に落ちる。
すると、崖は砕けレアの重心も同じように傾いていく。
「あり……が……と……」
最後に彼女は何かを俺に話した。だが、焦っていたからなのかうまく聞き取れなかった。
崩れゆく崖を目の前になすすべなく膝から崩れ落ちた。結果何もかもを失った。これが現実であり、俺は後悔の面にさらされる。結局何一つ救うことができなかった。
「……」
何も考えれず頭が真っ白になる。現状完全に一人となった俺は、声にならない声をあげ始め発狂。
「ああああああああああああ゛!!!」
どうしても救えない。どうしたら救える? 魔法があってもこれが解決できたのかさえ怪しい。すべてが俺が来てからおかしくなり始めた。それはすなわち、俺自身の責任と言える。
ならいっそのこと、この身を同じように投げいれば、解決するのではないのか? 本気でそう思い始め自然と体が動いた。
しかし、本心ではそれを願っていないのか、恐怖心で踏みとどまってしまう。自分で死ぬことさえできない臆病者だという事実を自分自身で身をもって味わってしまう。
結局俺という存在は、無価値でしかない。むしろ不幸をもたらす。会えば誰か死ぬ。会えば誰かが不幸になる。ならば、いっそのこと行動しなければいいのではないのか?
俺は気が付けば、その場から離れ精神と体の乖離が起こり、喪失の状態のままある場所へと進んだ。