第四十一話4
「どういうことだ? いないって? いつからだ?」
「それが……」
兵士によると、どうやら、日が出た頃にはすでにいなかったそうだ。気がかりなこととしては、一人用ともいえる装備が一式消えていたこと。レジスタンスの主要メンバーである。コール、エブリン、レアの三人が同時にいなくなることなんて果たしてあり得るのだろうか?
そもそも一人用レベルの量の装備を持ち出すということは、三人のうちの誰かの可能性が非常に強い。他の二人は、装備がない状態になる。ならば帰ってくるのではないのだろうか?
いや、違う……これは魔女の攻撃。
俺はうっかりしていた。何も考えずのうのうと生きていたことに対して怒りがこみあげてきていた。
一瞬の恐怖という予想を抱き、それを目の前の兵士に伝えることは、さすがに骨が折れる。一旦冷静に対処するとしてこう告げる。
「現状主要メンバーがいなくなっていることが、知られれば取り返しの付かないことになる。だから、今は朝早くから偵察として活動していると話しておいてくれ」
「あゆむさん。まさか……」
「装備は一式俺が持っていったとでもいっていれば平気だ。下手に主要メンバーの所在がわからないとなると、相当危ないんじゃないのかと思うしな」
「なら、あゆむさん。こちらを持って行ってください。何かの助けになるかと」
「ありがとう。平気だ。連れ戻してくる」
「御武運を……」
一人の兵士にあとは任せ、俺は単身で兵士からもらったサバイバルナイフを持ち探しにいった。何がどうなっているのかわからないのは、俺も同じだ。
だが、一つだけ確信に迫るのではないのかもしれない。そう思えるようなことがたった一つあった。これでは何も変わらない。味方を最初に疑うべきだった。後悔してもしきれそうにない。ただ今できることは、彼らの生存を確かめることのみ。
コールの安否が最優先事項として考えた。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
俺は息を切らし、呼吸を整えながらとあるところについた。一面が花畑になっているところだ。過去に俺は一度だけコールに話されたことがあった。
「この戦いが終わったら、俺は今までの思いをここで話そうと思う」
「……?」
「もうわかってるくせに、そんな表情されたら困る」
「レアか?」
「そうだ。幼馴染なんだ。元は俺の方が弱くってさ、いつも守ってもらってばかりだった。それが、逆転して今に至る。そろそろ、本格的に勇者になりたい。そう思ったんだ」
「そっか、何かロマンチストだな」
「かもしれないな。あゆむ、ありがとうな」
思いを話す。俺もフローラにそれができたのだろうか? ふとこの花畑で考えてしまった。ただ、今はそうではない。彼らの安否が最優先。
一歩踏み出した時、目の前にコールとエブリンの後ろ姿が見えた。
「嘘だろ……」
隣通しに後ろ姿でもたれ合いながらでも俺は気づいた。必死になって彼らの目の前に走っていく。
そこには、幸せそうに眠っている二人の姿があった。一面には色とりどりの花畑。美しいともいえるその光景を前に、俺は力なく膝を付き、気が付けば、声なき声を出していた。