第三十六話4
思った通りの言葉だった。やはり内心一番苦境に立たされているものだからだろう。レジスタンスのリーダーであり、周りを奮い立たせ何とかしなければいけない。今までとは違う光景に戸惑いすら見える。
人の死が近い状態だからこそだろう。俺は思うがまま話した。
「俺には未来が見えない。能力がないと考え悩んでいたが、それでも時間は進み続ける。だからこそ、何か達成しなければいけない。限られた時間で、この世界を大きく変えるために」
「考えが大きいんだな。想像がつかないや。自由だけを追い求めて進んできた。ただそれだけ、ここまで大きな壁であることすらわからなかった」
「夢があるのならば、それを持ち進むべきだと思う。簡単に達成できるものだったら、誰だってできるさ。難しいならば、達成した時の喜びは凄まじいものだと思うぞ?」
「それもそうだな。夢乃あゆむ、なんか助けられたよ。君がいなかったら、今はどうしてたことやら、そうだ。提案がある。力を貸してほしい」
「道は同じだ。手を貸そう」
互いに見合ってか、握手を交わす。向こう側はわからないが、俺は少しの安堵をする。この時点でどうしてそうなったのかは、考えたくもない。ただ、俺自身も恐怖していたのかもしれない。予想ではの話だが。
そうして、少しの話し合いが終わりレジスタンスの基地へと戻る。すると、周りの兵士が所狭しと、コールのもとへと進んできては口そろえて言う。
「コールさん。申し訳ございませんが、僕はこれ以上戦うことができません。本日付けで……その……」
現実は時として残酷なものを突き付けてくる。負は連鎖し、余計な問題を呼び寄せる。いつの時代、世界だって同じだ。恐怖あれば、逃げたくもなってくる。それも今までとは違った様式であることが多発している。死が簡単に目の前に現れ始めれば、誰だってやめたい。逃げたいと告げるだろう。
そもそもこういった行動でさえも、容易いものではないはずだ。彼らも必死になって考えた結果、こうして言葉がでてきたのだろう。彼らに対して何も抱くことはなく、ただ仕方ないとして考えるだけだった。
だが、コールはそれに対して告げる。
「まだ待ってくれ。ここにいるレジスタンスの皆に話すことがある。話はそれからにしてくれ」
一斉に駆け寄ってきたものたちは、リーダーコールの話を聞こうとし始めた。そのほかの者たちも顔をこちらに向ける。エブリン、レアも同じようにこちらを見入る。この時点で、何か察したのか、元気付けられたのか、全兵士ではないが、顔を上げ始めた。下ばかり見続けていたものたちさえも、こうして変わる。リーダーという存在に対して、少しばかり驚かされた。