第三十四話2
俺は考えているうちに、いてもたってもいられず前にでる。
「未来なんてわからない。だからこそ、今抗うんじゃないのか? レジスタンスのリーダーのコールさんよ」
「夢乃あゆむ……」
「俺は大きなことは言えない。だが、過去を通して今を語ることはできると思っている。だからこそ言わせてほしい。ここで諦めたら戦死した者たちはどうなる? 彼らの心を組むことが今なせる最大限のするべきことだと思っている。どうだ?」
似たような境遇をしてきたからこそ、ここで立ち止まってはいけない。未来がどうなるかは俺にはさっぱりだ。だからこそ、今できうることをしていかなければいけないと考えた。
それを聞きコールは深呼吸をする。
「申し訳ない。今までに体験したことのないことだったもので動揺していたようだ。俺もリーダーだ。ここで負けてしまえば、何も変化なく魔女の思うつもりだよな。ありがとう。夢乃あゆむ」
感謝された。大それたことは何一ついってないと思っていたが、彼がこれで立ち直りスタートを切れるのならば、それに越したことはないのかもしれない。
今までの経験や体験があるからこそ、彼の心情を理解できる。すべてではないが、仲間の死によって、未来のすべてに絶望するかもしれない。それでは何も変えられないし。魔女の思うつぼだ。なら、限界までチャレンジしてからものをいうべきだ。昔の自分を見ているように思えた。今も変わりはしないが、成長しているのかもしれないと俺自身は思っている。
三人での会話のあと、誰もいないはずの森から一人が急いで走ってくるのがわかった。
「コールさん!! 大変です!! レアさんが!!」
「レアが!?」
「急いできてください!!」
焦り、急ぎやってきた兵士からはレアに関しての言葉だった。その場にいた三人のうちコールの顔色が瞬くまに変化する。何かを知っているかのような表情で、それでいて焦りを感じさせるものだった。
俺たちはすぐさまその場からレジスタンスの基地へと戻っていく。
「レア!!」
ベッドに横になり、倒れているレアの姿を見るなりコールは名前を呼ぶ。
「平気か? また無茶したんだろう? 俺が不甲斐ないばかりにごめん」
コールの謝罪を首に横に振るレア
「大丈夫。私は大丈夫。いつも通り」
「いつも通りっていうが、本当か? もしあれだったら……」
「もし? また人様のこと? すぐそうやって戦力外にする。それこそ謝るべきだと思うんだけどなー私も精いっぱい尽くそうと思ってるんだから、リーダーであってもまだまだ半人前だよ」
「ごめん」
二人は、他愛ない会話をし、笑いあっていた。後ろから見ていたが、なんとも微笑ましい光景だ。むしろうらやましくさえ感じるほどだ。