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七人の魔女と一人の転生者。  作者: しじみかん。
強欲の魔女
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第二十三話 好意

 門前までたどり着く一行、門はそれを待っていたかと言わんばかりに自動的に開かれる。門番はおらず、開かれた先に兵士がこちらを見るなり、何もせず通してくれた。

 不自然と言わざる負えない招待の仕方ではあったが、俺たちは気にせず進んでいく。馬車から降り、街を見渡す。何もないと言えば嘘になるが、異常な静けさが辺り一帯を包んでいる。憤怒の魔女であるラスティからの情報によれば、この国の魔女は人々からの思考力を奪い、人形のように扱うと話していた。結果がこの状態なのかと思えるほどに辺りは静かな場所が目立っていた。

 もちろん、物を売っていたりと人がいないわけではない。建築物やらを眺めていると、街の人から声をかけられる。



「旅人さんですか? これはこれは、こんな辺境の地によく足を運んでくださいました。ここは不自由なく幸せに暮らすことを目的としている国です。旅人さんや他の国のお方の差別ないように心得ているのだとか」


「そうでしたか……あまりにも国として静かなもので、不思議と違和感を抱きまして……」



 俺は、話しかけてきてくれた年配の方に返答をする。人形のように操るとされていたが、対面した人の表情や話方には違和感がなく、自然と会話をすることもできていた。

 これだと問題が一つもないように思えてくる。しかし、街の風景とまったくことに年配の方から返答が来る。



「今は昔とは違い、数多くの自然災害などが起こり、これから来るであろう大きな問題を兼ねて魔女マリリンさまは、必要最低限の外出禁止令を出しております。問題は私たちにはわかりませんが、もうすぐと言われております。なので、それが終わればまた昔のように活気あふれる街並みが見れると思いますよ」


「なるほど」



 自然災害や大きな問題。俺はこの世界でもそれには勝てないと思った。魔法は絶対ではないということも踏まえて、俺たち三人は年配の方と話おえ、また散策をし始める。

 街並み自体はとてもよいところであり、俺が実世界でみたレンガ造りの家や建物が数多く存在した。ラスティの国や色欲の国とほぼ変わらない、その風景を見つつ国ごとの格差もそこまでないのかと思い絶っていた。

 俺が何より不思議に思っていたことが、嫉妬の魔女レヴィアとの戦いのときの兵士やフローラにしていた思考を奪う魔法。この世界でも同じように無表情で返答も虚しいものかと思われていたが、そんなことが一切なくかえって、ラスティが話していた事象解決への強力要請ができるのではないのか? そう考え始めていた。


 三人で旅の疲れを癒すべく喫茶店に立ち寄りお茶にする。そして、俺は二人に向けてあることを話す。



「不思議という感じかな。話聞いてたよりも落ち着いてる」


「まだ安心してはいけないよ。どこで何が聞かれているのかわかったものではない。なので、ひたすら警戒は怠らずにね」


「そうだな……」



 熊のぬいぐるみは俺にそう話す。ギャップがありすぎており、俺自身が問題ないと考えてしまうところだった。人々があまり外にはでていない。自然災害が原因とされているが、事実としては謎ではある。

 今の今までそういったお話は一切なかったこともあり、俺自身鈍っているのかもしれない。俺の世界でも、事実自然災害は多くあった。頻繁に起きていると、やはり警戒はするし、今はそれがメインと考えているのだろう。


 三人での会話の結果としては、今のまま城へと進んでいくことになった。結局のところ魔女と会わないと何も始まらない気がしたからだ。これからラスティの話す事象というものが発生する。したがって、強力を仰がなければ問題はさらに加速し、収拾がつかなくなるからだ。

 城の位置を見つけては、出発する。


 城へと歩いていると兵士らしき人物から声がかかってくる。突然なんだと思いつつも返答する。



「探していました。あなたが夢乃あゆむさんですね?」


「ん? そうですけど、何か?」


「魔女さまが、あなた方を探し求めていましたので、お連れするようにと」



 何が何やらわからないが、向こうからこちらを探していたということを耳にする。何か用でもあるのかと思いつつも、こちらの本命でもあるのですぐさま返答する。

 俺はそこで一つ疑問が浮かぶ。どうして、俺の名前が知れ渡っているのかということ。きっと嫉妬の魔女が話していたのかもしれないと納得しつつも疑問には残っていた。


 国の象徴とされる城、大きいことは大きいが予想外のところに点在していた。街を見下ろす山のようなところで作られていた。いわれるがまま進んでいき、気が付けば魔女の部屋の前に立つ。城の中も静けさがあった。兵士は結構な数がそこら中を歩いていたが、目立った違和感はどこにもなく平然と過ごしていたように見て取れた。強欲の魔女の思考を奪う魔法がちゃんと機能しているのかといったことを深く考え始めようとしていた矢先、門は開かれる。


 中は薄暗く、直線にレッドカーペットが引かれている。その両サイドには道に沿って灯がともっており、先には長い階段がうっすらと見えた。

 魔女自身が招待することに対する違和感は次第に増していった。



「どうぞ。そのままお進みください」



 中から男性の声が聞こえて来た。とても綺麗な通った声だった。彼の声の通り進んでいき、またもや声がする。



「そこでお待ちください」



 言われた通り俺ら一行は待つ。数秒が経ち今度は女性の声が聞こえてくる。とても高いところから聞こえて来た。



「よくここまで来た。私は”強欲の魔女:マリリン、会えることを楽しみにしていましたよ。夢乃あゆむくん」



 声がすると同時に、灯は階段にも点灯され、やがては魔女の周辺を明るく照らす。魔女の姿が見えるほど明るくなる。

 強欲の魔女:マリリン。その名とは違い、椅子に座っているため身長が、どこまでなのかは詳しくはわからないが、その姿を見れば見るほど美しいスタイルをしており、薄紫かかった長髪をしており、目や爪が赤い、服装が肌を露出することを基調としているものであり、何と言ってもところどころにお金持ちが付けてそうな、黒いフワフワしたものが付けられていた。

 彼女は、見下ろすように俺らを見ては話す。その表情から察するに、非常に自己顕示欲の強そうな人だと推測が取れた。


 そして、魔女が俺に対して何を求めて連れてこさせたのかは発言によりすぐさま知った。



「勇者夢乃あゆむくん。君は私の従者として共に歩む気はない?」



 嫉妬の魔女も話していた共に進むことへの質問だ。俺は、それを聞くなりすぐさま疑問に思っていることを話す。



「その前に質問だ。なぜ俺の名前を知り、俺を求める?」


「これはこれは、いいようにいかないのね。でもいいわ。私はそういう子ほど好きだから……それでは、もう一度聞くわね? 私の従者として歩む気はない?」



 俺はその反応を聞き、一瞬にして悪寒が走り恐怖した。まずいと思った瞬間にはすでに遅かったのかもしれない。この返答は、必ずYESと答えなければ先に進まないし、第一に相手は俺の反応を求めていない。今までならば、この対応をされれば危ないと思い一歩引いたが、ひいてはいけないとし、再度質問をする。



「こちらももう一度聞く、どうして俺を知り、俺を欲しがる?」


「素直ではないのね。二度三度と同じことを言わせないで頂戴。私はあなた自身が欲しいの。それだけのお話よ。だから、私と共に来なさい。むしろそうであるべきなのよ。あなたにとっても私にとってもね」


「質問の答えになってない。俺は知る権利がある。それが終わってから、答えてやろう。もし今すぐさま答えを望むのならば、はっきりいってやる。NOだ!」



 俺は意を決し返答にNOと答えた。あたり一帯は静けさが増したように思えた。寒気を肌で感じるほどにまで……

 そして、相手は口を開く。



「手に入らないのね。これは非常にまずいことですわね。でも殺すことはしたくないし。どうしましょう。マーク意見を頂戴」



 その言葉を聞き、暗闇からゆっくりと近づいてくる男性が一人。単発黒髪で、どこか切なく、キリっとした顔立ちの青年が現れた。スーツ姿であるのだが、質素的な印象が浮かんでくる。

 


「魔女様、このお方は素直になれないだけみたいです。魔女様の美貌に心打たれ、すぐさま好きとは言えない思春期さんです。仕方ないと思います。僕からの提案としては、そうですね。もっと仲を深め合っていくのも良いかと思います。もう少し距離を近くしていただくのが良いかと」


「わかったわ。なら、彼とは違う場所でお話をするとしましょうかね。邪魔者が後ろに二人ほどいるので、そこはマークにお任せするわ」


「かしこまりました」


「おい! ま……」


バタン



 反論しようとした矢先、俺は気絶をさせられる。後ろからフローラたちの声がうっすらと聞こえたが、だんだんと消えていくのがわかった。



「……!?」



 目を開けばベッドの上、何が何だかわからない状態の中に立たされた。起き上がり、その部屋から出ようとした矢先、ガチャンと金属の動く音がした。

 なぜかその音がしてから、一定先には進めなくなった。どういうことなのか? と思いつつ後ろを見る。



「なんだよこれ……」



 俺はベッドの端と左腕が鎖で施錠されていたのが見てわかった。思いっきり引っ張ると、それは動く当たり前だが、俺は監禁状態にされたのだ。

 まじかよ……と小声でつぶやくと扉を開ける者が現れた。



「お目覚め? ようやくね」


「……!?」



 それは、魔女の姿だった。うれしそうに俺を見ながら、次第に服を脱ぎ始めていったのだ。安否の確かめの後の大胆さに俺はしどろもどろの状態。すかさず質問を繰り出す。



「どういうことだ!? フローラたちはどうした!? これはなんだ!?」



 魔女はそれを聞くなり、不愛想に答える。



「それは別にいいのよ。私はあなただけが欲しかったのだからね」


「おいおい……ちょっとまってくれ!」


「だーめ、もうあなたは私のものであり、私の意思と反することはさせません。いいわね?」



 下着姿の魔女。俺は初めて女性のその姿を見ては顔が赤くなる。近くで見れば見るほど、美しいとされるスタイルに顔つき、好みと言われると少々違うのかもしれないが、あまりにも自分と合わなさ過ぎて混乱する。そもそも対応自体どうすればいいのかわからず、だんだんと顔をそらしていく、だが脳裏にはその姿が投影され続けており、反応をしてしまう。



「あらまぁ! かわいいじゃないの? もしかして、こういうことは初めて? そしたら、お姉さんがリードしてあげるわ。安心しなさい。痛いことは何もしないから」



 俺が後退しているのがわかっており、ベッドに四つん這いになりじりじりと攻めてくる。下着からうっすらと見える胸の谷間に意識しないようにと顔をそらし続ける。魔女の顔が近くなるにつれて、綺麗さに圧倒されてしまいそうになる。

 そして……



「ちょっとまってくれ!!」


もにゅん


「あらまあ! ませちゃって体は正直みたいね。好きなの? やっぱり?」


「ちちちちち違う!! これは!!」


「もっと素直になればいいのにね。私は受け止める体勢は整ってるのよ」



 俺はあまり来ないようにと制止しようと両手を前に向けた途端。魔女の胸に触れた。思っている以上に大きく、両手では抑えきれないほどだった。

 魔女はそれを楽しんでいるかのように、調子に乗り始める。



「まてまてまて!!」


「いいじゃないの、隙なんでしょ? こういうのが、私も好きよ。ほら! こうやって!」



 マリリンは女性座りとなり、俺の両手首をつかみ話さないようにし、感触をよりわからせるための行動をし始めた。下着の上からではあるが、これほどじっくりと触れた機会がなく、色々な意味で幸せな気分を味わい始める。ついにマリリンは更なる行動を始めた。



「どーていちゃんは、更なる幸福を味わいたいと思うので、よりわからせるわ」


「……」



 ついに無言でされるがままになる俺。やがてマリリンは下着の下に手を入れさせ始めた。その瞬間俺は何かに解放された感覚に陥った。胸は思った以上に、他の部位と似たようであり、違和感はないが、部位というだけで楽しめるものだと認識する。やがて何かの突起にぶつかり魔女マリリンは声をあげだす。



「あああんんんううう」



 口を開け、俺は驚き指を動かす。案の定それはまたつく。



「はぅ……大胆ね。うれしいわ」



 まさかの俺自身の行動が始まってしまい、動揺が更なる加速を生ませる。人差し指の居場所が悪かったのか、俺はそれを動かしたと同時に、突起を思いっきり上の方へと滑らせる。それが素早過ぎたのか、はじいてしまったことにより、マリリンはさらに声を荒らげ始めた。



「あぁ、ア、ぃやだ、ん、ンン」


「……」


「大胆ってほど以上ね。もしかしてしたことあるの?」


「ないです……」



 咄嗟にでた言葉がそれだった。いかんせん童貞を貫きすぎたせいで、どうしても反応してしまうのだった。そして、魔女マリリンの羞恥はさらに加速していった。

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