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七人の魔女と一人の転生者。  作者: しじみかん。
嫉妬の魔女
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第一話 開眼

「光が見える……まぶしいな……」



 何かに照らされていると俺自身は思った。しかし、それが何かにさえぎられているような光のために半分暗く、半分が明るい状態だったのもあり、頭の中で混乱が発生する。



「起きましたか?体調どうです?」



 突然か細い少女のような声が聞こえてくる。俺は咄嗟に聞こえた声に驚き、起き上がる動作をした。

なぜだか、すぐさま顔面に何かがぶつかり、その勢いのまま元の位置に戻る。

 同時に少女の驚いたような声も聞こえて来た。



「ひゃ!………平気ですか?いきなり動いては体に毒ですよ~?」


「痛い……けど柔らかい……???」



 勢いよくぶつかった対象、それにそのまま落ちた地面の感触がまったくと言っていいほど未知数の領域であったため、余計に俺は混乱する。

 ただ一つだけわかったことが、普通の地面に仰向けで倒れているということではないことくらい。何かまた別の何かの上にいる。それがまったく想像が付かないでいた。



「目の前の影どかせばなんかわかるかもしれない」


もにゅん



 俺はそう思い、目の前の影になっている部分を手で触れ始める。するとなぜだろうか、ものすごく触り心地が良いというべきなのだろうか、今までにない感触が俺の手に伝わりそれから全身へと流れていく、永遠と触り続けていくのも良いのかもしれないと思った矢先……



「あわわ、はうぅぅ~~そこはお胸ですよ。さすがに初対面ではアウトですよ」



 胸……?え……そんなわけ……!?

 突然ズドーンと俺の全身を駆け巡るかのようにして稲妻が走る。状態をようやく理解した。そうだ、今の俺は膝枕をされ、そのまま少女の胸を揉んだということ他ならない。


 そもそも、先ほどの衝撃も顔面ごと胸にぶつけたということになる。知り理解した瞬間に、仰向けの状態からすぐさま状態を起こし、膝枕をしていた子と距離を離れすぐさま土下座をし謝る。



「大変申し訳ございませんでした!!警察にはご勘弁をお願いします!これ以上おかしなことしたら、俺もうこの先おしまいなんです!!やばいんです!すいません!ほんと申し訳ございません!!」



 やってしまった……さんざんニート生活ゲーム三昧しまくって、大学浪人、費用課金に回しまくって、次に来るのは犯罪!?これ終わったわ……やばい、まじで人生終了した。


 俺は、必死の思いで地面に額を擦り付けながら謝る。がしかし、なぜか先ほどの膝枕の感触が脳裏に焼き付きているせいで、自分自身でも少しながらの笑顔をしながら謝っている、もはや地獄に落ちた方が良いと思わんばかりの状態で、よりいっそ混乱する。


 俺さすがに、ダメだ。脳と体が一致してないわ。



「そんなに謝らないでくださいよ。不可抗力というか、あなたは今の今まで気絶していたのですから仕方ないのですよ」


「え……いや、さすがに、それはあれは、それで……え~っと……」


「ふふふ、なんか面白いお方ですね。私は問題ないですよ」



 神よさすがに俺の聞き間違いではないのだろうか? 何度もセクハラ行為をしたにもかかわらず、許してもらえるというのか驚きだ。

 

 俺は目の前の少女に許されたように返事を受け、さすがに心の広い少女の顔を見たくそのまま顔を上げる。



「え……うそだろ……」



 美しい素晴らしいくらいに美しい少女が俺の目の前にはいた。いたのだが、俺が想像するような二次元にいる存在とはまったく違った見た目の子がそこにはいた。


 長くピンク色の髪をし、お人形さんのような見た目をしていた少女

 どこも縫い付けている箇所のある、ぼろぼろの今にでも崩れそうな服を着ていた。

 何と言っても一番驚いたのは、顔の片方を頬の半分くらいまで包帯で隠し痛々しい姿だったということ。


 少女は何かに気づいたのか、俺に向かって話し出す。



「驚くのも無理ないですよね。こんなおんぼろで、がらくたのような見た目をしている人に膝枕されるなんて、さすがに、こちらが謝らなくてはいけないです。本当に申し訳ございません、悪い菌が移ってしまいますよね。ごめんなさい」



 違うだろ……なんでそんな見た目なのか俺は聞きたいんだ。それとなんでそんなに自分を悲観してるんだ?

そもそも声が出ない。なんで声が出ないんだ……


 俺はなぜか、少女を見るや否や思っていることが声に出せずにいた。少女はこちらを見ては、なぜか驚いている表情をしていた。



「なぜ?泣いているのですか……?それほど嫌だったということですよね。身なり良いですし、魔女さんに使えるものなので、致し方ないですよね。本当にごめんなさい」


「違う。違うだろ!!声に出せないけど、なんだかよくわからないけど、なんでおれぼないでいるんだがわがらないじ。わけわかんね!!」



 初対面の少女を見て、なぜか泣く俺。意味が分からないが、なぜか涙があふれてくる。本当に意味がわからないのだが、言葉に表すのが非常に厳しかったこともあり、ただ単純に違うということが言えただけで、良かったとさえ思う。



「違う?ですか?」



 無理やり涙を抑え、深く深呼吸をし冷静さを取り戻そうとする。力抜けばまた涙があふれてきそうなので、ある程度の力を入れたまま返答をしだす。



「なんで、君はそんなに自分自身を下に見て話すのかってことだよ。逆に驚いた。」


「変わった人ですね。この世界では、私のような劣等種はあなたのような皇族様にコマにしていただくのが喜ばしいことなのですよ。かえって、私たちのようなものたちに情なんて抱かなくてもいいのですよ」



 この世界?皇族?私たちのような劣等種?何を言っているんだ?この子は?

 俺はこの答えを聞き、辺りを見渡し始める。そもそもこの世界自体、俺が今までいた世界とは異なっているような、そんな雰囲気がひしひしと伝わってくる。

 

 大体、起きてすぐ知らない女の子が膝枕をする状態がわからない。今までニートしていたんだぞ?何がどうなっているんだ?

 俺はまったくもって意味がわからないでいた。状態や環境がそれをさらにわからなくさせる要因でもあり、知らないことが多すぎたのだ。いてもたってもいられず、突然立ち上がる、すると何かが地面に落ちた。


 サイフだった。中を除くと、学生証、免許証と無数のカード類、なぜか、大量の小銭と数枚のお札が入っていた。

 

 なんで俺はこんなに適当に入れまくってたんだろう。わけわからない。

 自分自身に対しても意味が分からない行動をしていたことに対して、すべてにおいて呆れている状態を傍から見ていた少女は、なんとも言えない表情をしていた。



「あ、ごめんごめん。なんかわけわからないけど、まず自己紹介からしようか、俺 夢乃あゆむだ。よろしく」


「紳士的な人ですね。変わっているお方です。私は名前がございません。劣等種なので仕方ないのです」


「君は劣等種いいすぎだからな?もう少し、自分を大切にしなさい。名前がないのはきついな。なら、俺にの悪い行いを許してくれた女神のような存在だから、フローラってつけさせてくれ」


「はい!どうぞ!」



 言っていることわけわからないけど、とりあえず、自己紹介をした。そうでなければ次に進まない。名前を付けられてなぜか、出会って一番うれしそうな反応をしている。それを見て俺自身もうれしいという感情がやってくる。


 まあいいことした気分なので、これでいいと思う。ただこれからどうするか、何も当てもなく世界も知らない。大体この森自体あまり良いところではなさそうだな。


 するとフローラも立ち上がり、俺の手を引っ張りどこかに連れて行こうとしていく。



「ここは夜になれば恐ろしい魔物たちが活動を始めます。その前に近くの村にいきますね」


 

 すっごい気が利く少女だ。そもそも、何をとっても良いところしかない。世界がそうさせているのか? はたまた、別の何かがそうさせているのか? この子自身の育ちや性格がそうなのか? 引っ張られながら、そう考えてなぜか、少女が頭から離れなくなっていた。


 俺もしかして、恋しているのかもしれない。未来こういう子だったらすっげー家庭楽しそうっと妄想しつつ連れていかれる。運が良く少女がこちらを見ていなかったので、俺のにやけた顔を見られずに済んだのは何よりだ。


 ある程度距離が進み、森から抜け出しすぐさま村につく、思っている以上に小さい村だった。周りには人は愚か、動物さえ存在しなかった。俺は疑問に思ったのだが、フローラはそのまま民家に入る。


 中に誰かいる様子がなく、フローラが立ち止まる。俺はどうしたのかと思い顔を見るが、少女の表情は焦りを感じさせるようなものだった。



「どうしたんだ?せっかく村に来たのに、誰もいないし、なぜ君は焦っているような表情してるんだい?」


「まずいです。このままでは、二人同時にやれます。夢乃あゆむさん!」


「はい!夢乃あゆむです!」



 なぜか思いっきり俺の名前を呼ぶので、驚いて返事をしてしまった。なんか恥ずかしいと思ったが、フローラは家の中で何かを探しているのかの行動をしていたので気にも留めていたなかった。

数分くらい過ぎてから、呼ばれる。


 呼ばれていけば、本来暖炉として扱うような場所に下に通じる隠し通路があった。何かから身を隠すような場所と言わんばかりに作られていたそこに、俺は言われたまま入っていく。


 梯子を使いおりていき、大人一人入れるスペースのある洞窟が下にはあった。何も見えず暗い中、フローラの温かい手の感触だけを頼りに進んでいく。俺の今の心境としては、ここまで女の子と共に歩き、手を繋ぎと言う状態が続くことが初過ぎるがゆえに、もはや、必死という彼女の状態とは正反対と言えるような状態になっていた。心底平和ボケしすぎているのだと我ながら思う。


 道なりに進んでいき、やがて木製の扉が目の前に現れる。そこを開けると、俺は驚く。また一つ村があったのだ。上にあった小さい村と同じような広さで、人々が暮らしていた。


 ただ、フローラと同じくみながボロボロの服を着て生活をしていた。するとどこからかフローラに駆け寄ってくる人がやってくる。



「外どうだった? 君の言う救世主というのは見つかったのか?」


「はい、見つかりました。こちらの方です」


「こんな弱そうな子が救世主!? さすがに見る目ないといわざる負えないぞ?」



 誰が弱そうだ! 初対面のガタイのいい兄ちゃんに突然言われ茫然と立ち尽くす俺。そもそも、救世主というのが疑問ではある。

 何も知らない俺が蚊帳の外で、フローラと共に何かを話していた。もちろん手はつなぎっぱなしで。俺はそちらに意識が集中しすぎて、もはやガタイのいい兄ちゃんの声なんて聞いてすらなかった。


 引っ張られるままにそのまま会話しながら、三人で村長と言われるところに向かって行く。彼女たちからしたら、とんとんで来ている状態なので、良いかもしれないが、肝心の俺自身が何もついていけてないのが今である。


 そうこう考えているうちに、結構年齢がいってそうな見た目の村長が目の前に現れる。



「お主が救世主とされている子か、まず石に触れてみてくれないか?」



 そう言われ、突然目の前に綺麗な楕円形の石が置かれる。何もわからないが、ただ言うことを聞いた方がよさそうな空気だったため、そのまま触れてみる。

 石は自ら発光し始める。最初は淡い光を放っていたが、数秒後に最初に見た色と同じそこら辺に転がっているような色に戻った。


 何かを試されていたのかもしれないと思っていたのだが、それよりも周りの反応が悲しそうな状態であったというのに今気づく



「ん?どうしんだよ。なんでみなそんな悲しそうなん?」


「もしかしたら石の調子がおかしいのかもしれない。ミラ試してみてくれ」


「はい」



 ミラ? なんで、フローラが返事して試してみて……? これは一体どういうことだ?

 疑問に思っているうちに、石の色が変化したのだ。どういうことかわからないのだが、そのままオレンジ色に変色しているという言葉でしか言えない。


 それくらいにはっきりと石は色を変えていた。それを見て村長は、また俺に石に触れることを要求する。

 

 すげーことやっているようだけど、なんかのマジックか何かか?まじでいくら触っても変色しないんだよな~なんでだ?


 俺が触れたときにはまったくと言っていいほど反応しなかった。それを見ては村長とガタイのいい兄ちゃんは二人で頷きあることを言われる。



「この子は、だめだ。救世主だと思っておったそうだが、ミラさすがに0はない。希望の欠片もないのだ」


「何かしらあります。確実に、救ってくれる何かを持っているはずです」


「ミラ! さすがに何も持っていないものにここに居られても困るのわかるよな?」


「わかりますけど……」


「なら、わかったのならばやることは一つだ。ミラ、責任を持ちなさい」



 わけわからない話が続いていた。俺は、少々切れるという感情に一歩近づいていた。何も知らず、気が付いたらダメだといわれることに腹立たしさも感じていた。


 フローラは、俺を見るや否や手をつかみ、来た道を一緒に戻ることになった。疑問だけが頭の中に浮かんでくる。二人になった洞窟で俺は話す。



「フローラどういうことだ? ミラって君の名前か? 何か教えてくれないか?」



 フローラは、何も話さなかった。そのまま暖炉から出てくる二人。俺は彼女を疑い始めており、もう一度話そうとすると……


ゴーンゴーンゴーン


 鐘の音が村中に木霊する。兵士たちの足音が後からやってきては、止まり男性の声で今日もやってきた。と声高に発した。

 どういうことだかわからない状態のまま、フローラは下を向いて微動だにしなかった。



「フローラ、これはなんだ。あれはなんだ?」


「魔女の軍隊です。1週間に一度生贄を差し出すことを決められているのです。簡単にこの世界のお話します。魔女と言う存在がこの世を支配しており、あなたは光に乗って、別の世界から飛んできました。」



 俺はフローラのその言葉を聞き、この世界が異常なところであると同時に、俺はこの世界に元からいた存在ではないということに今更になって気づいた。

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