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七人の魔女と一人の転生者。  作者: しじみかん。
憤怒の魔女
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第十六話 勉強

 朝の目覚めがものすごくよいのか悪いのかわからない。そんなところに立たされていた。


「頭が痛い……」


 そんなことを起きてから永遠と言い続けている。昨日の夜のココアを飲みながら悠雅に過ごしていたのは何だったのだろうか……でもある意味幸せなのかもしれない……げへへへ



「朝から鼻の下伸ばしてどうしたのです?」


「お前のせいだろうが……」


「お目覚めよかったと思いますが、眠そうですね」


「できるならば戻りたい。もうこんな世界とおさらばしたいね」


「それはそれは、堪能していただきありがとうございます」



 いつからだろうか、色欲の魔女とこのように気軽に話せるようになったのは、昨日はじめて会って今日にいたる。そんな簡単にこうやって話せる仲になるのも、おかしなお話だと俺は思う。

 だが、気が付いたらこうなっていた。ほんと気が付いていたら……


 俺は疲れていたのか、昨日はぐっすりと眠れた。夢の中もだ。ハーレムという感じが強くあった夢だった。すべては、色欲の魔女の魔法によるものであり、ある意味幻覚だ。

 朝起きたとき、熊のぬいぐるみになっていた彼女は、俺の胸の上に座って俺をまじまじと見てこう話した。



「お目覚めはよろしゅうございましたか?」



 俺はそれですべてを察することができた。すべてが作り上げられた世界だということ。ある意味目覚めが今世紀最大級に悪い結果となってしまった。あの夢の快楽や楽園は、すべてが幻だということに悲しみが非常に強くあった。


 熊のぬいぐるみになった色欲の魔女は、その後俺に魔女であることは内密にして欲しいとの言葉を話す。

 どうしてそのようにして欲しいのかは、ある程度察することは可能だ。生きているということにより、弊害をもたらすと考える魔女は、そこら中にいるからである。

 味方であるラスティにも秘密なのが、何より気が引けるものだが、致し方ないのかもしれない。敵をだますのならば、まず味方からというのが鉄則でもある。


 そうそうしているうちに、扉を叩く音が聞こえる。



「失礼します。おはようございます。夢乃あゆむさん」


「おはよう。いつ話してもルークは、その調子だな。さすがだと思うわ」



 扉から出てきたのは、憤怒の魔女の従者ルークだった。昨日夜遅くまで、本を読み漁っていたことを心配していたのか、朝早くから顔をうかがいに来ていたそうだ。

 今日は、さすがに残ることができないとし、一旦俺とルークとぬいぐるみは憤怒の魔女の国に帰ることになった。



「この世界は俺の世界よりも文明の発達がしてないんだよな……」


「あゆむさんの元の世界では、どのようなシステムが施されていたのかうかがってよろしいですか?」



 ふと本音がでてしまった。それに対して、ルークは話を広げようとしてきたのだ。初めて会ってから、始めての反応に俺は少し驚く、何せ、かっこいくクールなイメージが非常に強くでていたこともあり、それゆえにあまり話をしないことが多かった。話をいざしても、業務的な内容のみ、こういった他愛ない会話というのを一切してなかったのだ。

 そもそも、極度の人見知りなのか? 俺自身を疑っているのか? よくわからないが、別に悪いと思ってやってはないだろうし、俺的にはそれでも良いと考える。


 ルークの質問に答えよう。



「俺の世界では、馬車ではなく道もちゃんと舗道されてな。車っていう鉄の箱みたいなもので動いて行動するんだわ」


「鉄の箱となると、拷問か何か? ですか?」



 隣にいつの間にかにいた熊のぬいぐるみはそういう。



「この世界では、それが拷問として言われるのか……まあ、俺の世界でも牛の形をした拷問器具あったしな……ほぼ死刑道具のようなものだけど」



 歴史では一度見たことあるような牛の形をした拷問器具を頭に思い浮かべる。大体そういったのがこの世界の文明ではまかり通ってしまうのだろう。

 しかし、それは違うと否定する。



「この世界にあるかわからないが、電気だったり、火だったりで動くものだな」


「なるほど、機関車のようなものですか」


「そうそう。ってそれあるんだ」


「ラスティさまの国でも、それはありますよ」



 魔法と言うものが、この世界の主たる力であるのだが、もう少し踏み入ったものはまだないらしい。下手すれば、俺の世界よりも先を行きそうだと、この考えは何度も起きていた。しかし、それは実際には起きてはおらず、もしかしたら、俺がいた世界でいう江戸時代やそれよりも先の時代の文明が、ここの世界の今なのかもしれないと考えだす。

 そうすれば、馬車というのも説明がつくし、文明の域というのも納得できる。

 この世界はこれからなのかもしれないと胸期待を勝手に膨らませる俺だった。


 話は切り替わりルークがふと気が付いたを話だす。



「夢乃あゆむ、ところでそこにいる一人でに話す熊のぬいぐるみは一体なんだ?」



 そういえば、話していたっか。そもそも昨日のうちでは、このぬいぐるみは自国の城からでていければ、最高! もっと言えば国よりも先に行ければよかった。といったような考えを夜にしていた。

 結果としては、今馬車で走ってはラスティの国に戻っている。条約の縛りも今はなく、実体のない存在であったがゆえに外に出れず、何かに憑依すればでれることが、わかってしまった。


 ある意味作戦は成功したのだ。ただ、今の今までそれに関して俺は気にも留めていなかった。それはそこにいる熊のぬいぐるみも同じだ。

 ただ、それをいつかはバレるであろうルークに問われた。なんて話せばいいのだろうか?

 すると、熊のぬいぐるみに憑依している色欲の魔女は答えた。



「どうも、私クマちゃんです。放浪の旅をしているものです。夢乃あゆむと一緒に行動を共にすれば、何か見つかるのかなーと思い一緒にいます」


「そうだったか、何を見つけようと旅をしているんだ?」


「存在証明ですかね? 今はこの見た目ですが、実際私はどうなっているのかわかりません。ただ自分を知ることができれば、それでよいと考えております」


「なるほど、素晴らしいことだ。恐怖さえある国外に出るとは、相当自分のことを知りたいようだな。歓迎しよう」



 なんか俺のわからないままに、両者は結託してしまった。本当によくわからない。

 仲が良くなればそれでいいのかな? そう思い納得する。ルークはそれ以降その熊には突っ込んだお話をしなくなった。対応やそぶりを見ていると、本当に俺の何百倍もできる男って感じが強くでている。

 こういうタイプは、どこの世界でもモテモテになることは間違いない。そういうことを色々と考えているうちに嫉妬心が湧いてくる。


 他愛ない会話をしているうちに、ラスティの国目前となる。この間はかなりと省いているが、時間は経っている。馬車に乗るだけで、疲れはたまっていくものだと、再度理解する。

 国につき、門番兵とルークとの会話をしているのを後ろから見守る。すんなりいくんだろうなーと思いつつも、すんなりと行く。

 

 門は大きな音をあげながら開いていく、もう何度も見た光景でもある。場所違ってもしていることは同じ。


 馬車から降り、そのままラスティのいる城へと向かう。そこら中の兵士が俺らに向けて、厳密にいえばルークに向けて挨拶をする。

 俺の方に乗っていた熊のぬいぐるみ基、色欲の魔女は耳元でささやく。



「立派なものになりましたね~ あの子がここまでの従者や兵士、街並みに仕上げられるようになるとは、私の国を任せたかいもありました」


「初対面の時に俺も感じたことだな。まだ年もそこまでとは聞いたし」


「年?」


「ああ、魔女なんだし、見た目の変化はなく、それ以降は年を取らない。だから、ラスティの場合見た目年齢は10代前半だが、実際はもっと上だろう?」


「見た目相応だと思いますが? 第一に魔法が降ってきたのは、いつごろだかご存知で?」


「俺が来るより前だろうに……」


「前なのは合っていますが、魔法が降ってきたのなんていうのはここ10年くらいのお話です」


「え……?」



 俺はその言葉に驚かされる。いや待てよ……10年? 見た目と年齢が相応である点、ラスティに魔法がやってきたのは、スーより後……ってことは?



「あの子に魔法がやってきたのなんて、ここ2~3年のお話ですよ?」


「何それキイテナイ」


「実際のあの子の年齢は大体12年くらいでしょう」


「そうなのか……」



 そのままと言う感じだったがために、これからどう接すればいいのかわからなくなってくる状態に落ちる。別の興味を持ち色欲の魔女に話しかける。



「ってことは、あなたは一体いくつだよ……」


「こう見えて20年以上は生きてます! 魔法歴は6~7年くらい?」



 たびたびこの色欲の魔女は口調が変わる。対応しずらいが、ほぼ俺と同い年なのがわかった。もしかすれば、俺より一歳年上かもしれない。

 なんか今のこの数分間の中で以上なまでに濃い情報量を得た気がする。一瞬にして、対象のイメージが変わっていく瞬間だった。


 色欲の魔女自体は魔法歴が非常に長く、ラスティ自体は非常に短い2倍くらいの差があるとし、もしかしなくても、それでお姉ちゃんとするのは、あるのかもしれないと俺は考えた。

 先頭を歩くルークは、後ろを一回も振り返らずに、前に来たラスティの部屋まで来る。



「失礼します!」



 ルークはそういうと、目の前の扉を開く。目の前には、紅茶をたしなむラスティの姿があった。こちらを見るなり、おかえりなさい。と声をかけてくる。

 輝かしい表情に俺は感化される。それを横に見ていた熊のぬいぐるみは、俺の頬を面白半分で突っついてくる。まだ俺の世界では小学生くらいの子が、国のトップにいることがいまだに信じられずにいた。

 恐ろしいくらいに出来た子だとは思う。合法ロリと思ったことは、非常に悔やまれる俺だった。


 ラスティはそんなこと知らず、俺を椅子に座らせる。最初から連絡を聞いていたのか本を読み漁っていたことをすでに知っていた。電話などの通信手段はあるのか? と思ったが、単純に魔法を使ったやり取りだった。動物にも魔力が備わっており、そこに手紙を付け飛び立っていくというものだ。机の上には、何かの翼が落ちており、俺の考えが正しければ、そうに違いない。


 俺と机、目の前にはラスティとルークがいた。今となっては、普通なのかもしれない構図になっている。ラスティが俺の隣にいる熊について話してくる。



「その肩にいる熊さんは、なんです?」


「自分探しの旅している熊さんですって」


「あらまあ」



 熊が一人でに動くものだから、ラスティは驚く、まじまじとそちらを見て興味津々の様子だ。年齢がわかったし、そのままということなので、熊のぬいぐるみは直撃なのだろう。ある意味俺もほっとする。

 一国のトップをしているのが何より素晴らしいのだが、それを二つともなると骨が折れる。絶対誰もやりたくないことだ。それがこの12年間生きて来たものがするのは、いかにやべーことだというのは、運営してない俺でさえもわかる。すごいというレベルを超えている、天才かもしれないとそうにおわせるレベルだ。


 それでも、熊のぬいぐるみを見れば年相応になるのは、よかったのだと思えてくる。そもそも俺もいつの間にか、ラスティに心打たれていたことを知る。

 仕方ない。かわいいのだから。

 そろそろ、話を再開しようとルークが咳をする。それを知り我に返り、ラスティは驚いた表情をし元に戻る。



「色欲の城へ行き国へ行きどうでしたか?」


「色々とわかった気がする。気がするだけだが」



 色欲の魔女という存在が今目の前にいることはまずはおいておいて。俺は必死にこの世界や魔法のことに関する資料を洗いざらい読み漁っていた。

 それでいくつか知れたことがあった。まずは大体の説明は、ラスティの前してたことがあっていた。ただそれだけではなく、この世界ではもっと踏み込んだところも多くあり、それが魔法以外のものを活用した場所やモノなんかもあった。色欲の魔女は一体何者なんだ? と思えるような資料が数多く存在していた。俺の知らないことが多くあり、非常に勉強になった。


 そして何より俺が一番驚いたのが能力に関することだ。もしかしたら、これはよりこの世界を混乱させる要素なのかもしれないと思った。

 それが……



「異能力……ですか……?」


「そうだ。正直俺もよくわからないんだけど、魔法以外の魔法のようなものがこの世にあるみたいなんだ」


「お姉さんは一体どこまで見えてたのでしょうか……」



 俺は熊のぬいぐるみを見つめるが、彼女からの反応はなかった。知っていても話さないのか、もしかすると知らないのか、そこまで突き詰められることを予想とはしなかったのか? 軽く話せば色欲の魔女とばれてしまうからなのか? それは本人にしか知り得ないことだ。


 ただ今は考えなくていいと思う。

 俺は知ってきたことをラスティに話始める。

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