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七人の魔女と一人の転生者。  作者: しじみかん。
怠惰の魔女
119/120

118:離魂

 ふわふわと浮かんでいる。そんな気分になっているのが現状だ。何が起きたのかさっぱりだ。ここは死後の世界だというのだろうか? はっきりいって先ほどの戦いでは、勝利はしたものの、死するほどの重体をした。だからこそ、俺はこの世界にいるのだろうか?


 ふと、そう感じる。しかし、死後の世界というのも、なぜか決定づけられない何かを感じてしまった。すると、向こう側から答えがやってくるかのようにして、映像が見えてくる。


「寝ている……?」


 過去になども見て来た光景。そして、右側に映像が追加されるように出現する。


「これは……フローラ?」


 追加された映像には、一人の男性とフローラの楽し気な顔が映っていた。何気ない一つの物語を見せられているようで仕方なかった。しかし、妙に懐かしさを感じる。体験していたと思いさえあるのだ。その根拠はないのだが、両方同時に体や脳には収められている感覚がしている。左側の暗い部屋のベッドの上で寝ている自分自身に関しては、過去に何度も見て来た光景であり、俺自身がここに来る前にあった記憶と同じだ。


 だからこそ言える。これは、俺の記憶だと……しかし、右側の方は今回はじめてみるものだった。人は過去の体験を得て記憶がある。それは夢や幻ではなく、実際に体験したものだからこそはっきりとして映し出されるものだ。少しばかり思い込みなどが入ってしまいかねないが、それでも、基盤はあるはずだ。


 なので、ここで映し出されている右側の映像も同じく体験しているのだろうと考えてはいるが、どこにもその記憶がないため、思い出すことさえできない。初めて見た。それでも懐かしいと感じる記憶。


 これがもし、はじめてではなく両方体験しているのだとしたら……?

 俺は何か大事なことを忘れてしまっているのかもしれない。場面は右からスライドしてきては切り替わる。そこには自分の私生活の風景が映し出されていた。大学生一人暮らし。食器を洗い、選択をし、何気ない光景が広がっていた。同じように次の映像が流れてくる。そこにあったものに目を奪われる。


「フローラ……」


 木造の一軒家でフローラは、黒い男に対して手料理を振る舞っている姿があった。楽しそう。そう感じる風景だった。俺はそこで一つ目をつけるところがあった。


「顔半分の傷がない」


 過去に二人で寝泊まりしたとき、俺はフローラの包帯が巻かれている顔の左半分の方をとってみてしまった。そこには、禍々しく呪印のようなものが赤黒く光っており、目もまた禍々しさがあった。

 しかし、この映像にはそれらがなく、綺麗でちゃんと美しくもかわいらしい彼女の姿が映し出されていた。


 これが俺の記憶なのかと疑問に思い、他人の記憶を見せられているのではないのか? そう思えてしまって仕方ない。そして、次の映像へがやってきた。

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