第百三話 出現
「ちょっとまってくれ! は?」
「取り掛かりましょう」
ルーシィがそういう。俺はその場から離れようと立ち上がるが、なぜか力が抜かれ、その場に座る。フローラも同じようになる。
机の上にルーシィが立ち、こちらに向けて魔法陣を展開する。そして……
「あゆむさん、許してください」
「……」
何も発することができなかった。魔法陣から光が放出した矢先。
ドガアアアアン!!!
強烈な音が辺り一帯にこだまする。俺は目をつむり視界を遮る。
「物騒ですよ。ルーシィ……いい加減にしなさい」
聞き覚えのある懐かしい声が聞こえた。俺はゆっくりと目を開く。
かなりまぶしい光に対してついいってしまう。
「まぶしい……」
「これは失礼」
何が起きたのかさっぱりだったが、俺は二人の何者かの力により、立ち上がる。
「ルーシィ様、さすがにやりすぎかと……」
「今ので俺はあんたの信頼を6割くらい失ったぞ」
「そうですか、申し訳ございません」
「何がどうなっているのかわかりません」
そこにいたのは、ルークとスーだった。二人は多少イラついていたのが目に見えてわかった。
同時に抱き着いて来たのがいた。
「よかったです。驚きました」
「俺が一番驚いたんだけどね……何が起きているのかわからない」
「皆さん定位置に戻ってください」
俺の目の前にいる少女はそういう。みなは定位置に戻る。
「ルーシィは下を向きつつ、中央にいる何かに視線を向ける」
「お久しぶりです。夢乃あゆむ」
中央の光の主はそういうと俺に笑顔を見せた。
「あ、お前は……」
過去に何度か助けられ、何度か現れた正体不明の存在だ。久しぶりの再開にも関わらず、光の使者と呼ばれるそれは、辺りの反応を見ていた。俺も見る。
するとそこには、頭をかきながら下を見るものや、ため息をつくものもいた。わかっていない様子の俺に光の使者は話す。
「ルーシィは私を呼ぶために、あなたに知らせず攻撃を放ち強制的に出現させました。焦っているのです。許してあげてください」
「ああ……」
「あゆむさん。ルーシィの力は絶対王政です。魔女さえもコントロールいたします」
「まじかよ……」
俺は知らないほうがよかったと感じざる負えない情報を聞いてしまった。
光の使者はそれから話し始めた。
「私は光の使者基、名をルミナスと申します。ルーシィさん。もう限界なのでしょう。平気です。まだ邪念体は起きてません」
「しかし、これ以上世界が未曽有の災害に見舞われたら」
「放漫の魔女ルーシィ! あなたは不確定を確定しようとする段階を崩壊させる気ですか? 周りを見ましょう。今はあなたへの信頼が地に落ちてます。私はそのために力を与えたわけではありません」
「……」
頭を下げた。周りはルーシィを見るなり、呆れたような態度をしていたのが目に見えてわかった。ラスティが一番目をそらす行為をしていたのが、この状況を物語っていたのに十分すぎるほどの判断材料だった。