第百二話 娯楽5
会議室はたちまち窮屈になった。っと思っているのは俺だけかもしれない。
その場にいたものは、嫉妬の魔女と暴食の魔女以外の全員だったからだ。嫉妬の魔女に関しては、いまだ牢獄の中にいるとスーは話す。
そしてとりあえずの自己紹介が行われる。
「嫉妬の魔女の従者スーと言う。今までの行い大変申し訳ない。これからは力を貸す」
「憤怒の魔女:サイス・ラスティ、そして従者ルークです」
「強欲の魔女:マリリンだ。隣にいるのは従者マーク」
「怠惰の魔女:ベルル。従者ロート」
「色欲の魔女:アスモデスです」
「放漫の魔女:ルーシィ。この場に皆を集結させたのは理由はわかるかと思います」
そう話す。国を置いてはみなを連れて来た。これが何を意味するのかは、俺にもわかる。そしてルーシィは話す。
「光と邪念体。そして暴食が動きました」
みながそれを聞くなりわかっていたかのように頷いた。俺だけが取り残されているように思えた。それを知ったのかルーシィは答える。
「非常に申し訳にくいのですが、夢乃あゆむさん。光の使者を出現させてはいただけませんか?」
「何を言っているんだ?」
突然の発言に動揺する。だが、周りを見ると案外まともなことを言っているように思えた。しかしどのように呼ぶのかわからない以上、どうすることもできない。
そんな俺を見るなり、フローラは申した。
「ルーシィ、さすがに酷です。あゆむさんは知らないので……」
「知れば大事になります。知らないこの状態で何とかするべきと存じます」
「私もそう思います。邪念体の特徴を理解すれば、この場で何とかしなければ」
強欲の魔女マリリンも同じように話した。しかし、フローラは噛みつく。
「おかしいです。さすがに、おかしいです。これがこの世に生きるため! としても酷では?」
「アスモデウス。時には犠牲は必要です。あなたの従者もそれを望んでいたはずです。世界平和のためにと」
「おいおい。何がどうなっているんだか……わからんぞ」
言い争っているのが目に見えてわかった。だが、俺は何も知らない。知らないままの方が良いとしていた。ただ光の使者を出すだけで、ここまで大事になるとは思っていなかった。
俺はちょっとした小さいもめごとだと考えていた。しかし、それは大間違いだと知る。
「なら多数決です。この場で夢乃あゆむを葬り、世界平和を実現するかの!!」
「は?」
俺はその言葉を聞き絶句する。光の使者を呼び出すためだけ……ではなかったのだろうか? そして、賛成派の手があがった。
「何してんだよ……みんな……」
そこにはフローラ以外の全員が手をあげていた。