第百一話 娯楽4
精神汚染系魔法。正直な話、そんな言葉はこの世界にはない。しかし、事実としてそれをするものがいる。強欲の魔女マリリンの力は、催眠だ。言うて、そこまで驚異的なものでもない。上書きをすれば済む話なのだ。同時に記憶が保持されている。だからこそ、意思次第では解けるものだ。
暴食の魔女に関しては勝手が違う。相手の思考そのものを書き換えるとフローラは語る。
書き換えるというのはまだ弱いと話。最悪は、一度破壊し、新たに創造するとした。これを意味することとしては、魔女自身の名以外では死ぬことさえも許さないといったものが思考にこびりついているのと同異議だとした。
暴食の魔女の力は、唯一人の死を操れる魔法であり、死の概念自体を書き換えることも可能とする。日々研究熱心だったこともあり、今はそれをゆえに超えていると推測していた。
死の概念。本来であるのならば、人の死は、自らが運命により選択されるもの。
それが、魔女自身で決められるというものだ。俺は話しを聞けば聞くほど、何が何だかわからなかった。理解できないのではなく、理解したくないと自分の中で結論付けた。
それほど脅威的なものが、この世にいると考えるだけでも恐ろしいと感じてしまう。
同時に俺はあることについてフローラに話す。
「俺らが戦おうとしている本来のものと暴食の魔女が手を結んでいるってことはないか?」
「それも考慮しております。私たちの本来の相手の名前は邪念体と表現しております」
それが実際の者か物であるのかわからない。だからこそ、この呼び名で通っているとのこと。実物があるのかも怪しいそれを表現するのは一苦労とする。
しかし、過去に俺もあってきた光の少女は、そう語るとフローラは言う。
光の少女は、使者として考えられており、七魔女に魔法の力を与えた張本人。
彼女自身何者なのかはわからない。しかし、従者には会うことがなく、実際問題ロートは知らなかった。
ゆえにもう一つの疑問が現れたのだ。従者は本来何者なのか?
フローラもそこまでは知らないと回答した。だが魔女を守るといった立ち位置である以上。光の少女と何かしら繋がっている可能性は極めて高い。
そして俺はフローラに問う。
「フローラの従者はどこだ?」
「……」
フローラはそれを聞くなり途端に悲しい顔になり下を向く。何かまずいことを聞いたのかもしれない。俺はそう感じざる負えなかった。
「何かごめん。そういう意味でいったんじゃなんだ。気になっただけだ。言いたくなければいい」
「いいえ。言います。私の従者は……」
「アスモデウス! その話は私から致します」
「ルーシィ……さん……」
「!?」
会議室の扉は開かれ、そこにいたのは、クマのぬいぐるみのルーシィだった。だが、それだけではなかった。俺はそれを見るなり驚く。
「ラスティ、ルーク、スー?……なんで……」
「話は致します」