第九十九話 娯楽2
ベルルは俺のアドバイス通りに攻略していき、やがてはクリアする。
「やったぞ!!」
「やったな!」
本人は座りながら喜びをジャンプで表現していた。隣にいた俺は、コントローラーがガシガシと肩にぶつかりながらも喜びを分かち合っていた。
ベルルの勢いは止まらない。そこからというもの様々なゲームをしていく。アクションゲーム。RPGゲーム。音楽ゲームと多種多様なものをしていった。
どれも人気タイトルであり、一度はやったことあるようなものが多かった。だからこそ、アドバイスをし攻略していった。なぜか俺も楽しさを感じていた。
今まで一人で遊ぶことが多かったこともあり、二人でするとこうも楽しさが増えるのは予想外だったからだ。
Tシャツに書かれている仕事人同様、覚えることも早く上達するスピードも早い。器用貧乏さがうかがえた。ゲームはすべてがうまく回るほど甘いものではないことも知っていた。失敗しても何度もチャレンジをし、クリアにこぎつけていく。隣から見ている俺は、本気のベルルを見ていると昔の自分を思い出すようになっていた。
ベルルはそれに気づいたのか、こちらを見ては言う。
「ゆめのあゆむ! あぐらかけ!」
「おう」
「ふふ~ん!!」
「まあいいか……」
満足そうに、あぐらの中心に座る。頭やコントローラーが何度も当たりそうになるのを回避しつつも、面白おかしくゲームをしていた。無邪気さを見て可愛さに和む。
本人も楽しいのか、すごくうるさい。きゃっきゃしながら遊んでいる。アドバイスしている俺の言葉を無視することも中にはあったがとても楽しそうに進めていた。
いつしか、それが日課となりつつあった。怠惰の魔女の国に来てからどれくらいの日が経ったのかわからない。ルーシィは帰ってくることがない。下手したら、別の何かが起きているのかと思うのだが、本人の能力が高い以上、問題はないのかもしれない。
気が付けば、フローラ含めた三人での通いになっていた。従者ロートは変わらず国の運営に携わっている。賑やかさが一段とあがっており、魔女に対する信仰度も増えていった。
そして、俺はいよいよベルルに対して言う。
「ベルル。表に出ないか?」
「……」
言葉は返してもらわず、ゲームをしていた。後ろで見守るフローラ。何も言わず。
「二人がいるなら……」
ようやく口を開いた。出てきた言葉に俺とフローラは互いを見ては頷いた。
「三人だよ。従者ロートがいる。お前さんの代わりにせっせと活動していた」
「わかった。三人」
パチパチパチパチ
後ろで拍手するフローラの姿があり、それを聞いていたベルルは下を向きつつ笑っていた。