表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

エッセイ集

小説『くだんのはは』と徴用工問題

作者: 花野未季

今回考察しているのは徴用工問題についてです。

私めは思想的に中道右派です。

故・小松左京先生の傑作『くだんのはは』を読んで、おや? と思った箇所から、いろいろ考えました。


 最近久しぶりに、故小松左京先生の名作ホラー『くだんのはは』を読みましてね、やはり素晴らしい、こういう発想が出来ないと小説なんて書いてはあかんなあ、としみじみ反省しました。私めもいくつかホラー小説に挑戦しているのですが、全然怖くないんですよ。怖い話書くセンスが絶望的にないんだな、と……。それはともかく。



 小説『くだんのはは』のネタバレはここでは致しませんが、今回新たな発見がありました。

 それは韓国政府の徴用工問題について。


 過去に決着がついていたはずの、この問題。

 戦後73年経ってます。

 終戦当時、徴用工だった方が仮に20歳だったとしたら、93歳か……。詳しくニュース見てないんですけど、そういうお年寄りも裁判に参加してんのかな。


 もし、もう当事者が亡くなってるとして、お子さんやお孫さんが代理で裁判してるのなら、話は複雑ですね。はたして、強制連行された(という)方たちの請求権は、子や孫に引き継がれるのか? 韓国の法律にはきちんと規定があるのでしょうが、日本の我々一般人はそこまでわかりません。


 そして、なぜこの問題に『くだんのはは』が関わっているかと言うと、実は『くだんのはは』には徴用工の韓国人男性が、ちらっと出てくるシーンがあるのです!


 物語の本筋には関係ない超脇役で、ワンシーンのみの登場ですけれど。小松左京先生はさらっと書かれてますので、逆に「ああ、ホントに徴用工っていたんだ……」と感慨がありましたね。


 そして、その場面、40がらみの徴用工の男性(結構おっさんだ)が日本に馴染もうと健気に生きている姿が、彼の発したひとことだけで伝わってくるのです。


「もし、アメリカが上陸して来たら、あんたら、どうするか?」

 朝鮮人徴用工に聞かれた主人公は、「竹やりで特攻するけど朝鮮人はどうする?」と聞き返します。徴用工は答えます。

「朝鮮人も同じだ」


 それ以上何も書かれていないので、ここからは私の推察だけですが、やはり当時の朝鮮半島は日本の支配下、日本人と同じように生きることを強要されていたのがよくわかりました。それは朝鮮半島の人にとって、屈辱の歴史であることは想像に難くない。

 いつまでも日本を恨む気持ちも理解します。


 しかし、それはそれとして、日本政府と韓国政府の間で都度都度交わされてきた条約、特にたくさんの賠償金が支払われて来た事実、それを我々日本人がまずしっかり認識して、きちんと韓国の方にお伝えせねばなりません。

 その上で友好を結ぶもよし、批判しあうもよし、個々人の自由でしょう。


 私は韓国の方が怒り恨み続けるのは仕方ないと思いますが、一部マスコミが、『あんたどこの国の機関やねん』と言いたくなるほど他国に肩入れするのもいかがなものか? と、いつも思ってます(笑)逆に「ひいきの引き倒し」になったりしていませんかねえ。さらに言えば、「マッチポンプ」という言葉も、もはや死語なのでしょうか。


 話が横道に逸れました、失礼。

 では『くだんのはは』どうぞ皆様、書店や図書館等でお探しになって、ぜひ読んでみてください。

 小松左京先生といえば、『日本沈没』ですけれど、短編もどれも面白いです。何十年も前に書かれたものは、さすがに古くさく感じる部分もありますが、この小説だけは全然古く感じない。おそらく100年後も、古典として普通に読み継がれているのじゃないかな、と私は思います。

最後までお読みくださり、ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ