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僕は君に二度恋をする

作者: 啓蟄穀雨

 世界で一番大切な人がゾンビに噛まれたら……

僕にとってはそれが彼女だった。


 人がゾンビに噛まれたらどうなるか知っているかい?

僕が知る限り4パターンある。


 1:ゾンビになる。

モブの皆さんこんにちわ~である。


 2:傷は負うがゾンビにならない。

どこかのゲームの主人公よろしく!


 3:死ぬ。

モブどころかオブジェクトにしかなれなかった。


 4:ゾンビになるけど……

人として知性をもつ新人類だ。


 幸いというかなんというか、

彼女は4だった。

生きていてくれる。

こんなに嬉しいことはない。


 だというのに彼女はよそよそしくなった。

以前のように子犬のように擦りよっても来ないし、

キスどころか手も握ってくれなくなった。


 もちろん理由は解っている。

接触による感染を恐れているのだ。

彼女は一見普通の女の子に見える。

だが、驚異的な回復力とエネルギーが、

常人ではなくなってしまった事を語っている。


 逆に知性が残ってしまった事が彼女を苦しめるのだろう。

いっそそんなもの無くなっていてくれればよかったのに。

ゾンビウイルス適合者となった彼女のような者から、

感染した場合そのものも適合者になる。

だからこそ僕は彼女に噛んでもらってもよかった。

半分ゾンビになった彼女を今でも好きなのだ。


 彼女に触れたい、抱き締めたい。

キスだってしたいしHなことだってしたい。

彼女の気持ちを考えるとどうしていいのかわからなくなる。


 誰もいないビルの一角で、

何日こうして過ごしただろう。

荒廃しきった世界でなんの希望があるのだろう?


 僕は彼女を驚かせないように声をかけながら近付いた。


「美咲、僕は君と一緒でいたいんだ」


 すぐ近くまで行って彼女が意味を理解するのを待つ。

彼女は食べ物を求めていた。

単純にパンとかそういう意味じゃなく。

僕に噛みつきたかったのだろう。

感染以前に距離を開けたのはそういう意味合いもあったとも思う。


 彼女が逃げないことを理解してさらに近づいた。

普通のゾンビは動きがのろいが彼女は違う。

だからこの距離で逃げないのは彼女自身が受け入れたということだろう。


 やさしく抱きしめた。

あたたかく、そしてやわらかな彼女の体。

そして、震えていた。


 泣いていた。

干からびてミイラになってしまうんじゃないかってくらい。

こんなに愛おしくてあたたかな彼女に、

触れられないなんて馬鹿な事があって良いのあろうか?

いや、ない。


 いつまでたっても泣きやまない彼女に、

僕はそっとキスをした。

ゆっくり顔を放すとまだ泣いていた。

今度は長く深くキスをした。

唾液から、粘膜から彼女と混じり僕も彼女と同じになる。


 ぼくはきみがだいすきだから……

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