君の表情
佐藤優はパソコンの前にいた。
痛さに関係なく滑らかに動いてしまう指と後ろからのプレッシャーに苛立ちながらも、優の目に映る画面は着実に埋まってきている。その仕事ぶりとは裏腹に社会には溶け込めておらず、仕事向上のためにと暗くしてある部屋の床には、彼が学生の時使うはずだった教科書たちが積まれ、崩れ落ちていた。
『相変わらず、タイピングの速さには見習うところがあるな!』
「っ…!」
バシバシと優の背中を叩く男の手を払いのけ、
「いったいし…手元狂うっ…」
と、凄みを効かせたが、男はそっちのけで床に散らばっている中から適当なものを拾い上げ、読み始めた。
「おいっ勝手に読むなよ…っ!」『いーじゃねーか暇なんだから…っと、なんか面白そうなの発見!!』
男が見つけたのは優の学校のアルバムだった。
「っ…返せよまこと…!」『ちょっと見るだけだろー?』
必死に手を伸ばす優を押さえつけ、成城 誠はアルバムをペラペラとめくり、優のいた組の集合写真を見つけるとそこで手を止めた。
『お前全然変わってねーなぁ!白いしガリガリだw』
「うるさいなぁっ…!//」優の顔は昔の自分を見られたことによる恥ずかしいさで真っ赤に染まっていた。
『そんなに怒んなよ…ってばかおまっ、危ない!!』
「へ…っ?」
気付いた時には遅かった。必死になって足元を見ていなかった優は一冊のノートに足をすくわれた。
(やば…っ)
床に叩きつけられる。そう思ったが矢先、優の体はふわりと受け止められ、その体に衝撃が来ることはなかった。背中がほのかにあったかい。
不思議に思い、目を開けると安堵感でいっぱいの誠の顔がすぐ目の前にあった。誠の前髪が優にかかる。
『っ…間一髪!!あぶなかったぁ…っまさる、大丈夫か…っおい、その顔…っ!』
誠に指摘された優の顔は先程までとは比べ物にならないくらい赤く、熱を持っていた。
「こ、これはっ…ち、がくて!///』
あたふたする優に対し、誠はゆっくりとした動作で優をその場に押し倒した。
「ちょ、お、おいっ!//」
強い言い方とは真逆に、その表情と誠の胸板を押すその仕草は艶やかながらも、とても可愛らしいものだった。
『っ…おまえさぁ俺にその気でもあんの!?//その表情といい…やばすぎっ…もう我慢できねー…っ//』
そう言うと誠はスーツを脱ぎだし、ネクタイを緩めながら優との距離を徐々に詰めた。
「ま、まことっ…まっ…!//」『待てない…っ』
「んむっ…!」突然優の頭にきたその快楽はタチ悪く、優の体の制御、視力、心臓にまで影響を及ぼした。彼の頭にあるのは、誠も自分と同じ感情を抱いているのではないか。そのことしかなかった。
『っは…っやっぱお前、俺に気があるだろ…っ//』
そう言われた優の顔は与えられた快楽に犯され、もっと、もっとちょうだいと言わんばかりに舌を出し、とても淫らなものになっていた。
『…お望み通り、ぐちゃぐちゃにしてやる…後でなにか言っても遅いからな…っ』
優は一回、コクンと頷いた。
佐藤優と成城誠が付き合うきっかけとなる短編を書かせていただきました!性描写はそんなにないのでNL感覚で読めると思います^ - ^短編ですが人気があればこの2人の関係について連載も考えています!