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契約悪魔と魔法使い  作者: 高橋響
最終章
92/126

第91話 「魔法省堕つ」

裏設定

呪文編


呪文には実は決め方があります。

例えば時間魔法、この魔法の呪文は『トー・クロウ・ルシフ』ですが、以下が由来になっています。↓

トー→(とき)の“と”

クロウ→ギリシア神話の時の神“クロノス”

ルシフ→ルシファー


と、魔法に関連する3つの単語をもじって並べています。

『に、人間じゃない……』

『く、来るなあ!!』

『通報があった! 貴様らだな! 撃てえ!!』

『待ってください、私達は――きゃあ!!』

『きり――ぐはあっ!!』

『やめろおお!! クソ……よくもおおお!!』

『ダメよ……ルシファー……!』

『なぜじゃ、なぜこんな奴らを庇う!?』

『私達は……命を奪うためにここに来たんじゃない……あなたの力も……誰か……の……ために……』






「ああ!!」


 目を覚ましたルシファーは息が荒く、汗だくになっている。

 ふと時計に目をやるとまだ朝の5時過ぎだった。

 横のベッドの明日夢は寝ている。


「夢か……しかしなぜ今になって……」


 思い出したくない過去だった、長い悪魔の生涯においてこれほどの経験は中々ない。

 なぜこんな夢を見るのだろう。

 いくら考えても答えはでなかった。



「何かの前兆なのか……?」


 未だに心臓の鼓動が高まっていく。

 汗をタオルで拭き、もう一度眠りに付いた。


(切乃、これで良かったのじゃろうか? 今でもそう後悔することがある……)





 グレゴリーが総一郎に倒されてから僅か1時間程度のこと。

 魔法省のエージェント達がいきなり反旗を翻し、他のエージェント達を殺害していった。


 魔法省にも組織の手が伸びていたのだ。





「ファム・ファイン・フレイア!!」

「ぐああ!!」


 炎の渦が通路を駆け巡る。

 組織のメンバーは一気に倒れた。


「はあ……はあ……」


 魔法の連続使用と混乱でアイラの疲労はピークに達していた。

 呼吸を整えようとするが中々落ち着かない。



「組織に寝返った者達がいたなんて……!」

<しかもこの数、10人100人なんてもんじゃないぞ>


 敵がひと段落したため、壁に寄り掛かる。

 なんとか残ったメンバーへ連絡を取るが、他も混乱の最中である。当然コンタクトは不可能であった。 



「このタイミングになって動き出したということは……お爺ちゃんは……」

<アイラ……>


 考えたくないことだったが、現実を受け入れざるお得なかった。

 グレゴリーは負けたのだと。


 今にも泣きだしそうな気持ちだった。悲しくて仕方なかった。

 そんなアイラを奮い立たせているのは、最後に交わした言葉である。


『今後、魔法省はお前が引き継げ』





「お爺ちゃんが負けたのなら……私がしっかりしないと!」

<アイラ、お前……>


 イフリートは理解していた。

 アイラは一番辛いのだと。

 本当は戦える精神状態ではないと。


 それでも自らを奮い立たせ戦うのならば、契約悪魔である自分も共に戦おう、そう誓っていた。





「アイラ!」

「副長官!」


 通路の向こうからこちらに走ってくるのは魔法省副長官、モリガン・ル・フェイだ。


「ご無事でしたか!」

「ええ、でもこれは一体……?」

「恐らく長官が……」

 

 アイラは後方を向き敵が来ないか確認する。

 ここでポケットの中に何かが入っていることに気付く。


(ん?)


 中に入っていたのはメモであった。

 微かに残っている記憶を辿るとあの時、グレゴリーが入れたものだということを思い出した。

 四つ折りのメモを開く。


(一体何を――)

<アイラ!!>







「がふっ……!」 


 メモを開く寸前、アイラは口から吐血した。

 理由は1つ、背中に鋭利な刃物が突き刺さったためだ。


「な、なにが……」


 手からメモが落ち、アイラもその場に倒れる。

 倒れると同時に、メモの中身が目に入る。


 そこに書かれた文字に目を疑うのだった。




『Morrigan is traitor (モリガンは裏切り者だ)』




「副長官……?」


 這いつくばりながらモリガンの方を向く。

 そこにいたのは崇高な造りの剣を手にしたモリガンであった。

 その剣は血に塗れている。


「うちのご先祖様ったら、随分手癖が悪いみたいでね~。弟のアーサー王からこれを盗んでいたみたい」


 アイラは血を吐きながらモリガンの話を聞く。

 

「誰でも名前くらいなら知ってるんじゃないかしら? 伝説にその名を残す、アーサー王の聖剣――」

「アーサー王の聖剣……まさか!?」


 モリガンはニヤリとした笑みを浮かべる。





「聖剣、エクスカリバー」


 イギリス人であるアイラがその名を知らないはずがない。

 伝説の英雄、アーサー王が使っていた聖剣が目の前にあるのだ。


「悪いけどアイラ、あなたもここまでよ。すぐに長官の後を追わせてあげるわ」

「モリガン……貴様……貴様ああ……!!」


 アイラはもう戦う力が残っていなかった。

 

「さようなら、アイラ」

<アイラ!>

 

 アイラは反撃する気力もない、ただ歯を噛みしめることしかできなかった。




「クソ!」


 とどめを刺す寸前、イフリートが悪魔の姿へ戻る。

 

「ファム・ファイン・フレイア!!」


 すぐさまイフリートの指先から炎が出される。

 強大な炎はモリガンの視界を封じた。


「ちいっ」


 エクスカリバーで炎を切る。

 炎がなくなるが、アイラとイフリートはいなくなっていた。


「逃げたか。ふん、まあいいわ」


 モリガンはその場を後にする。





「あなた達に話さなければならないことがあるの」


 突如呼び出されたとある隠れ家、そこには大怪我を負ったアイラさんと動くこともできないイフリートがいた。

 その光景に俺達は皆言葉を失った。

 しかし本当に驚愕するのはこの後だったんだ。




「組織のボスが明らかになったの。信じてもらえるか分からないけど……あなたのお祖父さんよ」

「え……」


 その話を聞いた時の藤導の顔を忘れることはないだろう。

閲覧ありがとうございます。

なんと魔法省に裏切り者が大量に潜入していたことが明らかに。

なんとモリガンまでもが裏切り者でした。


エクスカリバーをアーサー王の姉にしてモリガンの先祖であるモーガン・ル・フェイが盗んだ、という設定ですが実際のアーサー王物語では鞘のみを盗むという話があります。


次回、ついに真実を知ってしまった6人は藤導邸へ。果たして何が起きるのか?


感想、評価、レビュー、ブクマ大歓迎です。

次回もよろしくお願いしますm(__)m

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