第82話 「財産」
裏設定
特級魔法解説
・透明化魔法→レオン・ローべルト/アルプの特級魔法。
透明になれる。
ただし足跡や流れ出る血、臭いなどは消せない。あくまでも体が透明になるだけである。
・火炎魔法→アイラ・スぺンサー/イフリートの特級魔法。
炎を出すことができる。
また炎を自在に操ることも可能。
「明日夢、お前に見せておきたいものがある」
ある日、突然ルシファーがそう言い放った。
突然過ぎて何が何やら。
「見せたいもの?」
「ああ、ちょっと待っておれ」
そう言うと時計を確認する。
「そろそろじゃな」
その言葉とほぼ同じタイミングで部屋の床に魔法陣が出現した。
何者かが転送してきたのだろうか。
「転送魔法か?」
「違う」
魔法陣から姿を現したのは初老の男性だった。
ビシッとした正装で、口髭を生やしている
「今日も時間ピッタシじゃの」
「ええ。ルシファー様の僕である以上、時間も守れないなど言語道断ですから」
一体何者なんだ?
転送魔法でないなら、この力は何の力なんだ?
「おっと、あなたが櫻津様ですね」
「え、あ、はい……」
男性は深々とお辞儀をし、自己紹介してきた。
「私はルキフゲ・ロフォカレ。偉大なルシファー様に仕えております」
なんと礼儀正しい悪魔だろう。
主とは大違いだ。
「お前の僕ってみんな礼儀正しいよな、お前と違って」
「当然ですとも。ルシファー様は悪魔の頂点に君臨されるお方、無礼は許されませんからね」
なるほど、そういうことか。
どうりでヴィネもパイモンも、このルキフゲも紳士的なわけだ。
「さて、さっそくじゃが頼む」
「かしこまりました、では」
そう言うと先ほどと同様に床に魔法陣が浮かび上がった。
「ここは……」
目を開けると見たことのない空間が広がっていた。
どう考えても人間界のものじゃない。
「ここは私が造りだした次元です」
「じ、次元!?」
いきなり話が大きくなってきたぞ。
「これは私の特級魔法とは違う能力です」
「す、すげえ……」
つい見とれてしまう、俺達が住んでいるのとは全く違う次元だなんて。
「こちらです」
ルキフゲに案内された先には巨大な扉があった。
壁も何もない空間に、たった1つ聳え立つ巨大な扉。
「この扉の向こうじゃ」
ルシファーがそう言うとルキフゲが扉を開ける。
音を立て開かれた扉の先、そこにあったものは――。
「な、なんだこれ……」
見渡す限りに広がる財宝の山だ。
金貨、宝石、その他諸々……。
まるで映画のような光景がそこにはあった。
「こ、これはいったい……?」
「驚いたか? これは私の財産じゃ」
「ええ!? これ全部か!?」
信じられねえ、これをたった1人で稼いだというのか。
「石油王が人生3回やり直しても追いつくことのできんほどの財産じゃ。驚いたかの?」
「ったりめえだろうが……」
こんなもの見せられて冷静でいられる奴なんていないだろう。
一生働いても稼ぐことのできない額だ。
「私はルシファー様に命じられこの次元にルシファー様の財産を保管する、いわば金庫番の役目を担っているのです」
「見せたいものってこれだったのか。でも何でこれを俺に?」
ただ見せびらかす目的ではない、そう確信していた。
「実はの、私にもしものことがあったらこれを全てお前に託そうと思う」
「お、俺に?」
ルシファーは小さく頷く。
一体どういう風の吹き回しだ?
「もしものことって、お前……」
「パイモンやバロール、ベリアルといった名だたる悪魔が次々に死んでいくのを見て改めて思ったんじゃ、悪魔には永遠の命など存在せんと。ならば私が死んだらこの財産はどうなるのが良いか、そう考えたらお前に譲る他ないと思っての。なあに、今までの迷惑料だと思ってもらってやってくれ」
「ルシファー……」
なんだろう、このモヤモヤは。
いつものルシファーならこんなこと言わないはずだ。
それに悪魔のトップに君臨するルシファーが死ぬ心配をするなんて。
「お前、何か変じゃないか?」
「むっ、失礼な」
いつもと何ら変わらない風な様子ではあったが、俺は何か引っかかるものを感じていた。
けど、うまく言えない。
「まああくまでも私が死んだら、という条件ではあるがの。お前が世界一の大金持ちじゃぞ」
「ルシファー……」
この時、もっと問い詰めればよかったのだろうか。
異変に早く気づけばよかったのだろうか。
その時の俺にはそこまで頭が回らなかった。
次の日、朝起きるとルシファーの置き手紙があった。
『今日1日帰らない。すまん』
「嫌な予感がする……」
閲覧ありがとうございます。
いよいよ次回から最終章です。
それを記念し、現在企画を開催中です!
メインの話が読みたいキャラを感想に書き込んでください、短編で外伝的なものを描こうと思います!
ご意見お待ちしております!m(__)m
感想、評価、レビュー、ブクマ大歓迎です。
次回もよろしくお願いしますm(__)m




