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契約悪魔と魔法使い  作者: 高橋響
番外編
79/126

第78話 「ベルフェゴール」

キャラクタープロフィール38


べルフェゴール

・誕生日:不明

・好きなもの:チャーハン、アニメ

・嫌いなもの:セロリ、人間

・趣味:アニメ鑑賞

・特級魔法:???

・契約者:なし

・悪魔の中でも上位の実力者。

契約者がいないため魔法が使えないが、自身の魔力と科学を融合させた武器を使用する。

それ以外でも知識豊富な悪魔である。

 部屋に閉じ籠ったベルフェゴールに四苦八苦してもう数十分が経過した。

 未だにベルフェゴールは出てくる気配がない。


「のう、いい加減出てきてくれんか?」

「嫌!!」


 こんな調子なのだ。

 こんなんじゃ修行どころじゃないぞ。



「なあ、頼むぜ。俺、あんたに強くしてもらいたいんだ」

「そんなの他の悪魔に頼めばいいでしょ!」


 話は平行線のままだ。

 わざわざ長野まで来て無駄足ってのはごめんだからな、何としても説得しなければ。



「なあ、何でそんなに人間が嫌いなんだ?」

「……わ、私は見てしまったのよ……人間の恐ろしい一面を……」


 急に怯えたような声になる。

 

「あれから今まで人間に心を開いた日なんて一度もなかった……何をされるか分からないから……」

「あのさ、俺あんたに何があったのかはよく分かんねえけどさ」


 部屋の中のベルフェゴールに扉越しで語りかける。


「俺も人間の悪の面は何度も見てきたよ。そんな奴らが今人間界に増えつつある。だからそういう奴らに負けないためにあんたに修行してもらいたいんだ」


 ベルフェゴールからの返事はなく、静寂が訪れた。

 

 数十秒後、ベルフェゴールがそっと呟く。


「……あなたはそういう奴らとは違うというの?」

「人間にも色々いるんだぜ。それに俺がそんな奴らとは違うことは契約悪魔ルシファーが証明してるだろ?」

 

 再び静寂が訪れる。

 内心これ以上は無理なのかと腹を括った。



 その直後、扉が少しだけ開かれた。


「ベルフェゴール!」

「どんなに厳しくとも……絶対に逃げ出さないと約束するなら……」


 逃げ出す?

 そんなことするかよ!



「ああ、約束するぜ!! だから修行させてくれ、ベルフェゴール!!」




 そこから1秒もないくらいだろうか、物凄い勢いで扉が開き竹刀が俺の頭に直撃した。


「いだああ!!」


「私のことは師匠と呼べ!!」



 そこには先ほどとは全く違った顔つきのベルフェゴールがいた。

 どうやら交渉成立のようだ。


「やった……ぜ……」


 何だろう、急に景色が捻じ曲がってきた……。

 ああそうか、竹刀のダメージで意識が……。




 あの後、目を覚ました俺はベルフェゴールの部屋に入れられた。

 しかし……。


「何だこの部屋……」


 部屋の至る所にアニメや漫画の美少年キャラのポスターが貼られており、大きな棚にはフィギュアが大量に置いてある。


「なあ、ベルフェゴールってオタクなの?」

「そりゃあ、人間達は信用ならないけど2次元のみんなは違うもの」


 そう言ってフィギュアの解説をし始める。

 もっとも俺もルシファーもほとんど聞き流しているが。


「ってか、そんなのどうやって手に入れてんだよ!」

「通販で知り合いの悪魔に買わせてるのよ」


 まんま引きこもりじゃねえか……と、思ったけど口に出すのは辞めておこう。



「第一、お前これだけの物を買う金は持っとるのか?」

「まあね。こう見えても私漫画家だし」

「ええ!?」


 信じられない、まさか漫画家になっている悪魔がいるなんて。

 しかしよく見ると机の上には漫画家の机らしく、ペンやインクが置かれていた。


「魔法が使えないならこういう方法で稼ぐしかないのよ。今はFAXもあるし……ってそんなことはどうでもいいの! 修行したいという話だけど」

「ああ、冬休みの間だけでも修行させて欲しい」

 

 冬休みはあまり長くない、だから終業式のあと直接ここへ来たのだ。

 1分1秒も無駄にできないからな。



「ならあらかじめ言っとくわよ、冬休み期間中は家に帰れないと思いなさい」

「ええ……マジですか?」


 俺は年末年始は叔母さんの家に帰る予定だった。

 心配かけさせちまうしな。


「しょうがないでしょ、短い期間で強くなりたいならそのくらいしなさい。あなた、ご両親は?」

「……叔母さんが1人……」


 ベルフェゴールの表情が少し険しくなった。

 俺の言葉から察したのだろう。


「……そう、なら明日にでも電話しなさい」

「ああ」


 ごめん叔母さん、今年は帰れそうにない。




「あの……これは?」


 信じられないが、ベルフェゴールの家の地下には滅茶苦茶広く、様々な機械が置いてある研究室があった。

 そこで早速修行に入ると言われどんなものかと期待と高揚で胸が一杯になったのだが…………



何故パンツ一丁で寝台に寝かされてるんでしょう?



「あの、ベルフェゴール?」

「師匠と呼びなさい」


 ベルフェゴールは俺の体に電気治療器のようなパッドを取り付けていく。


「これは一体何を?」

「まずあなたの魔力を調べさせてもらうわ」


 魔力か、そういやあんまり勉強したことなかったな。


「それじゃあいくわよ」


 ベルフェゴールが機械のスイッチを押すとゴウンゴウンと音を立て機械が動き出す。

 俺は特に何も感じないが。


「うーん、あなたこれだけ高い魔力を持っているなら修行なんて必要あるの?」

「まあ、こいつは高校生じゃからな。中々時間が取れなくての。それに私と契約したのが半年ほど前じゃからな」


「なあ、魔力って機械で測れるものなのか?」

「ただの機械じゃないわ。これは私が開発した魔法と科学を融合させた機械なの」


 魔法と科学の融合?

 そんなことが可能なのか?


「魔力というものは確実に人間の中に存在する。血液と同じように体の中に流れている。けれど科学では測定できない、そういうものなのよ」

「それをあんたは測定できるのか……」


 ベルフェゴール、なんつー悪魔だ……!


「私がベルフェゴールに修行を持ち込んだ理由がそれでな。魔法が使えなくても機械という武器がある、実力もある。巷じゃ怠惰の悪魔なんて言われておるが、誰よりも研究熱心なのがこいつじゃろう」

「所詮は人間が決めたものよ」

 

 そう言いながら高速でキーボードを打つ。



「これは……!?」


 突如ベルフェゴールが驚愕の表情を浮かべる。

 何か分かったのだろうか?


「どうした?」

「あなた……サタンを覚醒させたの……?」

「ま、まあ……」


 ベルフェゴールの額に汗が浮かぶ。


「おい、どうしたんじゃ?」

「あなたの魔力の中にサタンの魔力の形跡が見られるの……大昔に一度見ただけだけど、あの恐ろしさは絶対に忘れない……」

「……実は2度ほどサタンに意識を乗っ取られてる」


 横浜の時と、インドの時だ。


「あなた、これ以上サタンに意識を乗っ取られるともう戻れなくなるわよ。これはあなたの魔力が浸食されている証拠なの」

「……なるべくそうならないようにはしてる」


 一応サタンには話をつけてあるが、それでも野郎のことだ。

 いつまた勝手な行動を起こすか分かったもんじゃない。



「分かった、今日はこのくらいにしましょう。本格的な修行は明日からね」


 こうして忙しい1日は終わりを告げた。いや、本格的に忙しくなるのは明日からか。


閲覧ありがとうございます。


ここに来て魔力の解説を入れてみました。

べルフェゴールが使っている機械は科学に魔力を足し制作したものです。


感想、評価、レビュー、ブクマ、大歓迎です。

次回もよろしくお願いしますm(__)m

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