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契約悪魔と魔法使い  作者: 高橋響
第四章「インド神話編」
73/126

第72話 「分かっていても」

「ク……ソ……! ここまでか……」


 そう言って明日夢サタンが膝を付くと、場は一気に静まり返った。


「何が起きたんだ?」





「ふう、やっと戻ったぜ……」


 



 あの野郎、勝手なことしやがって!!


「待たせたな、みんな!」


 体を取り戻した俺にみんなが歓喜していた。

 前にあんなことがあったからな、心配になるのも当然だ。


「さて、早速――痛でで!!」


 急激に痛みが襲う。

 気付くと体中傷だらけだ。


「櫻津君、これを飲んで」

「パールヴァティー様?」


 差し出されたのは液体の入った小さな瓶だ。

 その相手はパールヴァティー様だった。



「これは?」

「インド神話の医術神であるアシュヴィン双神からもらった薬よ。すぐに回復するはず」


 言われるがままに瓶の栓を開け、薬を飲み干す。

 ミントのような風味が口の中に広がった。


「ふう、ご馳走様です」


 爽やかな気分になった後、どんどん体力が回復していくのが分かった。

 

「それと、今あの子は……」


 パールヴァティー様の視線の先では、藤導が横になりヴァニラに抱きかかえられていた。

 

「藤導!」

「大丈夫、気を失っているだけ」


 一体何をしやがったんだ、サタンの野郎……!


「あいつのこと、お願いします」

「櫻津君!」


 パールヴァティー様の制止に耳も貸さない、それほどシヴァに対する怒りがあるんだ。


「さて、シヴァさんよ! 続きといこうかい!」



「……何故だ?」


 急に神妙な面持ちで問いかける。

 


「何故、勝ち目がないと分かっていても戦おうとする? 人間が神に勝てる確立は0だ、それは君も気付いただろう? なのに何故戦おうとする?」

「気に入らねえからだ!!」


 シヴァを一蹴し、ルシファーを拾う。

 どうやらルシファーはまだ意識が戻っていないようだ。




「確かに俺はあんたに勝てない、そこは認める。けどな、分かっていても一発ブン殴って伝えてやりてえんだ、自分の子供を救おうともしないなんて間違ってるってな!」


 アンダカは決して全てが悪だったわけじゃない。俺はそう確信していた。

 だからこそ……許せなかったんだ……!!


 もし、もしアンダカがアスラではなく普通の神として生きていたら、今頃は……!

 そう思うと怒りがこみ上げてくる。



「はじめてだよ」


 ボソッとシヴァが呟く。


「はじめてだ、私にこんな風に接してきたのは」

「シヴァ……」


 シヴァはパールヴァティー様へ視線を向ける。


「君の言うとおり、本当は自分でも分かっていたさ。素直にそれを認められなかったのは、何が邪魔をしていたんだろうな」


 その姿を見て、何故だかルシファーを降ろした。

 もう戦う気がないのが見て取れるからだろうか。


「たった1人の人間に指摘されるなんてね、皮肉なものだ」

「シヴァ……」


 


「君には今までにないものを感じる。パールヴァティーとも、ブラフマーやヴィシュヌとも違う何かを……」


 この時、俺の中に怒りはなくなっていた。

 


「櫻津君、みんな。すまなかった」


 その光景が信じられない、インド神話の主神が頭を下げている。しかも俺達人間に向かってだ。


「正直どうすればいいのかは分からないけど……」

「そんなの決まってる」


 ゆっくりとシヴァに近づく。もう争うつもりはないのは互いに同じだ。




「道を間違えたら、またやり直せばいい。それだけだよ」


 俺の言葉にシヴァは笑顔を見せた。

 日が傾き、次第に暗くなっていく。長い1日が終わりを告げようとしていた。

閲覧ありがとうございます。

インド神話編、次回で完結です。


そしてその後は最終章となります。


感想、評価、レビュー、ブクマ、大歓迎です。

次回もよろしくお願いしますm(__)m

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