第51話 「それぞれの思い」
キャラクタープロフィール30
ヴィシュヌ
・誕生日:不明
・好きなもの:メロン、水浴び
・嫌いなもの:肉、喧騒
・趣味:フルート演奏
・特級魔法:???
・インド神話の維持の神。
正妻はラクシュミー。しかし実は妻が17000人もいる。
土砂降りの雨の中、傘もささずに裏路地にいる2人の男性がいた。
「トリムールティやその他の神々が人間界に来るのは時間の問題だ」
「そうなったら俺達も隠れられなくなるぞ」
「ならば取る道は1つだな」
互いの意志を確認した2人は、光を放ち姿を消す。
◇
「つまりこの文において、筆者が一体何を伝えたかったのか。それを――」
何故国語の授業はこんなにも退屈なのだろう。
今日は久しぶりに寝ないでいるが、俺はその選択を全力で後悔している。
「えー、今度の期未テストでは――」
そうか、もうすぐテスト期間か。
けどやる気出ねえな。
適当に先生の話を聞いていると、チャイムが鳴った。
今日の学校はこれで終わりだ。
ホームルームも終わり、お待ちかねの下校タイム。
「さてと、帰るか」
「あーあ、バイト面倒くせえ……」
隣の松木が項垂れている。
「じゃあな」
「おう」
軽く言葉を交わし、松木と別れる。
こうして何気ない日常を過ごしていたけど、正直に言うと頭の中はインド神話の悪魔、ヴリトラとアンダカのことしかなかった。
今のところは何も起こっていないが、いつどこで奴らが行動を起こすか分からない。
そう思うと勉強なんて到底手につかなかった。まあ、いつもだけど。
例のごとく、屋上へ極秘に入る。松木がいない時だけ俺もみんなと一緒に帰っているわけだ。
正直ここに来る度、未だにサバトをした時のことを思い出す。
「インド神話?」
「ああ、インド神話の悪魔が人間界に来たらしい。で、それを追って神様達が来たってわけよ」
俺とルシファーで今回の事情を説明した。
やはり簡単には受け入れられないようで、各々困惑しているようだった。
「そんなことが……」
「俺も信じられないけどよ。実際に主神と温泉に入ったんだ」
神様と温泉に入ったなんて、俺が人類唯一だろうな。
「その悪魔っていうのは誰なんスか?」
「ヴリトラとアンダカっていう奴ららしいんだけど、お前ら知ってるか?」
俺の問いに首を縦に振る者はいない。
「じゃあ、私達にも何かしらの指示が来る可能性があるってことかしら?」
「間違いないじゃろう。少なくともお前にはな」
ルシファーが俺を見て言う。
「俺? 何故だ?」
ルシファーがニンマリと笑う。
「私が契約悪魔じゃからじゃ」
◇
帰宅してから数分後、俺の家のテーブルの上に資料と数冊の本が置かれていた。
「ルシファー、これは……」
「私がアイラに頼んで取り寄せてもらった資料と、魔法に関する本じゃ」
一体どれだけの量になるのだろうか。
一冊がかなり分厚い。
「今からお前にはこれを読んでもらう」
「これを!?」
教科書すらまともに読む気も起きないんだぞ、こんなに分厚い本なんて到底読む気力もない。
「な、何でこんなもん読まなきゃいけないんだよ!?」
「たわけ」
本の角を俺の頭にぶつける。
超重い一撃だぜ。
「痛って……お前なあ!」
「よく聞け! これから戦う相手は間違いなく強敵じゃ。しかしお前は未だに上級魔法も使えん。だから私が徹底的に鍛える!」
その答えがこれか?
「だったら魔法の練習だけすれば良いんじゃないのか?」
俺の言葉にルシファーは大きなため息をつく。
“やれやれ”とでも言いたそうな表情だ。
「よいか明日夢、戦いとは腕っ節の強い者が必ず勝つわけではない。どれだけ力があろうが、頭が良くなければその力をフル活用できん」
言われてみれば、理に適ってはいる。
確かに俺は魔法を理解できていない部分は多い。
「魔法や体術の特訓はあいつらに一任する。私がお前に施すのは座学じゃ」
「トホホ……」
「さあ、早速始めるぞ!」
ルシファーの指導の基、俺の勉強会が幕を開けた。
◇
ホテルの一室、ベッドの上で横になる男女。
シヴァとその妻、パールヴァティーである。
「良いホテルだね」
「ええ。本当は観光で来れたら最高だったのだけれど」
2柱は手を繋ぐ。
「早くヴリトラとアンダカを確保しなきゃな」
「そうね……」
シヴァの表情はどこか重い。
「心配しなくてもいい、アンダカは何が何でも捕まえる」
「ごめんなさい、私が悪いのよ……」
パールヴァティーは悲しみに満ちた顔をしている。
それを見たシヴァは、そっとパールヴァティーを抱きしめた。
「君のせいじゃない」
「あなた……」
「2人を捕まえて帰ろう。ガネーシャも私達の帰りを待っているしな」
シヴァはパールヴァティーの頭を優しく撫でる。
そして互いに強く抱きしめ合うのだった。
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今回は間回?でちょっと短めです。
次回から話が動きます。
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