第44話 「救えなかったとしても」
悪魔紹介13
【バロール】
ケルト神話に登場する魔神。
見た者を殺すことができる魔眼を左眼(第三の目とも言われる)に持つ。
その魔眼は父のドルイドの魔法の儀式を見た際に得た。
他にも魔力で嵐を起こしたり、海を火の海にすることができる。
・本作では悲しい結末になってしまったバロール。
アンラ同様悪魔というより魔神ですが、本作は堕天使や魔神等の悪魔として扱われることが多い存在も全て悪魔で統一しています。
あの後、俺とルシファーはアイルランドからアイラさんに日本まで送り届けてもらった。
「今日はゆっくりしなさい」
アイラさんは優しいな。
今の俺には大分救われる。
「アイラさん、エリーはどうなるんですか?」
事件の後、エリーはアイラさんと同伴したエージェントに保護された。
俺はそこで別れてしまったのでそこからどうなるのかは分からない。
「あの子は我々の運営する施設に入ることになると思う」
「施設?」
理解していない俺にアイラさんが説明してくれた。
「世界にはあの子のように魔力を持ったが故に辛い思いをした子供達が沢山いるのよ。そういった子達を保護して正しい魔法を教えたり将来エージェントになるよう教育をしているの。長官もかつては教えていたそうよ」
「じゃあ、エリーは……」
「安全は保証するわ」
よかった……!
「ルシファー……、アイラさん……、イフリート……」
誰でも良い、聞いて欲しいんだ。
イフリートが槍から悪魔の姿になる。
「聞いて欲しいことがあるんです……」
「何だ?」
「俺思ったんです、本当にみんなを守れてるのかって……」
バロールが死んでからずっと考えていた。
「魔法は万能じゃないの、救えない人だっているわ」
アイラさんが俺に諭す。
その表情はどこか寂しさを感じさせた。
「お前だけじゃない、レオンも長官もそうだ。みんなそういう過去がある」
「もちろん、私もよ」
アイラさんの表情がさらに寂しさを増した。
それを見るイフリートの顔も重い。
「みんなそう、誰かを救えなかった過去をバネにして今があるの。櫻津君が本当にバロールとあの子のことを想うなら、前を向きなさい」
アイラさんやレオンさん、長官までもがそんな経験があったなんて。
みんなも今の俺と同じような気持ちになっていたのだろうか。
「今すぐには無理でも大丈夫よ。時間があなたを癒してくれるはずだから」
「ありがとうございます……」
アイラさんとイフリートは転送魔法で魔法省へ帰っていった。
「帰るぞ」
「おう……」
ルシファーと共に家へ帰る。
その道中も複雑な気持ちは変わらなかった。
切り替えるべきなんだろうけど、簡単には割り切れないよな。
「前を向け、明日夢」
ルシファーが俺の前に立ち止まる。
「下を向いている時間など無駄でしかないぞ」
「ありがとよ……」
けど、もう少しだけ休みたいと思った。
心の整理がつくまでは。
閲覧ありがとうございます。
今回は魔神編の締めなので少し短めです。
次回からは番外編になります。
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