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契約悪魔と魔法使い  作者: 高橋響
第二章「覚醒編」
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第15話 「接触」

キャラクタープロフィール14


パイモン

 ・誕生日:不明

 ・好きなもの:チョコレートパフェ、ルシファー

 ・嫌いなもの:トマト、犬

 ・趣味:ルシファーからのおしおき

 ・特級魔法:不明

 ・契約者:なし

 ・72柱の王でルシファーの忠実な側近。女の子のような見た目と声だが立派な男。

  ドMでありルシファーにおしおきされるのが楽しみ。彼にとってはルシファーからのおしおきは最早生きがいである。

  契約者の死をきっかけにヨーロッパから日本に来た。

 昼休み、いつものように極秘で屋上へ侵入し昼飯を食っている時だった。


「何だと!? あの野郎が!?」


 あの処刑鎌デスサイズの魔法使いが俺と戦いたがってるだと?



「間違いないです。追いかけることはできませんでしたが……」


 3人から聞いた話によればあの処刑鎌デスサイズの魔法使いは俺に興味があり、いずれ俺に戦いを挑んでくると言っていたそうだ。

 どこまでもナメくさった野郎だ。



「明日夢、お前はあいつに勝てると思うか?」 


 重い表情と声のトーンでルシファーが俺に聞いてきた。


「……ぶっちゃけると、自信はない」


 あいつの戦闘は見たことないけど、平然と人の命を奪うことができるあの野郎が正直、怖い。

 きっとあの冷徹さは俺にはない奴の強さなんだと思う。

 その上魔法使いとしても恐らく経験値が段違いだろう。

 俺は未だに中級魔法の半分程度しか使いこなせないが、あいつは転送魔法を使っていた。つまり上級魔法も使えるということだ。多分、特級魔法も……。


 これだけでも俺の勝ち目は相当薄い。



「……けど、誰かがあいつを止めなくちゃならない。あいつが俺と戦いたいなら、受けて立ってやるさ」


 そうだ、俺だって負けるつもりはない。

 あのゲス野郎の顔面に強烈なパンチを喰らわしてやらなきゃ気が済まないしな。

 怖がってる場合じゃないんだ。




「まあ、合格といったとこかの」

「合格って……俺を試してたのか?

 いつもながら味な真似をしやがる。


「うむ。あいつは今までの敵とは別格じゃ。だが奴に飲まれていないならまだ勝機はある。お前の強い心も立派な武器じゃからな」


 強い心か。

 そんなことを言われるのは初めてだ。ちょっと嬉しい。


「さすがルシファー様です!」

「ところでルシファー?」


 言葉には表しにくい困惑した表情で藤導がルシファーに問いかける。

 まあ何を聞きたいかは察しが付くが。



「あなたが座ってるその子は誰?」


 ですよね。

 誰でも見知らぬショタが四つん這いで椅子代わりになっていたら同じ反応をするだろう。

 ヴァニラとシャーロットも同じことを思っているに違いない。


「おっと、自己紹介が遅れました! 僕は72柱の王にして偉大なルシファー様の忠実なる側近、パイモンです!」

「お、男の子ッスか?」


 まあ信じられないのも無理はない。言われない限りは男だと認識するのは難しいだろうし。


「72柱ってことはヴィネは知り合いなの?」

「ええ。パイモン様も私と同じくルシファー様にお付きしていましたから。会ったのはもう何百年振りになりますが」


  何百年振りの再会がこの状況ってのもシュールな話だな。


「あーその、なんだ、今俺の家に居候してるんでまあ、よろしく頼む」

「もちろん、皆様の御手伝いもさせていただきます!」


 うーむ、その気持ちはありがたいがな。


「って言ってんだけどさ、どうするみんな?」

「まあ、味方が増えるのは悪いことじゃないでしょうし」


 契約者がいないのはアレだが特に反対意見もなく、パイモンはしばらく俺達と行動を共にすることとなった。


 ◇


 その日の夜、俺の携帯が鳴り響いた。


「誰だろう?」


 画面を見ると非通知だった。

 非通知電話なんて大抵ロクな電話じゃないし、出るのはおっくうだ。


「もしもし?」

『あー急な電話ごめんねー』


 誰だこいつ?





 と思うまでもなく気が付いた。この声、この飄々とした話し方、間違いない。


「テメエ……まさか!」

『お、覚えててくれたんだ! って、この前君の仲間に挨拶したばっかだっけ?』


 とぼけたことを言いアハハと笑う。なぜ、こいつの話し方はこんなにもイラつかせるのだろう?


「用件は何だ!?」


 怒りからつい声を張ってしまう。

 ルシファーとパイモンが俺に驚いている。


「明日夢?」



『そう怒んなさんな兄ちゃん! 実は一度ゆっくり話してみたくてさ!』

「話したいだと?」


 何を言ってんだこいつは? 敵の俺と話したいなんて。

 こいつの行動は全く読めない。


『安心してよ、俺は本当に戦うつもりはないから。ゆっくりコーヒーでも飲みながら語り合おうぜ?』


 怪しさ全開じゃねえか。

 こんな奴の言うことなんか信じられるかよ。



『まあ、その気があったらでいいよ。もし俺とお喋りする気になったら、来週の日曜にルシファーを連れて横浜に来てくれよ! 詳しい場所はまた連絡するから!』

「来週の日曜……」

『おう! あ、このことは仲間に伝えてもいいよ、じゃあな!』


 そう言い残し電話が切れた。

 俺は携帯を手放せずにいる。


「明日夢、電話誰からだったんじゃ?」


 ルシファーが真面目な顔して俺に問いかける。

 やはり伝えるべきか。


「……処刑鎌デスサイズの魔法使いからだ」


 一瞬でルシファーの顔が険しくなった。

 当然だろう、敵側から接触してくるなんて。



「奴は何と?」

「来週の日曜に横浜で俺達と話したいらしい。このことは仲間にも伝えていいとよ」


 静寂が俺の部屋を包む。

 パイモンは単純に状況に着いていけてないだけのようだが。


「一度みんなで集まろう。今はそれで対策を立てるしかないだろ」

「うむ。こっちは完全に先手を取られたわけじゃしな」

 

 ◇


 翌日、俺達は学校を休み俺の家に集まっている。

 昨日の話を説明したが案の定、全員が昨日の俺達と同じような反応になっていた。


「まさか向こうから仕掛けてくるなんて……」

「で、どうするッスか? 罠の可能性もありそうッスけど」


 確かにそうだ。こんな都合の良い話を簡単に信じるのはお人よしにも程がある。

 けど――――。




「行くよ、俺」

「櫻津君!?」

「正気ですか?」


 まあ、こうなるわな。

 でも逆にチャンスかもしれないんだ。


「奴は仲間に伝えてもいいと言っていた。つまり魔法省に報告される可能性も頭に入れているじゃろう。となるとただ話したいだけとは思えんが……それでも行くか?」


 確かにルシファーの言うことは正しいし、俺もそう思う。

 だが虎穴に入らずんば何とやら、ってね。


「ああ」


 俺の答えを聞くとルシファーは小さくため息をついた。


「分かった、お前が言うなら私は反対せん。それに奴の情報も欲しいからな」

「ありがとよ」



 俺とルシファーがそう言っている以上、他に反対意見はなかった。


「私達も行くわ。魔法省にも連絡をしておく」

「いや、大人数で行くのはバレやすい。魔法省には場所と日時だけ伝えておくんじゃ」


 それはそうだな。こういう時のルシファーは冴えている。


「そして切歌、お前は奴らに顔が割れているようじゃからな。今回は来るな」

「えっ……」


 いや、確かに藤導は奴らに知られていたけど……、参加すらさせないなんていくらなんでも酷じゃないか?


「あいつら、お前に何か企みを持っているような気がしてならん。今回は大人しくしておれ」

 ルシファーは冷たく突き放す。まあ思いやりなんだろうけど。

「分かったわ……」


 渋々ではあるが納得し頷く。俺としてはいてくれた方が心強いんだけど。



「さて、明日夢。一度言ったからには覚悟を決めるんじゃぞ」


 覚悟? そんなもん魔法使いになった時からとっくにできてるさ。



「おう!」

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