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契約悪魔と魔法使い  作者: 高橋響
最終章
123/126

第122話 「最後の魔法」

裏設定

ルシファーの強さ順位

天使ルシファー=サタン>堕天使ルシファー

となっております。

「これが俺の……最後の特級魔法だ」

 

 これが最後、これで決める。俺の人生を歪ませた運命を俺は断ち切る。

 

「やめろおお!!」

 

 奴は俺を妨害しようとこちらへ向かってくる。だけど俺には眼中になかった。

 仲間達の声が届いていたから。

 

「行って!!」

「櫻津さん……!!」

「決めてください……!」

 

 あいつら、意識が戻ったのか。ありがとよ、しっかり届いてるから。

 背中を押してもらったんだ、それに応えないとな。

 

<さあ、唱えましょう>

「ああ」

 

 自然と笑みがこぼれる。慢心したわけじゃない。けど出ちまったんだ。

 

「トー・クロウ・ルシフ」

 

 

 

 

 

 全ての時間が遅く――いや、これは……!

 

「止まっている……?」

 

 信じられないが、時間が止まっていた!

 これが天使のルシファーの特級魔法なのか!

 

<これが私の本来の力です>

「……さすがだな、熾天使」

 

 

「櫻津君」

 

 この声は……。

 すぐさま声のした方へ視線を向ける。

 

「藤導……なんで?」

 

 なぜだ? 時間が停止した中で唯一藤導だけは変わらず動いている。

 

「多分これのおかげ」

 

 そう言って彼女はエクスカリバーを見せてきた。

 そうか、エクスカリバーで特級魔法を無効化しているんだ。

 

「なるほどね」

<さすがですね>

 

 っと、そうこうしているうちに時間は過ぎていく。早く決着ケリを付けないと。

 俺は大剣ルシファーを担ぎ奴の方へ向かおうとする。

 

 しかし――。

 

「待って!」

「……どうした」

 

 藤導は俺を止める。

 何の理由があるのかは分からないが、その眼には決意が漲っているのが分かった。それも並々ならぬものが。

 

「……私が決着をつける」

「おい……」

 

 そんなことできるのか? 相手はたった一人の家族なんだぞ?

 そんなことをさせるのは本人にとっても俺にとっても辛い。だから俺がやるつもりだった。

 なのに……。

 

「できるのか?」

「……私がやらないといけないのよ」

 

 そう言った彼女は強気な口調だった。けど俺はしっかり見ている。震える手を、悲しい瞳を。

 無理しやがって。

 

 俺は一つの決断をした。

 地面に大剣ルシファーを思い切り突き刺す。

 

「……すまねえルシファー。せっかく天使の力取り戻したってのに、剣として使ってやれなくて」

<いえ、素晴らしい選択だと思いますよ>

「何を?」

 

 そのまま俺は藤導のエクスカリバーを掴んだ。

 

「俺も一緒にやる」

「えっ……?」

 

 突然の申し出に困惑しているようだ。

 悪いけど、俺も譲れねえ。

 

「お前一人にそんな辛い思いはさせない。俺も半分支える」

「櫻津君……! でも……」

 

 必死に涙を堪えているみたいだった。そんな彼女に俺はそっと首を振る。

 

「これから先、辛いことは俺も背負う」

「……ありがとう……!!」

 

 彼女にそっと微笑む。

 そして俺達はぎゅっとエクスカリバーを握った。触れ合う手が、いつもより暖かく感じるのはなぜだろうか。

 

「いこうぜ」

「はい」

 

 俺達はエクスカリバーを振り上げ、そのまま一気に振り下ろした。

 奴の胸部に傷が付く。

 

 

 

 

 これで、ようやく終わる。いや、本当に始まるんだ。

閲覧ありがとうございます。


完結まであと3回です。


感想、評価、レビュー、ブクマ大歓迎です。

次回もよろしくお願いしますm(_ _)m

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