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アース

 先日はアースを洗うので忙しかったのでステータスを調べられなかった。

 そんな訳で本日改めて僕はフェアチャイルドさんと一緒にアースの所へ向かった。彼女がどうしても一緒に来たいといったんだ。動物が苦手だったはずだけど、もう大丈夫なのかと聞いてみると、慣れる為にも一緒に行きたいと言った。なので僕は素直に了承した。

 どうせ『ステータス』の事は彼女に教えているし問題はない。

 途中でナスを拾い一緒に向かう。少しでも仲良くなってもらわないと。

 アースの寝床に着くとナスが僕の一歩前に出て鼻をクンクンと前に突き出す。

 そしてすぐにぴぃと妙に嫌そうに鳴いた。仲良くして欲しいな。

 僕はナスの頭を一撫でしてから倉庫の中へ入る。

 倉庫の中ではアースがいびきをかきながら寝ていた。


「アースー」

「ぼふー……ぼふー……」


 呼びかけてみるけれど起きる気配はない。

 近寄って今度はアースの顔を軽く叩く。

 洗う事によってほぐされたアースの体毛は柔らかい。今なら剣でも切れるだろう。洗う事によって防御力が下がってしまったけれど、アースは気持ちよさそうに毛づくろいしていたからこれでよかったんだろう。

 徐々に強くしながら叩き続けて、殴るような強さになってようやくアースは起きてくれた。


「やっと起きた」

「ぼふん」

「ぴぃー!」


 アースが不満げな声を出すとナスがさっさと起きろと怒りだした。

 そんなナスに対しアースはぼふふと嘲笑する。そういえばこの二匹はどうしてちゃんと言葉が通じているんだろうか。

 アイネもナスの気持ちは分かるみたいだし、言葉は分からなくても何を言いたいのかは分かるという事だろうか。


「はいはい。喧嘩しないの。ごめんねフェアチャイルドさん。この二匹どうも仲が悪いみたいで」

「私とアールスさんとは大違いですね」


 そう言って自慢気に胸を張った。


「本当だよ……アース、今日はアースにお願いがあるんだ」

「ぼふん。ぼふふぼっふ」

「ああ、うん。ちゃんとマナポーションは用意するよ」


 あらかじめ用意していたアース用の木の器とナス用の木の器にマナポーションを満たした。


「ほら、ナスも朝ごはんだよ」

「ぴー」

「ぼっふぼっふ」

「えと、食べながら聞いて欲しいんだけど、これから僕の魔法を封じた魔法鉄でアースのステータスを調べたいんだ。もしもステータスを見られたくなかったら断っていいからね」

「ぼふん。ぼふぼふ」


 どうやら構わないらしい。マナポーションを飲み終わるのを待ってからアースの目の前に使い方を説明しながら魔法鉄を置く。

 さすがにアースは持つ事が出来ないから目の前に置くしかない。咥えさせて何かの拍子に飲み込んじゃっても困るし。

 アースは鼻先を魔法鉄にくっつけ魔法を発動させる。

 いつもの青い板が出て来て、アースがその板を見せてくれる。


名前 アース 年齢 なし

種族 アライサス・ソリッド 性別 無性

職業 なし

HP  4000/4000

MP  519995/520000

力 400

器用 5

敏捷 237

体力 780

知力 30

運 80


スキル

魔力操作(マナコントロール)

魔力感知(マナパーセプション)


特殊スキル

ソリッド・ウォール


固有能力

戦士


 分かってはいたけれど、頭のおかしな数値だ。


「これは……」


 フェアチャイルドさんも驚きのあまり絶句しているようだ。


「このソリッド・ウォールっていうのはアースウォールみたいなやつ?」

「ぼふん」


 違うらしい。見せてあげると言ったので僕は慌てて止めようとしたけれど間に合わなかった。

 しかし、それはアースウォールのように目立つようなものではなかった。

 一見すると何も変わっていない。けれど、変化はナスが教えてくれた。

 ナスがアースの魔力(マナ)を調べてみろというのでアースに許可を貰って魔力(マナ)を繋げてみた。相変わらずの圧倒的な多さの魔力(マナ)がアースの身体の表面に集められている。


「これって、身体の表面に魔力(マナ)を圧縮して集めて防御壁にしてるの?」

「ぼふ」


 身体に触れてみようとすると、その前に見えない壁に阻まれる。

 僕は驚いて手の平を見えない壁にペタリとつける。まるで丈夫なガラスを触っているような感触だ。


「すごい。触れるほど圧縮させるなんて……」

「ぴぃ~……」

「フェアチャイルドさんも触ってみなよ」

「は、はい」

 

 叩いてみるとまるで本当にガラスを叩くような音がする。もしかしてこれ壊れる時はパリンと割れるのだろうか。

 なんにせよこんなのを僕との勝負の時に使われていたらどうなっていたやら。


「硬いですね」

「うん。ありがとうアース。もういいよ」

「ぼふ」


 一鳴きすると触れていた防御壁が消えてアースの身体に触れるようになった。

 そして、もう一度青い板を見る。


「固有能力は戦士か……」

「たしか……力と体力が付きやすくなるんですよね」

「うん。ベルナデットさんの剛力と体力が伸びやすい壮健を合わせた能力だよ」

「それでこの数値なんですね」

「元々動物は人間よりも力と体力は高いらしいからね。人間が同じ固有能力を持ってて鍛えてもここまで上がる事はないと思うよ」


 人間と動物の基礎能力はやはり違う。人間は知力や器用が高いけれど、動物は力と体力が高い傾向にある。

 敏捷はそれこそ動物によって幅があり一概には言えないけど、やっぱり動物の方が人間よりも高い傾向にある。

 そして、運だけは種族に関係なく個々で全く違う。


「ありがとうアース。もういいよ」


 そういうと青い板が消える。


「これだけ強いと魔の平野を越える時も心強いね」

「そうですね」

「ぴぃ……」

「ナスも頼りにしてるからね」

「ぴー」


 ナスとアース、あと三匹であの占いの時の魔獣が五匹揃う。高い確率でやってくる未来。一体どんな魔獣が僕の下にやってくるんだろう。 

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