休日
ルゥと遊ぶ休日まで僕はあちこち歩き回った。
実家に挨拶をしに帰ったり、エンリエッタちゃんと会ったりした。
ユウナ様は手紙を送りその返事は来たのだけれど会える日はルゥと公園で遊ぶよりも後になった。
後同級生に同窓会の誘いもしてみた。開催日はアールスと合流した後にアールスを交えて、という事になるのだがその同意と参加希望の確認だ。
小さな子供がいる夫婦は少し難しい顔をし相談すると言って返事を保留されたがそれ以外は快い返事を貰えた。
子供のいる夫婦も二回目の訪問では子供を親に預け参加表明を貰えた。
後は王都にいる二人を除いてカイル君とラット君がいれば大体揃うんだけど……しょうがない。二人共グランエルにいないからな。
いたとしても僕がカイル君を誘えるか分からないけど。
そして、そんな中レナスさんはアールスが合流してくるまで暇だからと言って実家に挨拶しに帰ってしまった。
なので僕とカナデさんの二人で魔獣達のお世話をする事になったので余計に忙しい。
そんなこんなで休日まで割と忙しく動き回って過ごしていた。
そうして当日、僕は昨日のうちに用意しておいたお弁当を荷袋に詰めてカナデさんと一緒に預かり施設へ向かう。
カナデさんは自分も行きたいと言って申し出て来たので監督役として一緒に来てもらう事にした。
ルゥと会う場所は寮の近くにある公園だ。遊びに来る子供が多いだろう。
魔獣達自身も気を付けるとはいえやはり人手は欲しいのだけど監視できる適当な知り合いがいない。
慣れてそうなのは学校の先生だが、さすがに休日まで拘束することは出来ない。
しかし、街中で子供達が詰めかけてくるのはよくある事で魔獣達も慣れている。魔獣達を信じよう。
そして、魔獣達を連れて公園へ向かう途中昔特別授業で魔獣達と会った事がある子供達と遭遇した。
高学年でぎりぎり僕が在校していた時にすでに学校にいた子だったけれど寮で暮らしていた子達ではないから僕はよく覚えていない子達だ。
僕がよく覚えていない子達でも向こうは魔獣達の事をよく覚えているようで気軽に魔獣達に駆け寄って来た。
子供達の事を無碍にする事も出来ず公園まで一緒に来てもらう事になった。
目的の公園は木々が植えられているせいで大体学校の校庭よりも少し狭い位の広さでナスが駆け回る事は可能だ。
人はまだ午前中の早い時間という事もあってか子供の姿も少ない。
けどその少ない子供達も魔獣達の姿を見てすぐに駆け寄って来た。
しかもその子達は僕も見覚えのある寮に住んでいる子達だった。
子供達も僕に気が付くと挨拶にやって来る。
「ナギ姉ちゃんひさしぶり!」
「ナギ先輩お帰りなさい。グランエルに戻って来ていたんですね」
「皆ただいま。久しぶりだけど皆大きくなったね」
ちょっと前まではルゥみたく小さかったのに大きくなったなと少し涙が出てしまった。
ルゥが来るまでの間魔獣達と戯れる子供達に注意しながら僕と話したがる子供達の相手をする。
しかし、ルゥが来るまでと言っても話し始めてから十分と立たない内にルゥはやって来た。
どうやら友達も連れてきたようでルゥ以外の子供も四人一緒にやって来た。
その四人のうち一人は見覚えがある。リュート村にいた時からルゥの友達だったセルシーちゃんだ。今でも仲良くしてくれているようで何よりである。
ルゥは上級生の子達に囲まれているナスを見て気後れしている様子なので助け舟を出す。
上級生の子達に小さい子が来たから変わって欲しいと伝え、ついでにできれば接し方を慣れていない子に教えてあげて欲しいと頼む。
本当ならルゥとナスにはゆっくりとした時間の中で語らい合ってほしかったな……。
2022/10/10
>後はカイル君とラット君がいれば全員揃うんだけど……しょうがない。二人共グランエルにいないからな。
王都にいる二人の事を失念していたので修正しました