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閑話 ※注 カナデは恋愛初心者です

 休みの日の昼下がり、レナスが勉強をしている間に丁度良く居間でカナデが暇そうにしていたので声をかけた。

 他愛のない暇つぶしの会話から入り場が温まってきた所で質問をしてみる。


「カナデはあまり恋愛小説読まないの?」

「読みませんねぇ。私は冒険物が好きなのでそればっかりですね~」

「冒険者らしいわね。と言っても私も別に好んで読んでるわけじゃないんだけれどね。レナスがよく読んでいたから私もつられてって感じね。

 それで人間の恋愛観というのも学んでいるのだけど所詮空想上の物語でしょう? どれくらい参考になるかしら」

「全くの想像から作り出すと言うのも難しいでしょうしある程度は実体験を基にしている話もあるんじゃないでしょうかぁ?」

「そうなのね……小説読んでると人間の感情について分からない事があるのよね」

「はえ~。例えばどんな事ですかぁ?」

「浮気する人間とか。あれ理解できないのよね。好きな人がいるのにどうして他の人も好きになって浮気するのかしら?」

「あ~、実際にそういう人いるらしいですねぇ。どうしてでしょうねぇ? 大概悲惨な末路になっていますけど~」

「へぇ? どんな末路なの?」

「浮気された方に刺されたり周囲の人達から信用を無くして落ちぶれていくらしいですよ~」

「人の事を裏切ってるのだから信用なくすのは分かるけど、刺される? そこまでしちゃうものなの?」

「武器を持ってる冒険者とかついカッとなってやってしまうらしいですねぇ」

「恐ろしいのね。裏切られたとはいえかつて愛していた人間にそこまでしてしまうなんて」

「精霊ってそういう場合どんな反応をするんですかぁ?」

「裏切られたら……たぶん暴走して消滅してしまうんじゃないかしら?」

「そっちの方が危なく思えますね~」

「ふふっ、たしかにそうね。ただまぁ裏切られてそんな事件があったって聞かないから実際は違うのかもしれないわね」


 前にレナスに教えて貰ったのだけど今世間に把握されている精霊の暴走の原因は契約者が他者に殺された場合のみらしい。

 契約者である精霊術士がきちんと精霊を制御しているからかそれとも精霊とは意外と暴走しないように出来ているのかも。

 シンレイとなった私はどうだろう?


「カナデは恋をした事はあるの?」

「片思いなら小さい頃にした事ありますね~。結局冒険者になってからはその事を忘れていましたけど~」

「あらそうなのね。告白とかしなかったの? 卒業が近づくと皆恋人を作るようになるらしいけれど」

「私は冒険者になる事に夢中でしていませんねぇ」

「カナデは恋よりも夢を選んだのね」

「ですです~」

「もう一つ質問したい事柄があるのだけど小さい頃にしか恋した事のないカナデに分かるかしら?」

「むむむっ、聞いてみないと分かりませんよ~」

「そう? ……そうね聞いておきましょう。聞きたいのは小さい頃から一緒に育った女の子二人男の子一人三角関係ね。ただ女の子の一人は引っ越して長い間会えていないけど、再会してしばらく経った後の話ね」

「アリスさん達みたいですね~」

「そうね。だからこそ興味を持ったのだけど。男の子とずっと一緒にいた女の子は男の子の事を好きなのよ。で、その男の子は再会した女の子の事を愛している……とずっと一緒にいた女の子が思っている訳ね」

「本当は違うんですかぁ?」

「それは分からないわ。一緒にいた女の子視点のお話だから男の子の心情は分からないのよ。ただ男の子は再会した女の子の事を妹の様にしか思ってないと言っているけれど」

「その男の子アリスさんっぽいですねぇ」

「でしょ? だから余計に気になっちゃうのよ」

「でもそれだったら男の子の言う通りなんじゃないんですかぁ? どうして再会した子を愛して……家族として愛しているなら間違ってないですねぇ?」

「……ああ、そうね。うっかりね。恋してると思ってると置き換えて頂戴。で、なんでそう思ってるかって言うと男の子は再会した女の子の事を手を尽くし沢山助けて一緒に居られるようにしたからね」

「ははぁ、それは確かに気があるように見えますねぇ。それで告白をしたんですかぁ?」

「してないわね。男の子には問題があって普通の恋愛が出来ない状態なのよ」

「本当にアリスさんっぽいですね~」

「本当にね」

「それで何が疑問なんですかぁ?」

「ずっと一緒にいた女の子は男の子の事好きなんだけど素直になって男の子に想いを伝える気がないのよ。再会した子の事を嫌いになりたくないからって」

「あー……再会した女の子とも仲は良いんですね?」

「そうね。仲がいいわ。取り合う事になるかもしれないから喧嘩になる事も考えられるけれど、その後に仲直りできない物なのかしら?」

「うう~ん。人にもよると思いますけどぉ、嫉妬深かったら敗れた時相手の事を許せないかもしれませんねぇ」

「たとえばレナスとナギ位仲が良くても?」

「結局の所どれだけ相手の事を好きかですからねぇ。男女関係のいざこざでそれまでの関係が壊れてしまったという話はよく聞きますよ~」

「そういう仲が悪くなって後を引くほどの嫉妬って人間では普通なの?」

「普通じゃないですかねぇ」

「そうなのね……皆は大丈夫かしら? 私はいやよ、今の皆が喧嘩別れするなんて」

「大丈夫ですよ~。皆さん恋よりも自分の夢に夢中みたいですから~」

「それならいいけれど」

「私からも一ついいですかぁ?」

「なにかしら?」

「精霊の方達は嫉妬とかしないんですかぁ?」

「もちろんするわよ。でも相手を嫌い続けるって事は無いわね。契約者以外はあんまり興味ないもの。嫉妬し続けるよりも契約者と楽しくやってる方が大事なのよ」

「なるほどぉ」

「カナデありがとうね。色々勉強になったわ」

「いえいえ~」


 レナスに無理に素直にさせて不和を生ませるよりも今の関係を続けさせた方がいいかしら?

 けどアイネが大人しくするかしら。

 アイネの行動も精霊からしたら理解できない物じゃない。正しく理解しているかはともかく、ね。

 精霊の感覚からしたらアイネが大人しくしてくれるとは思えない。

 だとしてレナスの嫉妬を抑えるには……あら? もしかしてナギにかまってもらうのが一番良いんじゃ?

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― 新着の感想 ―
[一言]  第三(?)の選択で、無関係な仲間内で結末を賭けにして予想して、ジレジレな現状を眺めて楽しむって悪い手段が有りますぜ(ゲス顔)
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