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反省会

今日は二話投稿します


今話はその一話目です

「アリスちゃんが戻って来たので今日の反省会をしまショウ」


 僕が割り振られたテントに戻るとミサさんがいきなりそんな事を言ってきた。

 たしかに反省会はするつもりだったがヘレンの事を聞かずに、というのは予想外だった。


「いきなりですね。ヘレンの事はいいんですか?」

「気にはなりますケド、それは後でも聞ける事。本当は戦いの内容を忘れないように戻って来てすぐにやりたかったんですヨ?」

「なるほど。それは申し訳ありませんでした。たしかにミサさんの言う通りですね」

「アリスちゃんは自分のするべき事をしただけですヨ。さて、戦いと言っても今日は最初の襲撃だけでしたガ、ワタシは前にいたので他の皆さんは見えませんデシタ。皆さんは何か気づいた事や反省点はありましたカ?」

「あっ、ミサさん達が魔物を切り伏せた時僕出遅れてしまいました。慣れの所為だと思いたいんだけど、レナスさんやカナデさんから見て何か不味い所とかあったかな?」

「んー。私は魔物に注意を向けてましたからアリスさんが遅れた事くらいしかわかりません~」

「私も後ろから見ていましたが慣れの問題だと思いました。動きがいつもよりは固いかとも思いましたが初めての魔物との戦いならそんなものなのかな、と思います」

「実際に魔物と当たったわけじゃないですからまだまだ問題点は見えませんネ。

 熟練度の差かそれ以外の要因かはこれから分かっていくでショウ。

 しかし、今回の事を失敗と捉え次の時に身を固くしていたらもともこもありまセン。

 今回は無事に戻ってこれたのですから自信を持つべきデス?」

「自信ですか……」

「もし自信を持つのが無理だと言うのなら練習あるのみデース。幸いワタシ達にはアースさんの操る土人形ありマス。土人形を利用して対策の練習すればいいんデス」

「……そうですね。練習あるのみですね」


 そして、反省会は戦いが短かったという事もあり僕以外は特筆する様な反省点は出なかった。せいぜいがカナデさんが緊張で上手く魔物に当てられなかった事位でこれも慣れの問題で練習あるのみという結論になった。


 反省会が終わりヘレンの事を話した後僕は素振りをしに木剣を手に外へ出る。

 ただその際何故かレナスさんがついてきた。


「レナスさんも素振り?」

「いえ、その……二人で話したい事があって」

「話したい事?」

「はい。いいですか?」

「もちろん」


 周囲には兵士さんがいる。

 人気のない、しかし野営地に設置された明かりの範囲からでない場所に移動する。


「それで話って?」

「その……ナギさん大丈夫かなって。ナギさんは剣を生き物に向けるのは苦手じゃないですか。魔物相手は大丈夫かなって」

「……それは大丈夫だよ。魔物は生き物じゃないからね」


 この世界では魔物は魔素の塊であり死体を残さないから生き物じゃないと考えられている。


「本当にそう思っていますか?」


 真っ直ぐに見てくるレナスさんの赤い瞳を僕は見つめ返す事が出来ない。

 ああそうだ。僕は魔物が生き物じゃないなんて割り切れない。そもそもそれを認めてしまったらより不安定な存在である精霊はどうなんだと言うんだ。

 シエル様は精霊には魂が無いと言っていた。けどこの世界の人は精霊を友人として共に生きていた歴史がある。

 僕には精霊達を、ともに笑い語り合い生きている精霊達を生きていないなんて言えない。

 そして、魔物の成り立ちは精霊によく似ていてより確固とした存在を得ている。

 僕には魔物を否定する事は精霊を否定する事につながるような気がしてならないんだ。

 でもただ一つ。魔物は精霊とは確実に違う点がある。


「魔物は敵だからね。この世界を侵略しようとしてる敵だ。だったら守る為なら僕は戦えるよ」


 そう、戦えるはずだ。


「それに僕にはまだ魔法があるからね」


 僕には剣と盾だけじゃない。今回は出番はなかったが魔法だって使えるんだ。

 そう考えてるとレナスさんが僕の手を取り自分の手で包み込んできた。


「ナギさんの手は何かを殺めたり守るための物ではなく、救う物だと私は思っています。

 だから……そんな風に自分を無理やり鼓舞しようとしないでください。

 私はナギさんが無理をして傷つく所は見たくありません」

「……まだそう思ってくれてるんだね?」

「え?」

「僕の手は救う物だっていうの、授業で初めてナビィを狩った日の夜に同じ事をレナスさん言ってくれたよね」

「お、覚えているんですか?」

「あははっ、レナスさんも覚えてたんだ。うん。情けなく聞こえるだろうけど慰めてくれるのが本当に嬉しかったんだ。本当に……」


 どうしてこの子はこんなにも僕の心にするりと入ってくるんだろう。

 覚えていてくれたんだ。あの日の事を。

 だけど、救う手っていうのは今の僕には相応しくないだろう。

 だって僕は人を救える術を持っているのに名も知らない人間を救うよりも目の前の子と一緒に行く事を選んでしまったんだ。

 口が裂けてもそんな事は伝えられないけれど。

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