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問題が一つ片付いた朝

 学校に登校するとクラスメイトが騒いでいた。

 何時も騒ぎの中心であった中野は当然来ていない。


 「中野のやつ両親をメッタ刺しだってよ!!」

 「マジかよ、親の七光の癖に親殺しとか馬鹿じゃね!?」


 クラスメイトの噂話が耳に入ってくる。

 そう俺は中野本人ではなく、中野の両親を殺したのだ。

 中野の問題のネックは親が議員とPTA会長であることだ。

 この点が解決出来れば中野の問題は比較的簡単に片付けることが出来る。ただ生憎と孤児で高校生でしかない俺には議員を辞めさせたり、PTA会長を辞めさせるなどの権力は持っていない。

 なら話は単純だ、中野の両親を殺してしまえば良いのだ。

 中野本人を殺さなかった理由は単純に、囮として容疑者になってもらうことと、中野を殺すと恨みを持つ俺に疑いがかかるか可能性が有るからだ。

 つまり、中野の両親だけを殺すことは俺に次のメリットがある。

  ①中野本人が容疑者になるので俺への追及が減る

  ②仮に中野が囮だと気付かれても、中野を殺せる状況でも殺さなかったことで、恨みを持つ俺を見逃す可能性がある

  ③仮に偽装と気付かれても議員をやっていた親が殺されたので、子供の諍いが原因だと警察が気付く可能性が低い

 

 特に③が重要だ、基本人殺しが有った場合恨みと金を調べる。中野の虐めを揉み消すような両親なので、さぞ恨みを買っているだろうし、あの豪邸を見れば金のトラブルもさぞ抱えていただろう。

 しかも物的証拠が残っていなければまず間違いなく、警察は恨みと金を辿る。

 つまり、警察がまじめに仕事をすればするほど、子供の虐めが原因だとは考えにくくなり、俺の安全が高まる。


 結果的に完璧と言って良い結果になったが、俺としては途中で失敗しても特に問題は無かった。

 例えば家に忍び込むまでは、前にも言ったが誰かに見つかってもステータスの高さで振り切ってしまえば、ただの不法侵入なので以降の追及はまず無いと考えて良い。

 進入後に中野家の誰かに見つかったのであれば、ステータスの高さを使って全員で首をへし折って殺し、家に火でもかけてしまえば良い。逃走は困難になるが暗い内で有ればステータスの高さでいくらでも逃げようがある。その後の追及される恐れがあるが、それでも③のメリットは生きている。

 両親を殺した後で中野本人に見つかったとしても、ステータスの高さを利用して逃亡する。この場合も③のメリットは生きている。もしかしたら偽装が完了していない状態でも中野を疑う可能性もある。


 まあ、完全にステータスの高さに依存した計画だったが、9割方上手くいくとは考えていた。

 何故ならステータスの「幸運」が270となっていたからだ。

 常人の三倍近い運が有れば多少ずさんな計画でも何とかなるし、これだけ偽装していれば以降も気付かれることは無いだろう。


 寝不足だが問題が一つ解決したと安堵する。


 名前  :橘 悟

 年齢  :16

 身長  :175

 体重  :63

 力   :235

 速さ  :245

 賢さ  :260

 容姿  :287

 幸運  :270

 体力  :202/257

 状態異常:ストレス(中)

 祝福  :神の寵愛(786)

 外傷  :無し

 技能  :二輪自動車運転技能


 ステータスを確認するとストレスが中になっている。

 これは中野でストレスを発散したからなのか?中野の問題が解決したからなのか?それとその両方なのだろうか?

  

 そんなどうでも良い事を考えていると柊美雪が登校してくる。

 「お早う御座います、橘君。」

 「ああ。」

 機嫌が良い所為か久しぶりに悪態が出てこない。

 「中野君の話聞きました?」

 「噂話程度ならな・・・・俺としては中野が誰を殺そうが知ったことじゃない。ただ静かになるのは助かるな。」

 「ええ、そうですね。」

 笑顔でそう返した柊美雪に俺は驚く。

 外面の良いこの女があんな言葉に同意するとは思わなかった。

 そんなことを考えていると深刻そうな顔をした、出席取り機が入って来て稼動を始める。

 

 問題の一つは解決した、少なくともこれは良いことだ。 

 (さあ、後はこの女の問題を解決するだけだ。)

 俺はそう考え気合を入れる。

 (中野などよりもこっちの問題のほうが遥かに厄介なんだけどな・・・・・)

 入れた気合は早くも抜けて行った。


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