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ストレス解消

 バイトが終わり家に帰ると俺は出来るだけ暗い色のランニングウェアに着替える。

 何をしようかと言うと、中野の問題を解決してしまおうと考えたのだ。

 中野の最大の問題点は親が権力を持っていることだ。生憎俺は権力は持っていないが人間離れしたステータスなら持っている。

 だから力ずくで先に中野の問題を解決することにした。

 普段の俺であれば確実に取ることの無い選択だ。

 冷静であることはステータスが保障しているが、それでも普段の俺らしい選択ではない。

 相当ストレスが溜まっているということなのか?

 

 着替え終わった俺は時間を確認する。

 午前2時丁度良いだろう。

 部屋を出ると予め考えて置いたルートでランニングを始める。両腕両足には先ほど買ってきたアンクルウエイトを着けている。

 時間が時間なので一応警官に職質された場合の備えはしている。

 女性の奇行は大体「ダイエット」という魔法の言葉で納得して貰えるし、男子学生の奇行は大体「エロと中二病」という呪いの言葉で説明出来る。

 最悪警官に職質された場合は、中二病全開でエロの事を口走って誤魔化す予定だ。

 その為に上着の内側にエロ本を何冊かくくり着けている。頼むから職質を受けるにしても男の警官で有って欲しい。男は同じ男のエロに対してとても寛容だからだ。

 「馬鹿でエロい高校生がランニングの振りをしてエロ本を始末しに来た。」と警官に思わせる事ができれば完璧だ。


 ランニングを装って予め調べて置いた中野の家の前を横目で通り過ぎる。

 親も悪党なためか立派な家で、周りを高い塀で囲まれている。


 俺は走りながら人が周囲に居ないことを確認し、地面を蹴り電柱に向かって跳躍すると、電柱を蹴って塀を一気に飛び越える。

 ステータスが常人の2.5倍になっている為、既に跳躍力が人のレベルを超えているから出来る芸当だ。

 庭に入り物陰に潜みつつ窓を確認する。

 (よし網戸になっている)

 窓が網戸になっていることを確認し安堵する。

 痕跡を残さず鍵を開けるなどという芸当は俺には出来ないので、網戸になっていなければここで撤退する予定だったのだ。幸い今は初夏なので恐らくいけると踏んだが正解だった。

 と言うかここで失敗してもただ帰れば良いだけなので、別に窓が閉まっていても特に問題は無かった。単に別の計画を練れば良いだけだ。

 

 そのまま1時間ほど時間をかけて周囲を警戒する。

 (警備会社とは契約していないか・・・・)

 もし警備会社が駆けつけてきた場合は逃げるつもりだったが、それも問題なかったようだ。

 大体ここまではただの不法侵入でしか無いので、ステータスの高さを利用してこの場を逃げてさえしまえば、以降追求される心配は殆ど無い。


 俺は用意しておいたゴム手袋をつけると、家に近づき一機に二階に向かって跳躍し、窓の縁を掴んで体を上げる。

 網戸を静かに開けて屋内に静かに入る。

 息を潜めつつ気配を探る。ステータスが向上した所為か、人の気配をある程度感じることが出来るようになった。

 二人纏まった気配が一つと、一人だけの気配が一つ。

 二人が中野の両親で、一人だけが中野だろう。

 強化された耳には三人分の寝息が聞こえてくる。

 これも予想通りだ。

 俺は一階に下りると台所に向かい包丁を探し出す。

 ポケットから使い捨てのレインコートを取り出し着用する。

 

 再び二階に戻ると、お目当ての部屋を目指す。

 レインコードががさついて音を出さないように気をつける。

 

 静かにドアを開けてベッドに近づき、首元を確認する。

 正確には頚椎の位置を確認する。


 静かに深呼吸して気を落ち着ける。

 俺もこんなことをするのは始めてだ、緊張もしている。

 十数秒気を落ち着けることに費やすと一気に包丁を振り下ろし、すぐさま抜くともう一度振り下ろす。

 一撃で頚椎を潰し絶命させたことを確認し部屋を出て、もう一つの部屋に向かう。

 もう一つの部屋に入ると、起こさないように静かにタンスから適当な衣類を一式取り出し部屋を出る。

 ここで眼を覚まされると拘束するか殺す必要があったが、起きなくて助かった。

 

 服を持って再び先ほどの部屋に戻り、ベッドの縁に持ってきた服を置くと、出来るだけ死体を静かにメッタ刺しにする。

 レインコートは着けているが出来るだけ返り血は避ける。

 と言ってもタオルケット越しに刺している所為かそれほど返り血は無い。それでも近くに置いた服には多量の血が付着する。

 二十回以上刺してから包丁を適当に服で拭って床に置き、服を部屋に無造作に投げ捨て部屋を出る。

 

 再び一階に戻ると、風呂場に入りゴム手袋についた血を適当にこすり付ける。出来るだけ音を出さないようにこすりつけた血をシャワーで流してしまう。一度血が残っていないか確認し、風呂場を出る。

 

 着ていたレインコートとゴム手袋を脱ぐとビニール袋に居れてポケットにしまう。

 幸い返り血は全てレインコートで防がれ、服にはついて居ないようだ。

 ただ腕には血がついているので、こちらも持参したウェットティッシュで拭う。

 再度血が着いたままになっていない事を確認し、入ったルートと同じルートから庭に出る。

 庭の物陰から人の気配が無いことを確認し道路に飛び出るとランニングを再開した。

 時間は午前四時半、夏場なので気の早い人間ならランニングをしていてもおかしくは無いだろう。

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