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神の寵愛

 気がつくと俺は先ほどの校舎裏のベンチで寝ていた。

 ベンチで本を読みながらうとうとし始めたときの記憶があるが、曖昧だったのでステータスから記憶をサルベージしたところ、先ほどの便所の出来事を引き出せた。

 現在の記憶とステータスの記憶に差異が生じているが、俺はこういった時ステータスを信じることにしている。

 以前もステータスの記憶ではなく、曖昧な現在の記憶を信じて、痛い目に会ったので必ずステータスを信じることにしている。


 「あの女・・・・」


 ふつふつと沸いてくる怒りに拳を握り締める。

 確かに好奇心と性欲に負けて覗いたのは俺だが、そもそも男子便所で自慰をしている方に問題があるだろう。

 それにも関わらず気絶するほどの力で殴りやがって。

 俺は立ち上がると教室に向かう。

 文句の一つもつけてやらねば気が治まらない。

 勿論この事を他人に言いふらしたり、ましてや脅しのネタにするつもりなど無い。ただ文句をつけたいだけだ。

 

 途中の廊下で柊を見つける、幸いなことに廊下には俺と柊だけで誰も居ない。

 ずかずかと近づくと柊も俺に気づく。

 おかしなことに柊は俺の顔を見ても謝りもしなければ、動揺もしない。

 「この変態女!!」

 俺は怒鳴りながら柊の肩を掴んで壁に押し付ける。

 柊は心底驚いたといった顔で俺を見てくる。

 「どうしたの橘君?私何かした?」

 「とぼけるな変態女、男子便所であんなことをしておいて!!」

 怯えながら尋ねてくる柊に対して、俺は再び怒鳴りつける。

 「え!?」

 柊は何の事を言っているのか察したのか顔を赤らめた後、涙目になる。

 その眼を見て、俺は少し冷静に戻る。

 理不尽に殴られたからといって、女子に対して少し辛く当たりすぎた。

 「二度とするなよ!!」

 俺は捨て台詞を吐くと柊の肩を離して歩き出す。


 冷静ではないなと思い、習慣になっているステータスを表示する。


 名前  :橘 悟

 年齢  :16

 身長  :175

 体重  :63

 力   :155

 速さ  :161

 賢さ  :149

 容姿  :167

 幸運  :101

 体力  :100/130

 状態異常:眼精疲労(低)

      激昂

 祝福  :神の寵愛(104)

 外傷  :左手薬指にささくれ

 技能  :二輪自動車運転技能 


 案の上状態異常に「激昂」が表示されている。

 これが出ているときの行動はろくな結果にならない、あそこで退いたのは正しい判断だった。

 文句も言ったしこれ以上あの女とは関わらないようにしよう。

 そう考えてステータスを閉じようとしてあることに気づく。

 これまで無かった項目が追加されている。

 (祝福?神の寵愛?何だこのパラメータは?)


 「祝福:神の寵愛」何のパラメータだろうか?

 名前からして良い効果のように思える。実際パラメータが軒並み上がっている。

 それに横の数値は何なんだ?

 

 過去のステータスを調べて何時この効果が発現したのかを調べる。調べると柊に文句をつけた際に発現したことが分かった。そして文句を言う度に横の数値が上昇していく。

 

 つまりこのスキルは柊に怒りをぶつけた際に発現・上昇したということになる。力などのパラメータも「神の寵愛」の数値が増える度に増えていったことが分かった。

 

 名前からして神様に好かれたということなのだろうが、それなら何故柊に怒ったことでそれが上昇するのか?

 例えば柊が神様から嫌われているなどが考えられる。

 何かしら嫌っている対象に対して怒っている人間が居れば、敵の敵は味方理論で好印象を持つ可能性はある。もしくは柊個人を嫌っているのではなく、特定の人種を神様が嫌っている可能性もある。柊のような変態女に対して嫌悪感を持っているのであれば、俺に対して好印象を持つ可能性はある。

 ただ後者の場合、普段から変質者を捕らえている警官のパラメータがとんでもない事になってしまう。それを考えると神様が変質者を嫌っているからという可能性は低い。

 駄目だ考えられる可能性が多すぎる・・・・


 何故この効果が発現したかよりも、この効果を上げるべきか、どう使うかを考えた方が良いかもしれない。

 

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