希望
「中島先輩!あの~私……」
先輩の言葉をさえぎって、私は声を上げた。
新世紀20XX年。
人類はエイリアンによって侵略されている。
私が現在いるのは最後の砦と呼ばれる場所だ。
ここで、私たちはエイリアンの進行を食い止めなければいけない。
今はミーティング中で、先輩から今回の作戦の説明を受けていた。
「なんだ、質問か?」
先輩はこちらをジロリと睨んできた。
「今回の作戦は私たちが時間を稼いで、その間に非戦闘員を逃がすというものですよね?」
私の質問に対し先輩はあきれたように
「そうだ、それがどうした?」
答える。
「この場合、私たちの非難時間は確保されるのでしょうか?」
私の言葉に会議室空気がにわかにゆれた。
「そ、そうだ。我々は生き残るために戦っている。戦闘員の我々が死んではこれから先彼らはどうやってエイリアンと戦うのだ!?」
一人の兵士の言葉に
「我々はここから先、生き残ることは出来ない。我々はここで全ての兵力を挙げて、エイリアンを殲滅する」
「そ、そんな!我々は生き残れないと?」
「当たり前だ、我々の使命はエイリアンを殲滅して、人類に次の未来を与えるのだ。そのために命を投げ出す、そういう約束だったはずだ。では、以上で会議を終了する。解散!」
先輩の言葉が私の心に重くのしかかる。
ワタシハシヌ?
両親を殺され、復讐のために生きていた私。
そのためなら、自らの命を差し出すことも厭わない。
でも、
ワタシハコンカイノサクセンデイキノコレナイ?
その言葉を聞いたとき、私はもっと生きたくなった。
私はミーティングが終わってから、部屋でその事ばかりを考えていた。
突然、警報が鳴り出しエイリアンの来襲を告げる。
さっきまで死したくないと思っていたのに、長年訓練で染み付いた癖ですぐに臨戦態勢に入る。
自室の扉をあけると目の前に血まみれの人が立っていた。
「せん…ぱい……?」
言葉を失った、私を抱きしめると先輩は
「私のことはいい、それよりもこのカギを持って格納庫へ向かえ!敵はすぐそこだ!」
そういうと、私に有無を言わせずカギを託し、戦場へ再び向かってしまった。
シニタクナイ?
「…ったりまえでしょ。生きたいよ!」
ナラバヨベ
「‐‐‐‐‐‐!」
私の叫びに答えるようにカギが輝く。
目の前にロボットが現われ、私に手を差し伸べる。
私は迷わず手に乗り、コックピットに体を滑り込ませる
「いくよ!」
私の呼び声に答えるように、画面に文字が現われる。
リョーカイ
レバーを前に倒して、エイリアンのいる戦場へ向かう。
私の戦いはここから始まるんだ。