早河誠(さがわ まこと) ‐挿絵あり‐
[性別]男
[年齢]一七歳
[身長]一七四センチメートル
[人種]ヘレティック(後天発現型)
[旧国籍]日本(抹消済み)
[所属]組織(仮名ネイムレス)、作戦部第一実行部隊(チーム〈LUSH〉)
[コードネーム]LUSH-5
[初登場]第一章【記憶の放浪者 -Memories Wanderer-】
[人物]本編の主人公。
ヘレティック史上、最速にして最強と謳われるセンス――《韋駄天》を後天的に発現した一七歳の少年。日本人。
春の暮れ、大型トラックに轢かれたことにより、全生活史健忘――いわゆる記憶喪失となる。事故以前の自分と周囲の環境のことを思い出せず、一般常識のみが精神的支柱となっている。
記憶喪失直後の性格は温厚で心優しいが、弱虫体質。障害による劣等感からか、時折ひねくれた物言いやネガティブな態度が目立つ。さらに融通の利かない頑固なところが玉に瑕である。
組織に拉致され、センス《韋駄天》を発現させて以降、度重なる戦闘やそれによるストレスから記憶が回復する様子が窺える。
レーン・オーランドとの二度目の戦闘時には、一人称が「ボク」から「オレ」に代わり、以降は口調もやや鋭さを増した。同隊のエリ・シーグル・アタミらにはその変化が不評のようで、「可愛くない」と断言されてしまっている。しかしこの口調や態度こそが本来の早河誠である可能性が高いと認識されている。
また、エリ曰く、誠には戦闘の才能はない。しかしそれは自身や雪町ケンなど、天賦の才に対しての表現と思われ、過小評価にも等しい可能性が多分にある。
[センス]韋駄天
発動時には、主に下肢に変化を齎すセンス。
足の筋肉が激しく膨張と収縮を繰り返すことにより、発動者に凄まじい脚力を還元する。そのスピードは超音速にまで達する。
加えて、発動時には自身の加速度によるあらゆる摩擦や抵抗に耐えるために、肉体の治癒能力が高まり、いかなる負傷もすぐに回復する。皮膚及び骨格は金属のように硬質化し、筋肉は粘りのある弾性を持つように変化する。また動体視力も向上し、思考も冴える。
しかし他のヘレティック同様、トレーニングをしていなければこれらの作用は有効に働かず、すぐに体力を食い潰してしまう。それ故に、早河誠以前に《韋駄天》を発動した男――雪町セイギは、下半身は当然ながら、上半身も余すことなく鍛え上げていた。
また発動時は眼球がルビーのように赤く輝き、光沢を得る。瞳孔は黒いが、光彩は赤黒くなる。
[武器]エッジレス
両手で握れるだけの柄と、半身ほどの長さの刀身をもつ剣のような武器。刀身は幅広で、長く平ら、厚さは二センチメートルほどで鍔はなく、長方形の先端に半円を描いたような形状。刃は垂直に切り落とされていることが名前の由来となっている。よって、刃物としてよりも鈍器として使われ、考案者である雪町セイギはあくまで非殺傷武器として扱っていた。
しかし《韋駄天》と併用すれば殺傷能力が高まり、扱いを間違えば殺人は必至。故に、殺人を恐れる誠が対象へ打撃を与える際は、直前に急ブレーキをかけるような行動が目立つ。
幅広の刀身によって身を守る盾としても機能する。
二振りあり、セイギ同様、誠も背に担いで装備する。
使われている金属はアダマンチウム。制作当時は世界最高硬度の特殊合金だった。現在はオリハルコンに次ぐが、《韋駄天》と併用すればオリハルコンをも貫通できることを誠は証明している。