第二話:事故前日の情景その2
ヒロインの名前にくい違いがあったので修正しました。
-やりすぎだよな。いくら寝起きが悪いとはいえ、誰かに見られたら確実に誤解されるだろうし・・・。
龍弥は運動着に着替えながら、里緒菜にしたこと(第一話参照)について考えていた。
-ま、いいか。後で謝っとけば。
思考をやめて、着替え終わると、龍弥は日課であるランニングに出かけた。少し湿った空気を浴びながら、一時間ほど走って家に帰ると、すでに朝食が用意されていた。
「母さん、ただいま」
「お帰りなさい」
「親父は、もう出かけたの?」
喋りながら席につく龍弥。母親は味噌汁を配膳している。
「会議らしいわよ」
「ふーん、いただ・・・」
「先に里緒菜を呼んで来て」
「あ、はい」
-ついでに謝ってくるか
里緒菜の部屋の前まで行き、ドアをノックする。
コンコン
「里緒菜、ちょっといいか?」
「うん、いいよ」
「入るよ」
部屋に入ると里緒菜はもう制服に着替えていて、ベットに座っていた。
「さっきの事なんだけどさ・・・」
「気にしてないよ、むしろ嬉しかった・・・なんてね。私か葎花さん以外にやってたらセクハラだよ?」
「すまない・・・」
「気にしてないのは本当だよ。だから、そんなに深刻な顔しないで、あんな起こし方したら、お兄ちゃん変な怒り方するのは分かってた事だしさ。」
里緒菜は終始笑顔だった。龍弥は苦笑しながら聞いた。
「あと一ついいか?」
「うん」
「なんで・・・」
龍弥が言いかけたところで母から声がかかる。
「二人ともなにやってるの?ご飯、冷めるわよ?」
「ごめん、今行く!話はまた後でな」
「そうだね」
朝食を食べ終わり、龍弥は制服に着替えて里緒菜といつも通りに学校に行くのだった。
「ねぇ、お兄ちゃん」
「なんだ?」
「さっきの話の続きなんだけどさ、なんであんな事したのか聞きたいんだよね?」
「ああ」
「お兄ちゃんが遠くに行っちゃってね、もう二度と会えないような気がしたの」
「はあ、例えば俺が死ぬとか?って縁起でもない!」
「それはないと思うけど。とにかく、今しかできないことをしようと思ったの、学校とかじゃあんな事できないし」
龍弥は困ったような顔をしながら言った。
「家の中でもあれはまずいだろう?兄妹なんだからさ」
「まぁそうなんだよね。それもそうなんだけど、どんな反応するかどうしても見てみたくて・・・」
「え!そんな理由!?」
龍弥はまたもや物凄い動揺を見せる。
「ん?まさかお兄ちゃん物凄い勘違いしてた?」
意地悪な笑顔を浮かべながら、さらに畳み掛ける里緒菜。
「よし、実の妹に発情したって、葎花さんに言い付けてやる!」
「おい、止めろ!いや、止めてください里緒菜様。俺、殺されちゃうから!」
もう、龍弥は必死です。
「なんでもおごるから許して!」
「言ったわね?それじゃあねぇ、最近、近所にイタリアンレストラン出来たでしょ?そこのフルコース」
「はぁ、高そうだな・・・。だが、命には換えられん。いいよ」
「だそうですよ」
誰かに話し掛ける里緒菜。
「あら、それは楽しみね」
ゆっくりと振り返る龍弥、そこには恋人の葎花がいた。葎花は笑顔だったが、目が笑っていなかった。
年齢と補足をしたいと思います。龍弥は16才、葎花は15才で高一、里緒菜は15才中三です。三人の通っているのは同じ中高一貫教育の学校なので、一緒に登校したりします。